第29話
6月に入り気温も「暖かい」から「暑い」感じに変わってきました。この時期は、着る物を選ぶのが大変だよね。
そんなこと言っても、私たちはまだ自分達では選ばないんだけどね。お母さんやお父さんが服を持ってきてくれる。過保護すぎるのかもしれないが、私たちにとっては楽である。だって、服選ばなくていいんだもん。
ということで、今日の服装は2人で色違いのワンピースでございます。どう、似合うでしょ!
何!?この可愛い私が、敵わないぐらいの可愛さを持つ結心さえ、見えないだって?!
貴様の目は節穴か!
まぁ、いい。この可愛さは、この世の人たちに、これからもっと知られるだろうからな!
お母さんと散歩しながら、すれ違う人1人1人にそんな考えを抱きながら歩いていると、ようやく共感してくれる人が現れた。
「あら、あら、可愛いお子さんですね。双子さんですか?」
急に話しかけてきた人にお母さんは少し警戒しながら答える。
「はい、双子ちゃんですね。今日は天気もいいので散歩にでも行こうかと思いまして」
「あら〜、そうですか。お邪魔しましたね。散歩楽しんでくださいね」
そう言って、話しかけてくれた人は去っていった。さっぱりした人だったな。本当に私たちが可愛いっていうのを話しかけるだけって、なんかすごいな。
その後も私たちは散歩を続ける。けど、さっきの人みたいに話しかけてくれる人はいなかった。話しかけてくる方が珍しいと思うしね。でも、私は結心の可愛さが世の中に少しだけ広がったので良かったです。
帰り道に珍しく、アヒルの親子を見た。親の後ろをよちよちとついて行く子どもが、とっても可愛くて、(もちろん、結心には勝てないけど)ずっと眺めてました。あっ、お母さんも一緒にね。
あー、なんかこんな風景見てると、うちでもペット飼いたいなぁ。でも、こんな事お願いできないし、お世話できる気がしないし。少し残念だが、私たちがもう少し大きくなったらお願いしてみよう。
私たちの住んでるアパートがペット可のところかもわからないしね。けど、飼うなら何がいいかなぁ?定番の犬とか猫とか?あとはインコとかハムスターもいいなぁ。
考え始めたら、止まらない。いろんなタラレバを考える。いいじゃない。想像するだけならタダなんだから。
「いちゃ!」
だがら、私はお母さんが前で立ち止まっていることに気づかずにぶつかってしまった。お母さんは私に気付き謝ってくる。
「ごめんね、ちょっとメールがきたから確認しようと思って止まっちゃってたの。危ないから道の端っこに寄っとこうか」
そう言うと、道の端によってお母さんはメールを読み始める。すると、驚きの表情になってからこう言った。
「いやー、めでたいね!あと、これから頑張ってほしいね」
〜従姉妹誕生報告 1時間前〜
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