好きな呼び方は? (姉編)
昼休み。教室で隣の席の千夏さんと昼食をとろうとした時…。
「
廊下にいる女子生徒が、教室に向かって叫ぶ。…胸のリボンの色を観ると、どうやら2年生のようだ。僕達より1学年上だな。
「姉ちゃん、来てくれたか!」
そう言って彼女に近付くのは…、佐下君だ。
彼、お姉さんがいたのか…。
あまりに珍しい光景なので、クラスメート全員が佐下姉弟を見つめる。
「あんた、今日弁当忘れたでしょ? だから持ってきてあげたのよ」
「マジ助かる。学校に着いてから、忘れたことに気付いてさ」
「まったく…、注意力が足りないのよ。いつもいつも…」
「姉ちゃん。学校でお説教は止めてくれよ。みんなに迷惑じゃないか」
クラスメートを見渡す佐下君。
「…そうだったわ」
ハッとした顔をする、佐下君のお姉さん。
「弁当、ありがとなー」
彼はお姉さんから弁当を受け取った後、いつも昼食を共にするメンバーの元に急ぐ。
お姉さんは何も言わず、静かに立ち去った…。
「悪いな待たせて。食おうぜ」
佐下君のこの言葉を聴いて、僕と千夏さんも昼食をとり始める。
下校時。隣にいる千夏さんが話しかけてくる。
「アイツにお姉さんがいるなんて驚いたわ…」
彼女は佐下君よりも、お姉さんをじっくり観てた気がする。
千春さんには及ばないけど、胸が大きかったからだ。
「だよね。彼とは違って、真面目そうだし」
昼休みの会話を聴く限り、ああいうことは珍しくなさそうだ…。
「アイツがお姉さんのように真面目になるなんて、絶対あり得ないわね!」
毒舌で締める千夏さん。
佐下君のことが嫌いなのはわかってるけど、そこまで言わなくても…。
「千夏さんは、弟にどう呼ばれたい?」
この間『妹に何て呼ばれたい? 』と訊かれたので、そのお返しだ。
「そうね…、『姉さん』かしら」
「あれ? お姉ちゃんじゃないんだ?」
気になったので、すぐ指摘する。
「姉をどう呼ぶかで、弟の性格がある程度決まると思うのよ。ちゃん付けは、頼りがいがなくて面倒な感じがしそう。アタシの弟は、しっかりしてもらいたいわ」
佐下君は、お姉さんを『姉ちゃん』と呼んでいたな。
さっきの彼の行動・発言が影響してるかも?
「弟にしっかりしてもらいたいんだ?」
そのほうが、姉としてはありがたいよな…。
「そりゃそうよ。だらしないアタシにお仕置きという名目でイタズラしてほしいし、アタシの着替えを観て顔を赤くしてもらいたいし…」
千夏さん、Hなことは自分から行動を起こすのに、弟からはされたいのか…。
でもうっかり着替えを観た弟を振り回したいようにも聞こえる。
SとMを、気分やタイミングで使い分けるって事かな?
…どちらにしても、千夏さんの弟になったらH漬けの毎日になるんだろうな。
僕はそう思いながら、キリが良いところで姉トークを終わらせることにした。
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