第37.5話


 私は今、自転車に乗っているのだ!


 私がペダルに力を込めればその分自転車が進んでくれる。曲がろうと思えば曲がれ、、、、なかった。私はカーブの途中で転んでしまった。まだ、スピードがついている状態でのハンドル捌きは難しいね。


 それでも、乗れたことには変わりない。私は嬉しさのあまり、倒れている自転車なんてほっぽって、後ろを振り返る。


 後ろでは、驚いたような顔をしているお父さんとお母さん。私の笑顔を見ていっしょに笑ってくれた。ただ1人、結心はこっちを見て何が起こったのかを理解していないが。


 さすが、我が妹。何があっても自分を貫いてるね。でも、お姉ちゃんちょっと悲しいよ。姉としての威厳もあったのに。


 結心に「おねえちゃんすごい!」ぐらい言われたかったな、、、。けど、お父さんとお母さんは、私の世紀の瞬間や見ていてくれた。


 私は、ほったらかしにしていた倒れた自転車を起こして、さっきの感覚が抜けないうちに反復練習を開始する。


 まぐれで終わったら、それまでだよね。


「結笑、結心。帰るよー」


 お母さんの私たちを呼ぶ声がするまで、私は自転車に乗り続けた。


 結局、1回目に乗れてからは順調に距離を伸ばしていって、大回りなら方向転換もできるようになった。でも、まだ小回りや少しの段差があったら、転んでしまうことがあるのでそこを重点的にやらないとなと思った。


 最後らへんは、結心の見ててくれる時があるので、やる気が途切れなくてよかった。妹が見てる前で、カッコ悪いお姉ちゃんを見せたくないしね。お姉ちゃん頑張っちった。


 公園から帰る途中は、さすがに危ないと自転車は押して帰る。当面の目標は自転車での公園への行き来だな。お父さんやお母さんに許可がもらえるようになったら、一応一人前として、認められたと言うことだろう。


 家に着いた私は、お母さんが晩ごはんを作ってくれている間に、自転車を拭くとこにした。今日、とてもお世話になった自転車への感謝を込めて、丁寧に拭いていく。


 流石に、傷がついてしまって拭いてもどうにもならない部分もあったけど、これは私が頑張った証として許して欲しい。でも、それ以外はピカピカにしてた。次乗る時が楽しみだ。


 ちなみに、その後結心も奮闘して、3日かけて自転車に乗れるようになりました。まぁ、結心は私と違ってインドアだから、3日っていうのは頑張った方だよね。あと、頑張っている結心の姿は普段と違って、カッコよかったよ。我が妹ながら、お姉ちゃん惚れちゃいそう。


 結局、2人が親から自転車一人前として認めてもらえるまで、一ヶ月ぐらいかかった。


 長かった、、、。


〜自転車に乗れた! 1時間〜

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