第39.5話
ぺったん ぺったん ぺったん ぺったん
ぺったん ぺったん ぺったん ぺったん
私は、無心で餅をつき続けていた。お父さんに支えてもらいながら、ひたすら臼に向かって杵を振るう。しかし、力が弱すぎる。私がいくらついたって、餅が餅になっていく感じがしない。
私はひとしきりついたぐらいで、結心と交代することになった。結心は私より、力ないけど大丈夫かな。
私のその予想は的中し、結心はつき始めて10ぺったんぐらいで脱落した。いやいや、それにしたって、体力無さすぎじゃありませんかね。結心さんや。
しかし、餅はまだまだ完成しない。さらに、後ふた塊ぐらいであるのだから大変だ。
私と結心でさらに交代番子で餅をつく。結心が疲れていても休んでから、ついてもらう。
これは、私の結心が餅をついている姿がもう少し、見ていたかったから、と言うわけではない。決して、そんなことはない。
私たちの間はおじいちゃんとお父さんが、餅をついてくれた。私たちとは比べ物にならないスピードで餅になっていくのがわかるから面白かった。
流石に、私も一餅ついたら疲れてしまったので、残りの二餅は、お父さんとおじいちゃんについてもらうことになった。まぁ、元からそういう予定だったしね。
私たちは少し休憩してから、今度はついた餅を丸める。手に粉をつけて、おばあちゃんとお母さんが大きな塊を小さくしてくれている。それを私たちが丸く綺麗な形に整えていくのだ。
これが結構難しくて、すぐに変形しちゃうから、素早丸くしたら、机に置いて、っていうのを繰り返す。丸くしようとずっと持ってると、他も部分もどんどん不細工になってしまう。
何度も不細工にしている結心の姿は、可愛いが、可哀想なのもあるので、私が教えてあげた。それからは素早く綺麗に作る楽しさを覚えたのか、ニコニコでやっていたので良かった。
おばあちゃんとお母さんが、持っていた大きな塊餅も無くなってきて、ホッとしていると、二玉目がお父さんによって、投入される。私たちは休憩なしの続投だ。
しかし、餅をつくよりも疲労感はなくやれている。おばあちゃんとお母さんの小さな塊を出すスピードが、速くなっているのは気のせいだろう。誰か、気のせいだと言ってくれ!
どんどん、速くなる餅を丸めないといけないスピード。どんどん、餅によるゲシュタルト崩壊が起こってきて、私たちが今何を丸めているかさえわからなくなってくる。
私の意識が戻ったのは、全ての餅を丸め終えた後だった。私たちが丸めた少し小さめの餅と、おばあちゃんとお母さんが丸めた普通の餅がある。
私たちがこれを食べるのは、年が明けてからだから、それまで、ちゃんと美味しくなっておくんだぞ。お餅よ。
〜ぺったんこ! 1時間〜
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