第10.5話


「あぁ、今日ぐらいはゆっくりしてもらいたくてな。誕生日おめでとう、結衣華」


 なんと、今日11月11日はお母さんの誕生日だったらしい。何やらお父さんがお母さんの手伝いをやっているなとは思ったが、気づく事は出来なかった。悔しい。


 しかし、今からでも遅くはない。


 行くぞ、妹よ。


「あーあー!」おめでとう!

「あーーあー」(お母さん)


 ちなみに妹、結心ゆいが言いたい事はわからないのでアフレコである。


「ありがとう、久しぶりだね。名前で呼んでくれるの」


「あぁ、ここは名前の方がいいだろうと思ってな」


「そっかー、嬉しいな。結笑も結心もありがとね」


 伝わってはいないだろうが、祝っていると解釈してもらえたらしい。よかった。


「後、これ僕からのプレゼント」


 あっ、そうか。お母さん誕生日なんだから、家事の手伝いだけじゃなくちゃんとプレゼントも、用意してたんだね。

 さぁ、父の選んだプレゼントはなんなのでしょうか!


「わぁ、バインダーだ!ありがとう。」


 えっ、バインダー?あの紙とか挟んで使うやつ?なんでだろう。あ母さんはすごくよろこんでいるみたいだけど


「あぁ、もう少しで育休も終わって、職場復帰だろ。その時に使えるかと思って」


「本当にありがとう。前に使ってたやつはもうボロボロだったから、産休に入る時に捨てちゃって、新しいの買おうと思ってたんだよね」


「それを聞いたのを思い出してな、いい機会だと思ってそれにしたんだ」


「えへへ、生徒達に自慢しちゃお」


「それは、恥ずかしいからやめてくれ」


 お父さんが本当に恥ずかしそうに笑っている。お母さんニコニコしているので、本当にお父さんのプレゼントが嬉しいのだろう。


 関係ないけど、お母さんの職業って教師だったんだね。これまで働いてるの見た事なかったし、聞いたこともなかったからちゃんと覚えておこう。


「もう結笑と結心が生まれから半年以上経つんだもんね」


「そうだな。早いものだな、日が経つのは。僕とお母さんは終わったから、次は結笑と結心の番だな」


「ふふっ、今から何するか考えとかなきゃね」


 今日は、お母さんの誕生日だと言うのに2人して私たちの話をしている。


 まぁ、2人とも幸せそうだし良いか。


〜お母さんの誕生日会 1時間前〜

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