ヤバい現場に遭遇してしまった

 ある祝日。前日に千夏さんの家に行く時間を伝えた僕は、時間通りに彼女の家に着いた。その後、玄関ドアを開けて堂々と入る。


普通は呼鈴を押し、千春さんか千夏さんのどちらかが応答してから入ると思う。


しかしこの家には何度も来ているので、そういうのは不要だ。

玄関で挨拶すれば、それで十分。


ならぬだ。


「こんにちは~」

僕は玄関で挨拶してから靴を脱ぐ。


これで、僕が来たことはわかったはずだ。

家の中は静かだし、ちゃんと聞こえているはず。


とりあえず、いつも通りリビングに向かおうかな。



 リビングに入ると…、千春さんと千夏さんの2人がソファーに座りながらキスをしていた。邪魔しないよう、そのまま様子を見守る。


僕の現在地的に、千夏さんは背中しか見えず千春さんの顔はよく見える。

…僕のほうを観た千春さんはキスを止めた。


「いらっしゃい♪ 玲君」


その言葉を聴いた千夏さんは、すぐ後ろを振り返って僕を観る。


「玲…、今の観てた?」


「キスの事? しっかり観てたよ」

千夏さんの顔が見えなかったのは残念だけど。


「これは違うの! 母さんがいきなり…」


「玲君が来るまでに、ムードを高めようと思ってね♪ ちょっと強引に千夏ちゃんを襲っちゃった♪」


予想通りの展開だな。千夏さんが望んでやるとは思えないし。


「アタシは百合に興味ないから。勘違いしないでよ!?」


「その割には、前より私のキスを受け入れてる気がするけどね」

ニヤニヤする千春さん。


そうなんだ。今のは覚えておこう。




 「それで、ムードは高まりましたか?」

僕がいなければ、今もキスをしていたと思うし。


「アタシは全然よ」


千夏さんはそうだろうね…。


「私も…、イマイチかな。千夏ちゃん、全然責めてくれないもの。こんな風にやってくれたら良いんだけどね♪」


ソファーに座っている千春さんは、隣に座っている千夏さんの胸を片手で揉み、もう片手で下を責めようとする。


「ちょっと母さん。玲がいるんだし、する必要ないでしょ!」

彼女は千春さんの手を払う。


「…それもそうね。玲君もそんなところでいつまでも立ってないで、私達と一緒に座りましょ♪」


「はい」


千春さんが、隣に座っている千夏さんとの距離を空ける。

…ん? 僕は2人の間に座れってこと?


まぁ良いか。僕は挟まれる形でソファーに座ることになった。



 「玲!」


「玲君!」


千夏さんと千春さんに、ほぼ同時に呼ばれる。この場合、どっちを向けば良いんだ?


…真正面で良いか。これなら平等だろう。


「何ですか?」


「ちょっと!? 何でアタシを観ないのよ?」


「玲君…、どっちつかずの態度は良くないと思うわ」


「それよりも…、2人の用件は何なの?」

ここは話題を変えた方が良いな。


「え? こっち向いた時に、キスしようと思ったんだけど?」


「私もそうするつもりだったわ。千夏ちゃんも同じことを考えたのね♪」


これは、どちらかを選ばないと面倒なことになるね…。


「玲! アタシか母さんのほうを観てキスしなさい!」


「玲君は私か千夏ちゃん、どちらを選ぶのかしら?」


僕が選んだ答えは…。



 僕は千春さんの顔を観た後、急いでキスをする。

今の気分的に彼女としたいと思ったけど、選んだ理由はもう1つある。


千夏さんは女同士とはいえ、千春さんの胸を責めようとしなかった。

もったいないことなので、僕が代わりに責めてあげよう。


それが、今回千春さんを選んだ理由だ。


「今回はダメだったか…」

千夏さんはつぶやく。


「けど、の相手をしたいから良いか♡」

彼女は僕のズボンとパンツを少し脱がし、を握って擦り出す。


全て脱がすとなると、僕が腰を浮かせる必要がある。

キスの流れを止めないために、少しで妥協したんだろう。



 千夏さんが僕のを責め、僕がキスしながら千春さんの胸と下を責める。

…その結果、僕と千春さんはほぼ同時にった。


「次はアタシにキスしてよね!」


「わかったよ…」

もうちょっと休憩したかったんだけど。


「私は休憩するわ…」


千春さんはそう言いながら、僕と千夏さんのキスを観察するのだった。

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