第30.5話


「似合ってよかった。これで結笑も結心も夏祭りデビューができるね」


 お母さんが嬉しそうに言った。私たちのことを見て写真を撮りながら、、、。いや、分かるよ、可愛い結心(後ついでに私)を撮りたいのはでも、言いながら撮るのは気せりすぎでしょ。


 あっ!今気づいたら、後ろの方でお父さんも写真を撮っているではないか!気配を消しているとは、どんだけ撮りたかったんだ。


 私たちの写真会が、結構な時間行われた後、夏祭り会場へ行くことになった。


「けど本当に似合って良かったわ。私と陽華のお古だから、まず着られるかも心配だったけど、要らない心配だったね」


「結笑たちが、着替えた後に見せてもらった結衣華の小さい頃にそっくりだって、びっくりしたよ。おんなじ浴衣着たら、似てるのが際立つね」


「私のそんな時の写真見たの?恥ずかしいなぁ」


 お父さんとお母さんがそんな会話をしている間に会場に着いた。


 結構大きなお祭りなので、大勢の人がいる。私たちは、はぐれないように私とお母さん。結心とお父さんで手を繋いで歩きはじめた。


「焼きとうもろこし、イカ焼き、たこ焼き、焼きそば。いっぱいあるね」


 お母さんの目には食べ物屋の屋台しか目に入っていないのかな?昼ごはんでも食べなかったのだろうか。お母さんの食べ物屋台を見つけるスピードは尋常じゃなかった。


 ということで、私たちのグループは食べ物屋台に向かう。結心達グループは、綿菓子やりんご飴といったスイーツ系屋台に行くようだ。


 別れた後は、好きなように食べる。私たちのグループは、ガッツリ系の食べ物を食べた。個人的には焼きとうもろこしが1番美味しかったな。お母さんは、焼きそばをめっちゃ食べてたけど。


 結心達のグループは知らないが、合流した時に口の周りがベタベタになっていた。多分お父さんも気づいて拭いてはいるが、キリがないのだろう。


 私達は合流後、くじや射的、ヨーヨー釣りなどの娯楽的屋台を楽しんだ。唯一、金魚すくいだけは親の許可が降りませんでした。まぁ、命があるものだしね。


 それ以外は、一通り楽しませてもらった。結心がヨーヨー釣りが異常に上手くて驚いた。だって、5、6個取ってるんだよ。


 社会でなんの役にも立ちそうにないところが、残念だけど、、。


 祭りの最後はやっぱり花火だった。近くはほとんど、うまっていたので少し離れたところから見たのだが、それでも凄い迫力だった。綺麗だし、そのくせ豪快だし、すぐ消えちゃうのが寂しい感じがするし。


 私たちにいろんな感情を与えてくれる花火もフィナーレを迎えて終わってしまう。


 まだ見たい!と思わせるところで終わるのはさすがと言ったところだろう。私もその思いに乗せられて、来年も夏祭りに来て、花火を見たいと思うのだった。


〜夏祭り 1時間〜

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る