第30話


 8月の終わりは夏なのだろか?秋なのだろうか?そんな疑問がふと思い浮かんだ。


 今日は、俗に言う夏休みの最後の日曜日。お母さんはとても忙しいらしく、今日も学校に行っています。まぁ、先生って職業すごく忙しそうだよね。休日出勤や残業。


 そんな、お母さんが働いている中私たちは何してるかって?


 それは、祖父母の家にいます。別に今日は平日でもないし、両親がどっちも仕事というわけでもない。でも、私たちは昼ごはんを食べた後、お父さんと一緒にここにきたんです。


「結笑ちゃん、結心ちゃん。お父さんもう少しで着くらしいからね〜」


 おばあちゃんが私たちに声をかける。家に忘れ物をしたらしいお父さんが、一旦家に帰っていたのだ。あの時のお父さんは、すごく面白かった。


 おばあちゃんにちゃんとあれは持ってきたの?って、聞かれた時に黙って車に戻ったと思ったら、すぐに戻ってきて、取りに行ってくる!と、凄い勢いで出て行ったんだもん。


 しかも、それを見たおばあちゃんが、何しにきたんだか。だって、そんなに大事で必要な物だったのかな?


「すみませーん。持ってきました。持って行く事は分かってたんだけど、普段使わない物で」


 そういって、お父さんは2つの薄い木箱をおばあちゃんに渡した。それを持って移動する。


 おばあちゃんが木箱を開けると、そこには布が入っていた。


「結構前のだけど、ちゃんと残ってたのね。なんであの子が持って行ったのかは、忘れたけど」


 そう言って、おばあちゃんが取り出したそれは浴衣だった。小さいサイズで、ちょうど私たちが着られそうなサイズだ。ちゃんと2着ある。


 おばあちゃんがああ言ったってことは、これはお母さんのなのかな?じゃあなんで2着もあるんだろう?


 そんな事を思っていると、私は一つの仮説を思いついた。


 そう、これはお母さんと陽華さんのものではなかろうかと。答えは分からないので仮説のままだが、そうゆう事にしておこう。


「おねえちゃ」


 突然、結心が私を呼んだ。わたしは考え込んでいたせいで、無視していまっていたらしい。


「ごめん」


 ちゃんと、謝ってからもう一度聞くと服を脱げと言われたらしい。あっ、お父さんじゃなくて、おばあちゃんがね。流石にお父さんが言ったらね、、、。


 そんなことは、置いといて私たちは着替え始める。おばあちゃんは私たちが服を脱いだ事を確認すると、慣れた手つきで私たち2人に浴衣を着させていく。


 そして、2人の着替えが終わったタイミングで、玄関からお母さんの声がした。


「ごめん、お母さん。午前中で終わるはずだったんだけど」


「全然大丈夫よ。それよりほら、可愛いでしょ。あなた達の子」


「本当だね。似合ってよかった。これで結笑も結心も夏祭りデビューができるね」


〜夏祭り 1時間前〜

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