第17.5話
「よし、届けにいくぞ」
その言葉を聞いて私たちはとてとてと、玄関へ向かう。そして、靴を履いて外に出た。
車に乗って、さぁ出発だ。お母さんが勤めている学校へ行くのは初めてだ。どこにあるんだろうな。
なんて、考えていると。私はすごく既視感を覚えた。初めて通るであろう道なのに、もう何度も通っているような。車で通っているのが不自然に思うくらいな、変な感じだ。
なんで、こんな事を考えるんだろうな。と考えていると、車がある場所を通った時にその既視感の答えがわかった。
この道は、私が前世で学校への通学に使っていた道だと。
そうなると、考えられる事は一つだ。これから行くところは、私が前世で通っていた学校で、お母さんは、そこに勤めているのだ。
凄い偶然だな。なんて考えて、ふと思い出した。あの妊婦さんの赤ちゃんは無事にうまえたんだろうか?
私が覚えている最後の記憶だったので残っている。元気に生まれて生きていてくれればいいなぁ。なんて考えていると、車が学校へついたようだ。
「とうちゃーく。よし、お母さん探しを始めようか」
お父さんはそう言って、私たちを車から下ろしてお母さんを探し始めた。体育祭の方は午前中最後の競技らしく、生徒たちは少し疲れているように見える。
「やっぱり、まだ競技が終わってないな。メールだけしてもうちょっと待っとくか」
お父さんは、探す事を早くも諦めたらしく昼休憩まで待つようだ。そうして、午前中の競技が終わり、私たちのところにお母さんが来るのを待っていた。
すると、午前中の競技を終えた生徒たちが私たちを、ちらちらと見てくるではないだろうか。
なんか、私たちの顔についてたりするのだろうかと思い、お父さんの方を向いて見るけど、不思議そうな顔をしている。お父さんもわかってないようだ。
そうしているうちに、お母さんがこちらを発見したらしく、走ってきた。
「ごめんね、ちゃんと確認していればよかったんだけど」
「大丈夫。なんか、忘れ物はあると思ってたから」
お父さんとお母さんが会話をしていると、それを確認した生徒が集まってきた。
「この子たち、やっぱり
「むっ!なぜわかった?」
お母さんがおちゃらけて返す。お母さん学校ではこんなんなんだ。
「いや、ちょっと似てるねーって話してたんですよ。そしたら、先生が話に行ったからやっぱりかってなって」
私たちってお母さん似んだね。
その後、お母さんは少し生徒と話した後お弁当を食べた。私たちは、最初に食べていたのでお菓子だったが、久しぶりに外で食べるお菓子は美味しく感じたのだった。
〜忘れ物を届けに 1時間〜
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