鸚鵡
大学時代に書いたやつです。当時を思い出して書いてみます。
◆作品について
我が文芸部と美術部の交流企画があり、相手の作風に寄せた作品を作ろうという試みがありました。
私とタッグを組んだのは鸚鵡の絵ばかり描いている男で、見せてもらったクロッキーはほぼ全て大小様々な鸚鵡でした。
鉛筆・油彩・水彩で緻密に描かれた鸚鵡は写実的で今にも動き出しそうで、これはしっかり鸚鵡が出る話を書かなければとなりました。
「好きな小説家はいるか」と聞くと、彼は最後にどんでん返しがある短編小説が好きだと言って、一冊の本を手渡してきました。
道尾秀介著『鬼の跫音』です。さっき本棚を見たら入ってました。
終始暗い話のオンパレードなのですが、秀逸な叙述トリックの宝庫でどこか惹き付けられるものがあり、今に至るまで何度も何度も読み返しています。
個人的に目を引くのは、何かしら登場する動物の視点による「不在の証明」です。
そこには主人公以外に誰も目撃者がいないという情報を、動物の挙動で表現するのです。作者の癖なのか狙って書いているのかは分かりませんが、当時それに気づいて感動したのを覚えています。
鸚鵡の彼、あの時勧めてくれてありがとう。
そんな訳で
①鸚鵡が出てくる
②叙述トリックを用いる
③雰囲気は暗く、道尾秀介風で
の3つを守って書き進めました。
③の道尾秀介風、というのが難しく、何度も『鬼の跫音』から文章をまるっと書き写して文体のリズムを掴み、模写した記憶があります。
文芸部と美術部の合同展示会では簡単に製本され、挿絵に白い鸚鵡の鉛筆画を描いてもらいました。手元にないので、多分彼にあげたんだと思います。
非常に思い出深い作品です。
あの男はまだ、鸚鵡を描いているのでしょうか。
作品↓
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