久々に……見た

 それは千夏さんと一緒に登校している時に起こった。急に突風が吹き、前を歩いている女子生徒のスカートがめくれる。


…わずかだけど、下着が見えてラッキーだ。

例えるなら、おみくじで大吉をひいた感じかな。


女子生徒が振り返ってきた。マズイな。見たことがバレて何か言われるかも?

…と思ったけど、すぐ振り返るのを止めて正面を向いた。


何だったんだろう? 誰かに見られたかどうかを確認したかったのかな?



 突然、僕の頬をつねる千夏さん。


「どうしたの? 千夏さん?」


「この間あれだけ言ったのに、まだするなんてね…」

呆れて物も言えないようだ…。


「今のは、風が吹いたから見えたんだよ。偶然じゃないか!」


「風が吹いたのは偶然だけど、あんた、めくれたスカートを凝視してたのよ。見る気満々じゃん。その行動は、偶然じゃないわよね?」


…痛いところを突かれたなぁ。反論の余地がない。


と思うこと自体、オカズを探していることと同じよ!」


あの風で、千夏さんのスカートもめくれたはず。

そんな状況で、僕の様子を観察する余裕があるなんて凄いな。


「この事はちゃんと母さんに言うから、言い訳を考えておきなさい!」


「わかったよ…」


それ以降、オカズの話はまったく出ず放課後を迎える。

このまま忘れてもらえると助かるけど…。



 千夏さんの家のリビングで3人がのんびりしている時、彼女が話し出す。


「母さん。今日ね、玲が他の女の子のスカートの中を見て喜んでたのよ」


「えぇ!?」

千春さんは驚きながら僕を観る。


「風が吹いて、偶然見えたんです!」

があるとないとでは、話が変わってくる。


「偶然だろうと…、見たんでしょ?」

問い詰めてくる千春さん。


「はい…」

ここは認めるしかない。



 「アタシ達とHしている玲が、下着を喜んで観る理由がわからないわ」

千夏さんが僕を見つめている。


今の言い方だと、Hしたことがある男は下着に興奮することはないみたいだ…。


「玲君。ちゃんと言うのよ♪」


千春さんに言われなくても、そうするつもりだよ。


「何というか…、かな」

説明するのが難しいな。


「ロマン?」

聞き返す千夏さん。


「そう。本人は見せるつもりはないのに、見えてしまった…。そういう偶然に興奮するんだよ。それにスカートの中を見たのは、小さい頃に1回あるだけなんだ。久々に見られると思ったら、ついめくれるスカートを見つめちゃったよ」


「………」


リビングに沈黙が続く。


に興奮するなら、こういうのはダメなの?」

千夏さんはスカートをたくし上げ、下着を見せてきた。


「全然ダメじゃないよ! それはそれで、エロいしね」

エロさの種類が違うというか…。攻め方が違うというか…。


「ふ~ん。男心って単純かと思ったけど、意外とそうでもないのね」

考え込む千夏さん。


「千夏ちゃん。男の子も、意外とロマンチストなのよ♪」

千春さんが正しいかわからない補足をする。


「そっか…。アタシもまだまだ勉強不足だわ」


「僕だって、女心はサッパリだからお互い様だよ」

今回は教える側だけど、いつ教えられる側になるかわからないし。


「意見を言ってぶつかり合う…。青春してるわね♪」

ニヤニヤする千春さん。


「母さん、からかわないでよ」

恥ずかしがる千夏さん。



 千夏さんと付き合い始めて結構経つけど、まだまだわからないことはあるね。

もっと距離を縮められると良いな。

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