第11話


 早いものでお母さんの誕生日が過ぎてから3週間が経ちました。もう、12月でございます。でも、私たちはぬくぬくしております。


えっ、なんでかって?


 それは、部屋の中にいるからでございますよ。外は、うっすらと霜がおりておりますが部屋の中は、ホッカホッカでございます。外になんて出たくありません。


 なのに、お母さんは不穏な動きを見せておられます。外出用のカバンを用意して、あったかいお茶を用意してと外に出る気満々でございます。


 お願いです。連れて行かないでください。あんな寒そうなところに私たちを連れて行かないでください。


 そんな、私の願いも虚しく私たちは着替えされられ始めました。


「結笑ちゃん、結心ちゃん、お着替えしますよー」


 普段、なんてつけないくせに。なんて、イライラをものともせず。お母さんは、私たちを着替えさせ始めます。


 はい、着替え終わりました。着替え終わってしまいました。一瞬でした。本当にどこに行くんでしょう。寒そうな外を見ながら考えます。


 ピンポーン


 インターホンがなりました。すごく、びっくりします。だって、気が抜けてる時に急になるじゃん。不意打ちってダメだよね。インターホンがなります。って報告してからならしてほしいわぁ。変わんないけど。


 そんなことを考えていると、インターホンを押した人たちを連れて、お母さんが帰ってきました。


「すみません。麗子れいこさん、それに玲奈れなちゃんに絆留ほたるちゃんも」


「大丈夫よ。こっちがお願いしてるんだから」


「本当すみません。すぐ車の準備してきますので。結笑と結心、見といててあげてください」


「わかったわ、あと、確認なんだけど吊り目気味か結笑ちゃんで垂れ目気味が結心ちゃんであってたわよね」


「はい、そうですよ。こっちが結笑でこっちが結心です」


 凄いことにお母さんとお父さんは私たちを間違えたことがない。


「じゃあ、お願いします。すぐ戻りますんで」


「わかったわ」


 そう言うとお母さんは外に出て行ってしまった。


「わぁ、かわいいね!双子って本当にそっくりだね。目の違いって言ってもわからないね」


「本当だね。全然わかんないや。本当そっくりだね、お姉ちゃん」


「あなた達もそっくりだった時はあったわよ。今は、結構変わってきたけど」


 今の会話で少しだけ家系図が見えた気がする。この眼鏡をかけているのがお姉ちゃんの玲奈ちゃん。それでこのロングヘアの髪をポニーテールにしているのが、妹の絆留ちゃんのようだ。


 お母さんが出て行ってから、そんな会話をしていた。たまに、つっつかれたりもした。くすぐったかったです。そんなことをしていると、お母さんが帰ってきた。


「すみません。お待たせしました。じゃあ、いきましょうか。今日の目的地、大型の図書館へ」


〜ママ友とお出かけ第2回 1時間前〜

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