好きな呼び方は? (兄編)

 千夏さんと下校中、小学校低学年の男の子・女の子2人とすれ違いそうになる。


「ねぇ、お兄ちゃん。帰ったらゲームしよう」


「良いぞ。負けないからな~」


「うん」


すれ違い間際、楽しそうに話す2人。

仲が良さそうだけど、兄妹だったのか…。



 さっきの兄妹とすれ違って、ちょっと経過した後。

千夏さんが話しかけてくる。


「兄妹か…。アタシと玲は一人っ子だから、縁がないわね」


「そうだね…」

高1になった今、弟・妹ができるなんてあり得ないからだ。


…千春さんなら何とかなるのでは? と思った自分が恐ろしいな。


「あのさぁ、玲。もし妹ができたら、何て呼ばれたい?」


「…え?」

話が続くとは…。


「一度ぐらいは想像したことあるんじゃないの?」

千夏さんはニヤニヤしながら僕を観る。


「一応あるけど…」


「やっぱりね。で、どう呼ばれたいのよ?」


「『お兄ちゃん』かな」

王道だけど最強だと思っている。


「ふぅん…。ねぇ、玲お兄ちゃん。アタシとHしよ♡」

本当に妹がおねだりしてるような、声真似と甘えた仕草をする千夏さん。


小声じゃなくて囁くのも、エロい雰囲気を出している…。


「急にどうしたの!?」

囁くのもそうだけど、言った内容も気になる。


「兄と妹がHする話って、エロ漫画の定番じゃん? 大抵は兄が先に手を出してるけど、妹から誘われたらお兄ちゃんと呼ばれたい玲が興奮する思って」


「現実と漫画をごちゃ混ぜにしちゃダメだよ、千夏さん」

ああいう話は、実際に出来ない・あり得ないから存在してるんだ。


現実で兄が妹に興奮するなんて、絶対ないはず。…ないよね?



 「へぇ~。『お兄ちゃん』以外にも、こんなに呼び方があるのね…」

いつも通り千夏さんの家に寄って千春さんに挨拶した後、彼女の部屋に行く僕。


自室に着いて早々、千夏さんは携帯で『兄の呼び方』について調べたようだ。


弟・妹トークは、千春さんにどう思われるかわからないからね。

なので話す時は2人きりの時にすると、帰る前に話し合ったのだ。


「どれどれ…」

彼女の携帯を覗き見する僕。本当にたくさんあるな…。


「『にぃに』とか『おにぃ』って、現実で絶対呼ばれないわよね? 思い付いた人凄いわ…」


「確かにね…」

カッコイイ響きだけど『兄上』も呼ばれないよな~。


「玲。もしかしたら『お兄ちゃん』よりハマる呼び方があるかもしれないわよ」


「ハマる? そんなのあるかな~?」

候補を観ただけでは、どれもピンとこない。


「やるだけやってみましょ。あんたとの反応を頼りにね…♡」

千夏さんはそう言って、僕のズボンの上から股間に触れる。


「玲とは一心同体だから、2人が満足できれば採用って事で♡」


僕のズボンは完全に脱がされ、千夏さんにを触られながら、耳元でいろんな呼び方を囁かれるプレイをすることになった…。


僕に合う別の呼び方はあるのか…? それは、僕とのみが知る。

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