彼女の本性が、クラスメートに筒抜け?

 体育が終わり、教室で着替えを済ませてから自席についていると…。


「今村君。ちょっと訊きたいことがあるんだけど良いか?」


声の主を観たところ、佐下君のようだ。

そばには、遠藤君と高柳君もいる。


「どうしたの?」

この3人と話したことは、あまりないんだけど…。


「今村君って、古賀さんと付き合ってる訳だけどさ、当然ってるよな?」


男子は教室で、女子は更衣室で着替えることになっている。

女子はまだ教室に誰1人いないので、こういうエロいことを話せるのだ。


「まぁ…、そうだね」


「だよな!? って気持ち良いか?」

ニヤニヤしながら訊いてくる佐下君。


「うん…」

下ネタを話す時って、どういうテンションにすべきか悩む。


「やっぱりそうか。俺も早く彼女が欲しいぜ。なぁ、佐下?」


「ああ! 」


遠藤君の問いかけに、佐下君が答える。


「今村君、ごめんな。こんな事訊いちゃって…」

高柳君が謝ってきた。


「別に良いんだけど、何で僕に訊いたの?」

仲良くないし、彼女がいる人は他にもいると思うけど…。


「それはだな…、古賀さんがHであることがわかったからさ!」

佐下君が堂々と答える。


「そう思ったきっかけは何? 佐下君?」

学校でエロいことは話していないはず…。


「この間、古賀さんがキノコを描いて注意されたことがあったろ?」

(キノコですけど? にて)


「そうだね…」

あの件がきっかけか。クスクス笑っていた人がいたけど、佐下君も入っていたんだ。


「あれって、ってことじゃん? Hが好きとしか考えられねー」


千夏さんが描いた落書きの真意が、よりによって佐下君に伝わるとは。

これは教えておいたほうが良いな。


「高柳にも彼女がいるんだが、今村君知ってたか?」

今度は遠藤君が訊いてくる。


「そうなの? 知らなかったよ」


「だけどさ、2人は1回しかHしてないらしいんだよ」

補足する佐下君。


彼女が辛そうにしてたから、次を言い出せなくて…」


高柳君は、真面目で優しいタイプのようだ…。


「そんな訳で、何度もHしてる今村君に感想を訊いたんだ」


「なるほど…」

佐下君が僕に訊いてきた理由は納得した。


けど、千夏さんがH好きであることをバラされるのはまずい。


「佐下君。千夏さんの件、絶対他の人に言わないで!」


誰にだって、知られたくないことはある。この件は該当するはずだ。


「そんなの、わかってるぜ。ただ、千春さんもそうなのかな? とは思うがよ」


血は争えないってやつか…。否定はできないな。


「…もうそろそろ女子が戻ってくるか。じゃあな」

佐下君がそう言った後、3人は離れていく。


誰に聴かれるかわからないし、千夏さんの家で話すことにしよう。



 そして放課後。千夏さんの家のリビングに着いてから、あの話を切り出す。


「千夏さん。この間、授業中にキノコの落書きをしたことがあったよね?」


「あったわね。それがどうかした?」

千夏さんが答えた時、千春さんの表情が一瞬変わったような…。


「あれ、佐下君に『欲求不満』だと勘付かれたみたいだよ」


「マジで!? アイツにか…」

顔をしかめる千夏さん。


「学校では気を付けたほうが良いんじゃない?」

の話だけど。


「そうするわ。教えてくれてありがとね。玲」


「気にしないで」


「…ねぇ、千夏ちゃん。今の玲君の話を聴いた限りだけど、授業中に落書きをして遊んでたの?」


千春さんの声のトーンが低い。ちょっとキレてる?


「えーと…」

千夏さんは言葉を詰まらせる。


遊んでいたのは事実なので、反論なんてできないだろう…。


「この前、言ったわよね? 学生なんだから、真面目に授業を受けなさいって」

(彼女に史上最大の危機が迫る!? にて)


「そうね…」


「次遊んだら、おしおきするからね。わかった?」


「わかり…ました」

丁寧に答える千夏さん。


今思えば、下校中に話せばこんなことにならなかったな…。



 「時々、玲君に千夏ちゃんの様子を報告してもらおうかな♪」


千春さんがそう言った時、千夏さんが僕を観る。

それって、ってこと?


「玲君は千夏ちゃんの彼氏だから、普通はかばっちゃうわね。正直に教えてくれたら、ご褒美をあげちゃう♪」


千春さんは自分の胸を、僕の顔に押し付けてきた。

ノーブラなのか、柔らかくて気持ち良いけど苦しい。


僕の気持ちを察したのか、胸の押し付けはすぐ終わった。


「今のは、落書きのことを教えてくれたお礼♪」


千夏さんが気になったので彼女を観ると、悔しそうな顔をしている。

母娘といえど、胸の大きさが全く違うからだ…。



 僕は千春さん・千夏さんの板挟みになってしまった。

先が思いやられるけど、大丈夫かな…?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る