第1話 ダンジョンとステータス

ダンジョンが現れた事に一時放心状態となったが


この世界でのダンジョンがどんなものなのかは確認のしようがない為


問題を先送りにした。


朝食を済ませた俺は久しぶりの学校に緊張を覚えていた


(別に学校を長期間休んで久しぶりに登校するというわけでもないのに…。)


深呼吸をしながら通学路を歩いていると後ろから声を掛けられる


「おはよう優希ゆうき!」


声を掛けてきたのは幼馴染の西院さいいん あきら(男)


「おう、アキラ久しぶり!」


「おう、一日ぶりだな!」


(つい久しぶりなんて言ったけどアキラからしたら1日しか経ってないんだった。)


さっそく失敗を反省したところで今朝のニュースが話題になる。


「ニュース見たか?」


「ん?洞窟のやつか?」


「それそれ、あれってさダンジョンっぽくね?」


「あ、ああ。ゲームっぽいよなー あはは……。」


「だよなー!モンスターとかいたりしたらヤバそう。」


(ヤバそうというか、たぶんいるからヤバいと思う……。)


「そ、そうだな。洞窟には近寄らない方がよさそうだな…。」


学校に着いてからも始業チャイムが鳴るまでダンジョンの話題で教室中が盛り上がっていた。


担任のかつら瑞稀みずき先生が教室に入り朝のHRが始まる。


「今朝のニュースで大体の者は知っていると思うが、洞窟が世界中に現れたみたいだ。未発見の洞窟を見つけた場合はすぐに警察に連絡し中に入ったりは絶対しないように!」


(そうそう、桂先生って美人だけど男っぽかったんだ!なんか色々思い出してきたぞ!!)


異世界で過ごした30年という時間は、あまり関わりのなかったクラスメイトや先生を記憶の底に沈めてしまっていたのでサルベージするまでには時間が必要だ。


といってもモブを極めていた俺はアキラ以外の友人は2人しかいないため、サルベージするのは名前だけだったのでサクッと【鑑定】スキルでごまかした。


30年振りの勉強は異世界で上げたスキルやステータスのおかげで教科書を流し読みするだけで丸暗記できたので心配はなさそうだ。


昼休み


学校内が少し騒がしくなってきたと思っていたら、校内放送から急報が告げられる


『緊急連絡!緊急連絡!今朝方ニュースでとりあげられた洞窟に異形の怪物がいるという報告がありました。遭遇した自衛隊の発表では、怪物は非常に狂暴で遭遇時に襲い掛かってきたそうなので洞窟には絶対に近寄らないように注意してください。また洞窟を発見した際は警察に通報し、中には入らないようにして下さい。』


(だと思ったよ……。しかし何故地球にダンジョンが現れたんだ? 転移魔法と何か関係があるのか?)


「優希! やっぱりダンジョンだったな!!」


少し興奮気味にアキラが話しかけてくる


「なんか嬉しそうだな?」


「そりゃそうだろ!ダンジョンだぜ?ワクワクするだろ!!」


(どこのそんさんだよっ!!)


「いやいや、普通に怖いから近寄りたくないだろ。俺はゴメンだね。」


「優希はロマンがわかってねーな!」


「ロマンより命の方が大事だよ。」


「ダンジョンなんてゲームみたいだし【ステータス】とか出たり……うぇっ!?」


「なっ!?」


ステータスと言ったアキラの目の前に異世界で見慣れたステータス画面が出てきた。


(ほ、本当にどうなってるんだこれは……!?)


アキラにクラス中の視線が集まったと思ったら、あっという間にアキラはクラスメイトに囲まれてしまった。


教室は一気に騒がしくなりところどころで「ステータス!」と唱えられていた。


ちなみにさっきチラッと見えたアキラのステータスはこちら


西院 アキラ

LV.1

職業 聖騎士

HP 50

MP 28

STR 22

VIT 15

AGI 20

INT 10

LUC 25


そして俺のステータスがこちら


寺町 優希

LV.9999

職業 勇者

HP 99999

MP 99999

STR 99999

VIT 99999

AGI 99999

INT 99999

LUC 99999


鑑定で見た時と違い表示限界があるみたいなのでステータスはもっと上だ。


とりあえずステータスを見られると厄介なので、隠蔽スキルでアキラと似たような数値に偽装しておいた。


スキルや魔法の表示は特にないのは異世界でも共通で、スキルは覚えると使えるという謎意識が勝手に頭に入ってくるのでなんとなく使えるという認識しかない。


魔法もスキルと同様で火魔法のスキルを覚えたらイメージするだけで魔法を使えるが、イメージの大小で消費するMPが増減するので俺も最初は魔力欠乏症でぶっ倒れた記憶がある。


なんやかんやと色々あり、気が付いたらクラスだけでなく学校を飛び越えて町中でステータス祭りになっていた。


『【ステータス】と唱えると目の前に画面が出てきて……』


家に帰ってテレビをつけると、どのチャンネルでも【ステータス】の話題一色となっていた。

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