第27.5話


 お母さんとお父さんが三角錐のけつに付いた紐を勢いよく引っ張った。


パパーン!

「結笑、結心。3歳の誕生日おめでとう!」


 目の前でクラッカーが炸裂する。嬉しいより先に驚きがくる。私たちが2人揃ってポカーンとしていると、お母さんとお父さんが笑い始めた、


「「はっはっは」」


「クラッカーを見るのも聞くのも初めてだもんな。リアクションを動画に収めれなかったことが悔やまれるな」


 悔しそうにお父さんが言うと、お母さんが何やらニヤニヤしながらお父さんに何かを見せた。すると、お父さんはお母さんを見てから褒め称えた。


「流石だな。こうなる事を予想してたの?」


「そうそも、そうとも。結笑、結心、初めてクラッカーを見る。これは外せないでしょ!私たちがクラッカーを持つぐらいの時に静かにセットしておいたのよ」


 お母さんが自慢げに言う。なんか、すごく恥ずかしいんだけど。自分達のリアクションが残るものだし、それをカメラに収めた事を自慢しているお母さんと、悔しがっているお父さんを見ると。


 そんなこんなで、始まった私たちの3歳の誕生日会はまず、晩御飯を食べることから始まった。私も結心も無心で食べる。お母さんの料理が美味しいし、さらに好きなものなので美味しさも2倍だ。


 自分達がより多く食べれるようにパクパクと食べていく。その様子を見ながらお母さんとお父さんは写真を撮っているが、構わず食べる。ちなみに後で見せてもらった写真の顔は、口の中に食べ物を入れすぎてハムスターみたいになってました。もちろん、結心も。


 お母さんとお父さんも写真を撮り終えたのか食事を再開する。おかずの減りが異様に早いことに驚いているが、理由は明確なので私たちが美味しそうに食べていることに喜んでくれている。


 本当にいい両親だと思う。ご飯を食べ終わったあとはプレゼントをもらえた。今年は2人でお揃いのお出かけカバンをもらった。


 陽華さんに去年もらった、がまぐちの財布を入れるといいだろう。しかも、リュックなので両手が空くので便利だ。


 さらに今年は、陽華さんと響さんから靴のプレゼントがもらえた。本人達は来れていないが送って貰えたことに感謝だ。


 そして、おまちかねのメインディッシュが出てくる。そう!ケーキだ!


 お母さんのお手製ケーキが机の上に鎮座する。包丁を入れみんなで分けて食べるのだが私たちの分は少し大きくしてもらった。なんてったって主役だからね。


 ケーキはとても美味しくていくらでも食べれた。でも、ケーキは有限であり、無くなってしまった。


 私は来年もまた、ケーキを作ってもらおうと思うのだった。


〜3歳誕生日会 1時間〜

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