千春さんの膝枕で僕は安らぐ

 登校前、千夏さんとの待ち合わせ場所に着いた僕。…眠い、眠すぎてヤバいぞ。


着いて数分後かな。千夏さんがやってきた。


「お待たせ…って、玲。ずいぶん眠そうね」


千夏さんにわかるって事は、ひどい顔をしてるんだな。

家を出る前に鏡で確認したけど、その時はバレないと思っていた。


「この2日、満足に寝れてないんだ…」


「何でよ?」


「2日前は怖い何かに追いかけられる夢を見てから、寝れなくなったんだ。

昨日は、高いところから落ちる夢を見てから寝てない…」


「夢なんだから、気にせず寝れば良いじゃない!」


「寝ようと思ったよ。でも? って思うと、寝るのが怖いんだ。余計な事ばかり考えちゃって…」


「そっか…。大変そうね」


「千夏さんは…、問題なさそうで良かったよ」

眠そうな様子は一切見られない。


「うん。夢の中の玲に気持ち良くしてもらっちゃった♡」


「…それは良かった。じゃ、そろそろ行こうか」

眠い目をこすりながら、僕と千夏さんは登校する。



 学校に入り、自席につく僕と千夏さん。

座った途端、疲れと眠気がどっときたな…。


このまま机に伏せて寝ようかな?

…音と人の気配で溢れている教室で寝るのは厳しいぞ。


「玲。本当にヤバいなら、保健室行く?」

千夏さんが気遣ってくれた。


「いや、大丈夫だよ」

行くのも面倒だし、彼女の手を煩わせたくない。


「そう…」

千夏さんは顔を曇らせる。


彼女のために少しでも寝て、マシな顔にならないと…。

僕は机に伏せて目を閉じた。



 学校にいる間の空いた時間、僕はひたすら机に伏せて目を閉じた。

寝れなくても、目を閉じるだけでも休まることをどこかで聴いたからだ。


実際効果は感じられ、授業は何とか受けられた。授業によっては退屈な部分があったので、その部分はバレないように目だけ閉じて、体力回復に努めた。



 下校時。隣にいる千夏さんが訊いてくる。


「今日はどうする? まっすぐ帰る?」


まっすぐ帰ったところで、家に両親はいないから1人になる。

それだったら、千春さんの顔を観たほうが安心できるな。


「ううん。寄らせてもらうよ」


「アタシに遠慮せず、ウチで昼寝しても良いからね」


「ありがとう。そうするかも」

本当にあの家は、第2の実家だな…。



 千夏さんの家に着き、リビングに向かうと千春さんが出迎えてくれた。


「…玲君。どうしたの? その顔?」


ひどい顔は相変わらずなのか…。


眠い僕に代わって、千夏さんが事情を説明する。


「そうなの…。だったらお昼寝すると良いわ♪」

言い終わった後、何故かソファーの端に座る千春さん。


「玲君こっちおいで♪ 膝枕してあげるから♪」


普段の僕なら「大丈夫です」とか言って、断っただろう。

でも眠気MAXの今、千春さんの膝が魅力的に見える…。


僕は吸い込まれるように、千春さんのそばに行き頭を膝に乗せる。

体はソファーの空いている部分に置いている状態だ。


「母さん、玲のこと頼むわよ」


「任せて♪」


そう言った後、千夏さんはリビングを出る。自分の部屋に向かったようだ。



 「玲君、1日お疲れ様。怖い夢を見ても、私が守ってあげるから安心して♪」


子供をあやすような優しい声色、そして頭を撫で続けてくれる気持ち良さ。


千春さんがそばにいる安心感のおかげで、不安なことが一切浮かばない。

睡眠の邪魔をする要素がない今なら熟睡できそうだ。


目を閉じてすぐ、僕の意識はなくなる…。



 …意識が戻り、僕は目を開ける。頭上の千春さんは目を閉じていた。

動けなくて退屈だから、彼女も昼寝したのかな?


それにしても身体が軽い。本調子とはいかないけど、気分は良い感じだ。

千春さんが起きたら、きちんとお礼を言わないと。


僕がゆっくり体を起こし終えて間もなく、千春さんは目を開ける。


「すみません。起こしてしまって」


「ううん、良いのよ。…玲君、さっきより良い顔になったわね♪」


「千春さんがそばにいてくれたおかげで、しっかり昼寝できました。本当にありがとうございます」


「…その言葉に嘘はないみたい♪」

千春さんは僕の股間を観て言う。


が少し大きくなっていた。起きて間もないからだ。


と玲君は一心同体でしょ? 玲君が元気じゃなかったら、大きくならないでしょうし…」


「確かにそうですね…」

僕個人の考えだけど、性欲が食欲・睡眠欲に勝るとは思えない。


睡眠欲が軽減したから、は大きくなった…と思う。



 「…玲。さっきよりマシな顔になったじゃない」

リビングにやってきた千夏さんが言う。


「話し声、千夏さんの部屋に聴こえてた?」

大きい声で話したつもりはないけど…。


「違うわよ。トイレが済んで部屋に戻ろうとした時、玲と母さんの話し声が聞こえたから、様子を観に来たのよ」


そういう事か…。


「さすがに…、今日は止めといたほうが良いか…」


千夏さんは、僕をHに誘おうとしているな。それぐらいわかる。


「うん。今日は厳しいかも…」

まだ本調子じゃないしね。


「玲君。今Hするのも手だと思うわよ」


「…どういう事ですか?」

千春さんに訳が分からないことを言われ、頭の整理がつかない。


「寝る前に余計なことを考えられなくなるぐらい、体力を使えば良いの♪」


それは一理あるな。考えることが、不眠の原因なんだし…。


「玲、そうしなさいよ。あんたもアタシ達とHする夢を何度も見るぐらい、脳裏に刻んであげるから♡」


嫌なことは、漫画と2人のHでかき消せば良いんだ。

…そう考えると、気が楽になる。


「わかった。やっぱりるよ」


「そうこなくっちゃ!」

笑顔で答える千夏さんは、僕の隣に座る。


千春さんは既にソファーに座っているから、僕は母娘に挟まれている状態だ。

今日はどういうプレイをしようかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る