白いのをぶっかけろ!?

 千夏さんと一緒に登校中、ある家の塀に落書きしてあるのを見かけた。

昨日の下校時は見なかったから、夜中にやったんだろう。


彼女も落書きの存在に気付いたようで…。


「まったく…、何であんな最低なことができるのかしら?」


「本当だよ」

スプレー缶で描いた感じだ。


「ああいうのって、うまく消せるのかな?」

一般的なブロック塀に見えるけど、落書きの範囲がやや広い。


「消すより、上から塗りつぶしたほうが楽かもしれないわね…」


僕達は落書き現場を通り過ぎる…。



 「さっきの落書きを上から塗りつぶすとしたら、何色にする?」

千夏さんによくわからないことを訊かれる。


「そりゃ…、白じゃないの?」

ベージュのような大人しい色も候補になるかな…。


「やっぱり、男は白よね!」

何故か納得している様子の千夏さん。


「千夏さん、ってどういう事?」

こんな事にも男女差がある?


「だって…、男はを出せるじゃん。だから何でも白く染めたい・ぶっかけたい欲求があると思ったけど…」


「そんなのないからね!」

エロ漫画の影響受け過ぎだよ!



 放課後。千夏さんは朝のことを、千春さんに話す。

それを聴いた彼女も、と即答した。


その理由に触れることなく、あの件について話し出す。


「千夏ちゃん。白いのをぶっかけるのは、男の子の専売特許じゃないのよ」


今の言い方、気になるな。まるで…。


「? アタシ達が白いのを出せるって言うの?」

千夏さんも同じように思ったようだ。


「あるじゃない。が♪」


母乳は飲むもので、ぶっかけるものじゃないんだけど…。


「アタシは出せないわよ!」

ややキレ気味に言う千夏さん。


「そうよね…。母乳の代わりになるものはあるかしら?」

考え込む千春さん。


母乳の代わりは、粉ミルクになるよね?

でも粉ミルクをぶっかけることはできない…。


…って、僕は何を考えてるんだ?

そもそも、ぶっかけること自体おかしいのに…。



 「そうだわ♪」

閃いた様子の千春さん。


何を言い出すか、全く予想できない。


「まず、粉ミルクを溶かして母乳の代わりにするのよ」


これに関しては、僕も思い付いた。

だけど千春さんのことだ。これで済むはずがない。


「それを水鉄砲に入れて撃てば…」


「母乳をぶっかけることができる!」

納得した様子の千夏さん。


この2人、何が何でもぶっかけたいようだ。

その熱意はどこから来るのか?


不思議でしょうがないよ。


「粉ミルクと水鉄砲を、近い内に買っておくわね」

千春さん…。本当にやる気なの?


「母さん、よろしく!」

ワクワクした様子の千夏さん。


粉ミルクと水鉄砲が揃ったら、疑似母乳ぶっかけプレイをするのか…。

まったく気乗りしないけど、その時を待つとしよう。

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