彼女に史上最大の危機が迫る!?

 自宅で夕食とお風呂を済ませ、自分の部屋で漫画を読んでいる時だ。

携帯の着信音が鳴る。


誰からだろう…?

確認すると、千春さんからだ。


「もしもし」


「玲君、私よ。今時間大丈夫かしら?」


「大丈夫ですよ」

何の用だろう?


「千夏ちゃん…、ここのところ真面目に授業受けてる?」


「…え?」

どうしてそんなこと訊くんだろう?


「部屋の電気が遅くまで付いてるからね。気になったのよ」


「それは…」

心当たりはあるけど、どう言うべきか…。


「正直に教えて♪ 千夏ちゃんはお風呂中だから、聴かれないわ」


それなら言ったほうが良いよな…。


「うとうとしたり、眠そうにしていることが多いですね」

昼休みの時は、少しだけど寝たりする…。


「やっぱりそうよね…。教えてくれてありがとう。…また明日ね」

慌てた様子に聴こえる千春さん。


千夏さんがお風呂から出たのかな?


「はい。また明日」

言い終わった後、僕は電話を切る。


こういう時って、千夏さんを庇ったほうが良かったかな?

でも千春さんに心当たりがあるようだし、ごまかすのは無理だよね…。



 次の日の放課後。彼女の家に行くと、千春さんはリビングのダイニングテーブルに腰かけていた。


「千夏ちゃん、玲君。話があるから、座ってくれないかしら?」

そう言う千春さんは、真面目モードに見える。


「…何?」

彼女は、千春さんに向かう合うように座る。


僕は…、千夏さんの隣にしよう。


「千夏ちゃん、ここのところ真面目に授業を受けてないみたいね」


「玲! あんた…」

僕を睨む千夏さん。


「玲君は正直に教えてくれたのよ。責めちゃダメ!」


「……」

千夏さんは黙ったまま俯く。


「学生の本分は勉強よ。勉強を疎かにするなら、お仕置きが必要よね?」


「…お仕置き? 何をする訳?」

いつもの千夏さんらしくない、弱々しい声と態度だ。


「そうね…、『漫画かHを禁止』させようかしら?」


…そこにH入れる必要ある?


「それだけは…、勘弁して! お願い!」

必死に懇願する千夏さん。


「だったら、これからは真面目に授業を受けるのよ。…良いわね?」


「わかったわ!」


千夏さん、ちゃんと反省してくれたみたいだ。良かった。



 千春さんは大きく深呼吸をした後、僕を観ながら言った。


「玲君が禁止されるとしたら、漫画かH、どっちを選ぶ?」


彼女の表情・声のトーン的に、いつもの雑談だね。

さっきの深呼吸は、切り替えるためにしたようだ。


「僕は……、Hですかね」

自室でほぼ漫画を読んで過ごしている僕にとって、漫画禁止のほうが辛い。


「漫画じゃないの!?」

千夏さんが驚きの声を上げる。


さっきのって、漫画ではなくHに対してなのか…。


「玲…。アタシ達のH、気持ち良くないの?」

不安そうな顔をする千夏さん。


「千夏ちゃん。男の子と女の子って、感じ方が違うのよ♪ 女の子の方が、何倍も気持ち良くなれるって、聴いたことあるわ♪」


千春さんが補足する。


そうなんだ…。初めて知ったよ。


「へぇ~。…入れるか、入れられるかの差かしら?」


そういう問題なの?


「私にもわからないけど…。玲君にも私達と同じぐらい気持ち良くなって欲しいわ」


そう言って椅子から立ち上がり、僕の隣に移動する千春さん。


「良いわね。アタシ達の気持ち良さを知れば、Hは耐えられなくなるはずよ♡」

椅子に座っている千夏さんは、詰めて僕との距離を縮める。


この2人、何をする気なんだ?

不安8割、期待2割ぐらいを抱きながら、母娘の様子を見守る…。

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