第12話


 外には、桜が咲いて、、、、おりません。


 年が明けて3月になりました。

 えっ?クリスマスや年越しは、どうしてたって?


 そんなの一歳にもならない私たちが、起きとれるわけないでしょ。あっ、ちなみにお母さんとお父さんはクリスマスはお楽しみだったようですが、私は最初も知りません。次の日にお母さんが、やたらとツヤツヤしていたぐらいです。


 そして、今私がやっている事といえば、机の足に引っ付いて、お母さんに褒められております。えへん。


結笑ゆえがんばれ、がんばれ!」


 これ以上、何をがんばれとお母さんは言いたいのでしょうか?と思った時、結心ゆいが動きました。


「あっ、結心もがんばれ、がんばれ。お姉ちゃんと同じことをしたかったのかな」


 多分、お母さんに褒められたかったのだろうと思いながら、私の真似をしている妹を見た。すると、こっちを見てにっこり笑ったではないか。私は、妹の微笑みの爆弾をもろにくらい、座り込む。


「あれ、結笑どうしたの?疲れたのかなぁ」


 違います。妹にやられました!犯人は結心です!

 座り込みながら結心を見る。少し勝ち誇ったような顔をしているように見える。悔しい、やり返してやりたいと思い、私は挑戦する。


「あー!」


 机の足に捕まり私は立ち上がる。しかし、それだけでは結心とやっていることは変わらない。私は足に力を込めて、手の力を抜いていく。今思えば、お母さんが応援していたのはこれのことだったのではないだろうか?


「あ!」


 痛っ、倒れてしまった。挑戦失敗だ。だけど、私は諦めない!どこかの先生曰く【諦めたらそこで試合終了】だから、何度でも挑戦あるのみだ。


「あーー!」


「がんばれ、結笑」


 お母さんも応援してくれている。お母さんの応援に応えるためにも私はやらなければならない。


「あう、、」


 また、失敗してしまった。ひ弱な自分に、腹が立ってくる。結心を見ると同じように、チャレンジして同じように失敗している。姉としての威厳を見せるため、これからやれる事を増やすため、そしておかあさん、お父さんに褒めてもらうため。私は、挑戦する!


 「あーーー!」


 私は、机の脚にしがみつき立ち上がった。そして、机の脚からゆっくり手を離していく。自分の足だけで、全体重を支えてお母さんの方に振り返った。


「結笑がたった!」


〜初めての一人立ち 1時間前〜

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る