透け透けバンザイ
体育館で行われた体育が終わり、館外を出た時だ。急に雨が降り出す。
今日、傘持ってきてないんだけど…。
…それよりも、女子の体育は外で行うのを千夏さんから聴いている。
彼女は濡れてないかな?
僕は教室に向かって歩きながら、外を確認する。
校内に向かって走る女子が、何人かいるな…。
遠目だから、その中に千夏さんがいるかは不明だ。
大丈夫だと信じよう。僕は着替えるために、教室に向かう。
教室に向かう途中、同じクラスで体操服姿の女子3名とすれ違いそうになる。
…? 真ん中にいる1人は、腕で胸を隠しながら歩いているな。
両端にいる女子2人は、普通に歩いている。この差は一体?
「…今村君。ジロジロ見ないでくれる?」
すれ違う直前、胸を隠している女子が僕の顔を観て注意してくる。
「ご…ごめん」
謝る際に3人を近くで観たことで、胸を隠している理由が分かった。
3人共、髪が濡れているのだ。どうやらさっきの雨に打たれたみたい。
となると、隠す理由は透けブラを気にしてるからだね。
体操服の上は白だから、濡れると透けやすいか…。
悪いことしたけど、謝ったし事故みたいなものだから、許してくれるよね…?
そう思って間もなく教室に着いたので、さっさと着替えることにしよう。
「なぁなぁ、女子の透けブラ観た?」
「ああ、見たぜ。マジ眼福だわ~」
着替え終わってから、そういう会話が聞こえてきた。
現在教室には男子しかいないからね。話すタイミングは今しかない。
「女子が外で体育をやる時は、毎回雨が降ってほしいぜ」
「まったくだ。毎日頑張って学校に来てるんだ。ご褒美がないと、やってられん」
「お前、安藤さんのブラ観たか? 意外に派手なブラしてて驚いたぞ」
「へぇ。どういう感じだったんだ?」
「それは…」
話してる途中で女子が教室に入ってきたので、会話が中断される。
安藤さんが派手なブラをしてたのか。気になるけど、訊くほどじゃないし…。
本人にバレないように観られることを祈ろう。
さっきの雨は、単なる通り雨だったようだ。知らない間に止んでいた。
これでいつも通り、千夏さんの家に行けるな。
けど着いて早々、千夏さんに言われたある事が原因で、いつも通り過ごせなくなる。
「玲。透けブラは楽しめた?」
リビングで3人のんびりしてる時、千夏さんが訊いてくる。
「透けブラ?」
千春さんが首をかしげる。
「今日、通り雨が降ったじゃない? その時、女子は外で体育だったのよ」
「ああ…、そういう事」
納得した様子の千春さん。
「んで、玲どうなの?」
「別に楽しんでないけど?」
どうせ、いつものからかいだ。気にすることじゃないな。
「へぇ、嘘を付くんだ? 証拠はあるのよ?」
「それって、まさか…」
あれしか考えられない。
「そう、アタシ言われたんだから。『今村君に胸をジロジロ見られた』って。実際その子の体操服の上、雨に濡れて少し透けてたのよね…」
僕が観たことに腹を立てた女子(名前はど忘れした)が、彼女である千夏さんに告げ口したんだ。…あの時の謝罪では、許してくれなかったか。
「玲君。私達以外の女の子には、紳士的にしないとダメよ♪」
「え?」
その言い方…。言い間違いじゃないよな…?
「がっつくのは、アタシ達で我慢しなさいってこと!」
千夏さんの補足に頷く千春さん。
この2人は、紳士的より肉食であることのほうが大切らしい…。
「透けブラにデレデレした玲にお仕置きが必要だと思わない? 母さん?」
「そうね。玲君、前からお尻を責められるのを嫌がってたっけ。ちょうど良いわ♪」
ヤバい。千春さんの目は本気だ。止めさせないと!
「透けブラを観たのは事故ですよ。それに僕、ちゃんと謝ったんですから!」
「だったら謝ってすぐ、許すとかの言葉を聴いた訳?」
千夏さんが確認する。
「…聴いてないです」
僕の謝罪後、3人は何も言わずに行っちゃったし…。
「そういうのは、謝ったに入らないの! 一方的じゃ意味ないわ!」
僕があの場ですべきだったのは、何度も謝るべきだったのかな?
でもそんな事したら、お互い着替える時間が減る訳で…。
「玲! 覚悟しなさいよ~」
「玲君。心の準備はできたかしら?」
2人がおしおきするため、僕に近付いてくる。仕方ない、早く覚悟を決めよう…。
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