第17話


 お母さんが職場復帰してからかなり経った。10月に入り、少し肌寒い風が外には吹いている。


 今日は土曜日で、お父さんもお母さんも休みだ。家族で家でゆっくり過ごすのかと思っていたら、お母さんがバタバタと起きていた。


「やばい、やばい。遅れちゃう。流石に遅刻はいけない」


 どうしたのだろうか?とても、急いで着替えている。しかも、着替えているのはジャージだった。


「どーいくの?」


 私は、ここ最近かなり喋れるようになった。


「今日は、学校の体育祭なの。だがら、休みの日でも出勤しないといけないの」


 お母さんも私の言葉が理解できたらしく、ちゃんと答えてくれる。


 体育祭かぁ。お母さん運動できるんだろうか?あんまり、動いている所見ないから心配である。


「怪我しないように、気をつけるんだよ」


「わかった。怪我しないようにする」


 やっぱり、お父さんも心配しているらしく、お母さんに忠告していた。そして、お母さんは元気に家を出て行った。


「じゃあ、行ってきまーす」


「いってらっしゃい」


・・・

・・・


 お母さんが、出て行ってからは結心と遊んでいた。最近買ってもらったリアちゃん人形でおままごとをしている。


 そして、それをお父さんが優しい顔で私たちを見守ってくれている。


ぐうぅーー

ぐうぅーー


 私たちたちのお腹のなるタイミングが被った。


「「おなかへーった」」


 そして、私たちの声も被った。双子って凄い。


「いい時間だし、ご飯にするか」


 ということで、少し早いがご飯となった。今日のご飯はお父さんが作ってくれる。お母さんは作れなかったらしい。

 

 まぁ、あんだけ急いで家を出て行ったのに作れてたら凄いよね。


「美味しいか?」


「「おいちぃー」」


 お父さんも、私たちがハマっても、驚かなくなった。ハモリ過ぎて、当たり前みたいになってしまっているのが逆に凄いと思う。


 私たちがゆっくりご飯を食べていると、お父さんがスマホを見てから急いでキッチンへ向かって行った。


「やっぱりか、あんだけ急いで行けばなんかあるとは、思ってたんだけどな」


 お母さんが何かを忘れて行ってしまったらしい。お父さんは何かを感じ取っていたらしく、あまり驚いていないように見える。


 お父さんがキッチンからお弁当を持って帰ってきた。すごくいい手際だったのだが、中身はほとんど冷凍のものだろう。しかし、お母さんがお弁当を忘れるとはどうゆうことか。


 そんなことを考えていると、お父さんが車の鍵を持ってきて私たちにこう言った。


「よし、届けにいくぞ」


 あっ、私たちが届けに行くんですか。


〜忘れ物を届けに 1時間前〜

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