下着鑑賞会

 千夏さんを彼女にしてから、僕はほぼ毎日家にお邪魔している。

平日・祝日問わずだ。これが当たり前になりつつあるね。


頻繁かつ長時間お邪魔していると、生活スタイルもある程度わかってくる。

その中で僕が一番興味があるのは、洗濯物関連だ。


千春さんが洗濯物を干したり畳んだりする様子をよく見かける。

洗濯物の中には当然下着も含まれているから、楽しく観察するのが日課だ。


そして今日も、じっくり観察を続ける…。



 僕達3人は、リビングにいる。千春さんは洗濯物を取り込んでいる最中だ。

この後すぐ畳み始めるのが、いつもの流れだね。


僕と千夏さんは、ソファーに座りながら電子書籍のエロ本を読んでいる。

隣にいる彼女は集中して読んでいるけど、僕は洗濯物の観察により一時中断だ。


……あれ? あの可愛いブラとパンツ、見覚えがないな。サイズ的に千夏さんのだけど。2人のサイズの違いは一目瞭然なので、間違えることはない。


「千夏さん、昨日は可愛い下着を着けてたんだね」

昨日はHしてないから、下着を観る機会がなかったし…。


「あれ、母さんが買ってきてくれた下着なのよ」

タブレットを横に置いた千夏さんが、僕を観ながら言う。


「そうなんだ」

千春さん…、優しい人だよな。


「玲君も可愛いと思ってくれたみたいね♪ 私もそう思ったから、千夏ちゃんにプレゼントしたのよ♪」


取り込み終わった千春さんが、話に加わる。


「千春さん、千夏さんの下着のサイズ知ってるんですか?」

パンツはともかく、ブラはでは買えないはずだ。


「Hの時に千夏ちゃんの胸を揉んだ事あるけど、その時に何となくわかったわね♪」


胸を揉んだだけで、大体のサイズがわかるの? 2人の胸を数えきれないぐらい揉んできたけど、カップ数なんてわからないぞ…。



 「玲君は、私達に着てほしい下着はあるかしら? 机の上に下着専用のカタログがあるから、好きに観て良いわよ♪」


千春さんはそう言った後、洗濯物を畳み始める。


せっかくだし見てみよう。カタログを手に取った後、ソファーに戻り中を確認する。


女子の下着って、可愛さを重視するかエロさを重視するかで、話が変わってくるよな…。2人には、どっちを勧めようか…?


「…これは」

つい独り言が出てしまった。


「何か良いのあった?」

隣に座っている千夏さんがカタログを覗き込む。


「何これ!? 露出度高過ぎじゃない?」


大切な部分しか隠せない下着だ…。分類上は勝負下着になるのかな?


「千夏さんにこれ着て登校してもらいたいな~」

学校という真面目な空間に、淫らな下着を着た千夏さん。


このギャップが、興奮を誘う。


「嫌よ! もしバレたら絶対変態扱いされるじゃん!!」


「大丈夫だって。大体、いつバレるっていうの?」

体操服ならともかく、制服は透けたりしない。


「そんなの、体育の着替えの時に決まってるじゃない!」


「だったら、体育がない日ならOKだよね?」

これなら問題ないはず。


「そうだけど…。もし、風でスカートがめくれたらどうする訳!?」


そういうアクシデントもあるか…。


「その時は…、どうしようか?」

名案が思い付かない。変態デビューしてもらうとか?


「知らないわよ!? アタシに訊かないで!」


スカートの下にスパッツとかを穿けば解決するけど、そんな事したら露出度が高い下着を着ける意味がないし…。難しい問題だな。


「玲君。学校でそういうおふざけはダメよ。やるなら、家限定ね♪」


「はい…」


こうして、千夏さんの勝負下着デビューはなくなった…。



 …待てよ。学校がダメなら、それ以外の場所で着てもらえば良い。


「じゃあ、千春さんに着てもらいたいです」

主婦なら、学生よりも制約は少ない…はず。


「どれどれ…」

洗濯物を畳み終わった千春さんが、カタログをチェックする。


「その下着に目を付けるなんて…、さすが玲君♪」


そう言うってことは、この下着のことを覚えていたのか…。


「けど残念ね。その下着、私に合うサイズがないの」


「…本当ですか?」


「本当よ♪」


諦めきれないので別の下着を探したけど、どれもエロくない。

着て欲しい下着に限って、サイズが合わないなんて…。


「千夏さん、休日の時はこの下着を着てよ!」

最大まで妥協した結果だ。


「…何があんたをそこまで夢中にさせるの?」

千夏さんは呆れた顔をする。


「エロい下着は最高なんだよ。だから着て欲しいんだ!」

言葉では説明しにくい。一言で言えばだね。


「休日だったらずっとHできるんだし、下着にこだわらなくて良いでしょ?」


「全裸と下着姿は、別物なの。僕は千夏さんの裸を観たいけど、下着姿の千夏さんだって観たいんだから!」


可愛いと美しいは違う、みたいな感じかな?


「玲君熱くなってるわね♪ 千夏ちゃん、買ってあげるから着てあげて♪」


「…しょうがないわね。休日の時だけよ」


「やったー!!」


カタログで注文するから、届くにはタイムラグがあるな。

楽しみに待つとしよう。



 後日。登校中の時に、千夏さんが声をかける。


「玲。あの下着、今日の昼頃に届くらしいわよ。帰ったら着てあげるわ」


「本当? それは楽しみだよ」

僕達は学校にいるけど、千春さんが受け取ってくれるのだ。


…さっきから、千夏さんの歩き方に違和感を覚える。

というのも、いつもより小股で歩いているからだ。


僕と待ち合わせる前に、足がとか?

訊くのも野暮なので、彼女のペースに合わせることにする。



 そして放課後。僕達は急いで千夏さんの家に向かう。


「千春さん、例の下着はどこですか?」

リビングにダンボールらしきものは見当たらない…。


「…そこよ♪」

彼女は何故か千夏さんを指差している。


「つまり、こういう事」

千夏さんが制服を脱いだことで、あの露出度が高い下着があらわになる…。


「その下着、もう届いていたの?」


「昨日ね。玲にサプライズしたくて、朝から着てたのよ」


「あの時、風でスカートがめくれたらって言ってたじゃないか!?」

だから制服の下に着るのは、あり得ないと思っていた…。


「だからそうならないように、今日1日小股で歩いてたのよ」


そういう理由だったのか。今なら納得だ。


「私は反対したんだけど、の条件で許可したのよ♪」


「なるほど…」


点と線が繋がって、気分はスッキリだ。


「さぁ、玲。あんたの気が済むまで観なさい!」


「うん。そうさせてもらうよ」


下着鑑賞会の始まりだ。

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