第26.5話
不安になりながら、リビングに入ると足元に豆、正面に鬼がいた。
えっ?豆と鬼?
ここで私はピンと来た。これは節分。今日は2月3日だった事を。それを思い出しているうちに鬼(お父さん)がこちらに向かってくる。
結心は、さっきのおばあちゃんの話もあって泣き出してしまう。すると、鬼(お父さん)もオロオロし始めてしまう。しかし、そんな事知ったことか、と言うようにお母さんが鬼に向かって、すごい勢いで豆を投げ始めた。
それに鬼がとても痛そうにしている。てか、本当に痛いんだろう。あんな豪速球の豆をくらえば。
その隙をついて私もお母さんを見習う。お母さんほどの威力はないが、結心を泣かせた恨みだ。力一杯豆を投げつける。
「鬼は外!福は内!」
すると、お母さんがお決まりのセリフを口に出す。私も見習い声を出していく。
「おにあそお!ふうはうち!」
声を出していると、泣いていた結心が勇気を振り絞って豆を投げ始めた。
「おにはそと!おにはそと!」
福を呼び込む事を忘れているがしっかりと鬼を拒絶する。すると、お母さんと私、それに結心から拒絶されたことによるショックなのか、鬼が弱り始めた。
私たちはここぞとばかりに豆を投げつける。最後は鬼が逃げていったことによる私たちの勝利だった。結心は安心からか、また泣き出してしまったが、今度はお母さんがちゃんと抱きしめてあげていた。
結心も落ち着いたところで、お父さんが今帰った風を装って帰ってきた。
そこから、みんなで豆を片付けて年の数だけ豆を食べる。私たちは少ないからすぐ食べれたけど、お母さん達は口の中がパサパサになってた。
豆を食べ終えてからみんなで晩御飯を食べる。今日のメニューは豚汁に冷奴、それに恵方巻きだ。私たちの恵方巻きは、お母さん食べやすいようにカットしてくれている。
それをみんなで静かに食べる。お父さんが途中でむせていたが、さっき食べた豆による攻撃だろうか。
それをみんなで笑いながら楽しく食べる。えっ?静かに食べてたんじゃないかって?短いやつだったから全部たべおわったんですぅー。
私たちが生まれてから、初めての本格的な豆まきは、鬼を追い払ったことによる私たちの勝利で終わった。
しかし、おばあちゃんによる事前のオニに対する恐怖と、割と出来のいい鬼のお面?仮面?マスク?による効果によって、結心に完全にトラウマを植え付けてしまった。
お母さんとお父さんには、来年からはもっとソフトな節分をして欲しいと思った。まぁ、私は楽しかったからいいんだけどね。
〜鬼襲来 1時間〜
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