第12.5話
「結笑がたった!」
お母さんの声が部屋に響いた。そして、急いでスマホを出して、私の撮影を始める。
「もうちょっと、頑張って。あと三十枚ぐらい!」
多くありませんかね?この状態も辛いんですけど、もう足に力が、、、。
「あっ!疲れちゃったかぁ。頑張ったもんね」
足に限界がきてしまっていた私は、座り込んでしまった。今日はよく頑張った方だ。自分で思う最高のドヤ顔をして、結心を見た私の顔は一瞬にして驚き顔に変わっただろう。
「えっ、結心もたってる。すごい!!2人とも同時に立つなんて!」
そう、妹である結心も自立していたのだ。びっくりした。これでは、何のための頑張ったのか分からなくなってしまう。数分とはいえ私の方がお姉ちゃんなのだ。にっこり笑顔でこっちを見ている。結心にそんなことを思うが、お母さんの言った一言でそんな考えもひっくり返ってしまった。
「結心は、お姉ちゃんとお揃いがいいもんねえ。頑張って真似をてるんだよね。けど、結心の写真も撮りたいから、あと三十枚ぐらい立っててね」
三十枚は、何かの区切りなのだろうか?そんな事が気になるが、それよりも私を真似したい?そんなことなのか?それなら、可愛いことこの上ないじゃないか。ムキになっていた、私がちょっと恥ずかしくなってくる。
それから、お父さんが帰ってきてお母さんによる大報告会が始まった。
私たちが立つ前どうだったとか、立った時の写真試写会などいろんなことを話している。その話の中心人物が、私たちということでその点も恥ずかしい。
そんなことは置いておいて、双子だからって言っても2人がほとんど同じタイミングで立つってすごいよね。
「結笑、結心。僕にも立っているところ見せてくれないかな?」
今日の話を聞いていたお父さんが、そんなことを言い始めた。私は結心の方を向いて確認する。よし、起きている。お母さんのさっきの言葉が、本当なら可愛い妹は真似してくれるはずだ。
「おっ?結笑がきてくれたな。見せてくれるのかな」
「あーー!」
※この掛け声は、必要なものです。
こんなテロップが必要だろう。だって、まだ力が足りなくて声の分でプラスしている感じなんだもん。
そんなことをしていると結心も来てやり始めた。
「2人とも見せてるれるのか!嬉しいな」
本当に嬉しそうなお父さんのことを、気にする余裕もない。私は足に力を込めて自立した。それと並行する様に結心も自立した。(机の同じ脚を使ってたから、今回は同じ位置に立つ事ができた。)
「おぉ、写真、写真撮ろう。50枚ぐらいでいいかな?」
いや、お父さんも多いな。当たり前だがそんなに長くは立つ事ができない。
「まぁ、今日も頑張ったからね。これから、頑張って歩けるようになっていけるといいね」
「そうだな」
お母さんとお父さんがそんな会話をしている。私たちが歩けるようになるのはいつだろうな。
この日の写真は、家族の思い出としてアルバムに飾られる事になった。
〜初めての一人立ち 1時間〜
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