新ジャンル 傘プレイ?

 千夏さんと一緒に下校している時、傘を剣に見立てて振ったり、つばぜり合いしている男の子2人を見かけた。


2人とも力加減はしている感じなので、特に警戒する必要はなさそうだ。


登校時は雨が降っていたけど、今は止んでいて青空が広がっている。

なので僕と千夏さんも、傘を持ったまま下校している状態だ。


「玲もああいう事、やったことある?」

千夏さんが訊いてきた。


「ないよ。あんなやんちゃなタイプじゃなかったし…」

周りに誰もいない時に、試しにちょっと振ったことはあるけど。


「男子って、剣とか銃が好きよね~」


銃はともかく、剣や刀が出ないバトル漫画は珍しいぐらいだ。

それぐらい、少年の心をつかんでいるはず。



 「傘ってさ、透明のビニールじゃない限り、透けたりしないわよね?」

謎めいたことを訊いている千夏さん。


「そうだね…」


人気ひとけのない所や狭い所でのHはあるけどさ、傘を使ったHってなくない?」


エロ漫画を読んで思ったんだろうか?

フィクションだから、現実ではありえないシチュエーションがあるからな…。


外でHなことを話す時は、お互い声のトーンは抑えるようにしている。

これぐらいは常識だ。恥はかきたくないからね。


「傘をどう使うかによって、話が変わりそうだけど」


「そうね…。先端で敏感な所をグリグリするとか、目隠しに使うとかかしら」


グリグリする場合、傘は長すぎるから使いにくいだろうね。

自分は立っていて、寝そべっている相手に何かするならアリかも?


目隠しとして使うのも厳しいはず…。道を歩いていて、急に開いている傘を見かけたら、多くの人が不審に思うよね。目隠しには使えない…。


「千夏さん、傘はHに使えないと思うよ」


「やっぱりそうよね…。相合傘で好感度UPぐらいしかないか…」


相合傘か…。昔のラブコメの定番だけど、やったことないな。

食パン咥えながら走って人とぶつかるのと同じぐらい、都市伝説化していると思う。


「……待って。こういう使い方ができるじゃん!」

千夏さんは今まで持っていた傘の取っ手部分から、中央付近に持ち替える。


その後、持ち手の曲がっている部分で自身のスカートのすそを引っかけるようにして上げる。これって…、スカートめくり?


「こんな風に、として活用できるかもしれないわね」


「そうかも…」

使い道が限定され過ぎなのは、指摘しないでおく。


「母さんなら、他の使い道を教えてくれるかも。玲、急いで帰って訊くわよ!」


「うん」


さっきのスカートめくり棒でも仰天したのに、他にもあるのか…?



 帰宅後。千夏さんは早速、千春さんにさっきの件を話す。


「そうね~……」

あの千春さんですら、悩んでいる様子だ。


「千夏さん、他の使い道なんてないんだよ」


「そうなのかな…?」

未だに納得していない千夏さん。


「…思い付いたわ!」


「本当ですか?」

嘘でしょ? 千春さん、凄いな。


「早く教えて!」

千夏さんは興奮を抑えられないようだ。


「まず、湿気を完全にとった閉じた傘が必要ね」


湿気? そこ重要なの?


「持って帰ってきた傘で問題なさそう」

千夏さんは玄関にある傘立てから、さっき立てた傘をリビングに持ってくる。


「玲君。ちょっと脚開いてくれる?」


「はい…」

訳が分からないまま、指示に従う。


「この傘を、玲君の股に入れて…」

傘の中央付近が、僕の股にくるように位置調整をする千春さん。


その傘は、僕のあたりまで上がってきて…。


「こうやって前後に動かせば…♪」


傘が動くたびに、に当たるな…。悪いけど気持ち良くない。

やってることはエロいかもしれないけど…。


…湿気がない傘を求めた理由が、プレイの途中で分かった。

濡れた傘だと、股も濡れてしまうからね。それを避けるためなんだ。



 「これ以外は思い付かなかったわ。ごめんね♪」

傘を動かす手を止めた千春さんは、千夏さんに言う。


「良いのよ。アタシと母さんが知恵を振り絞っても、傘を使ったプレイはできないことがわかったから」


知恵を振り絞らなくても、それぐらいわかるよね?


「他にHに使えそうな、身近な物はないかな~?」

早くも千夏さんは別の物を探し始めている。


次は何が彼女のターゲットになるのか?

楽しみに待つとしよう。

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