グループディスカッション②
テーマは歳の差恋愛だ。安藤さんと冬城先生は否定的な立場になる。
僕と千夏さんと吉澤君は、肯定的な立場だ。
2人の否定的な意見を聴いたから、今度は僕達が意見を言おう。
互いの意見をぶつけないと、議論にならないからね。
「人生は1度しかないのよ。好きな人と一緒にいられるなら、歳の差なんてどうでも良いじゃない!」
そう言った後、僕を観る千夏さん。
…僕と千春さんとの関係も含んでいそうだ。
「古賀さん、さっき私が結婚について訊いた時悩んでたよね?」
安藤さんが、千夏さんの様子を思い出して質問する。
「歳の差があろうとなかろうと、アタシ達の歳で結婚は考えないでしょ…」
僕達は高1の16歳だ。漠然としたイメージしかできないな…。
「…2人とも。議論なんだから、周りにも気を遣ってね…。男子2人は全然話してないわよ…」
冬城先生にそう言われた安藤さんと千夏さんは、僕と吉澤君を観る。
「俺…。こういうの苦手なんだ…」
吉澤君は控えめに言った。
「僕もだから、一緒に頑張ろうよ」
「…ああ。ありがとな、今村君」
たまには、千夏さんに良いところを見せないとな。
「歳の差があるからこそ、魅力的に見えることもあるよ。例えば、千夏さんのお母さんの千春さんは、そんな感じだね」
名前まで言うべきか悩んだけど、千夏さんの彼氏だし良いよね。
「確か、大抵の男子ってマザコンなんでしょ? だったら、お母さんが魅力的に見えるのは当然じゃない?」
「安藤さん。それは暴論だよ。母親を大切に思う気持ちを、そんな風に言われるのは納得できない」
吉澤君がしっかり反論した。
「そうね…。今のは言い過ぎたわ。ごめん」
僕と吉澤君を観て謝る安藤さん。
「……安藤さんがムキになって反論したら止めるつもりだったけど、その心配は無用だったみたいね」
微笑む冬城先生。
やっぱりこの人、前より柔らかい印象になったな…。
「安藤さんはさっき『歳の差があると、流行や価値観が合わない』って言ったけど、言い換えるとその当時を知るきっかけになるよね。同じ世代同士だと話は盛り上がるけど、発展はしないって言うか…」
歳の差があるからこそわかったことといえば、あの時だろうな。
(ジェネレーションギャップ? にて)
僕はブルマを知らなかったけど、千春さんは当時それを穿いていたらしい。
だから詳しい話を聴くことができたんだ。
「……今村君。古賀さんのお母さんと話す機会が多いみたいね」
冬城先生が僕を観ながら言う。
「そうですね。千夏さんの家にお邪魔する時、会えれば話しますよ」
嘘ではないので、堂々と言える。
「……歳が離れた人と話せるのは貴重なことよ。大切にしなさい」
「…はい」
冬城先生が言う事だ。しっかり覚えておこう。
「歳の差に、こんなにたくさんの意味があるなんて…」
安藤さんは考え込んでいる。
差を良く捉えるか、悪く捉えるかで話が変わってくるな。
「もちろん、安藤さんが言った事も正しいよ。でも、悪い面だけじゃなくて良い面も見て欲しいかな」
吉澤君が、彼女を気遣う発言をした。
「そっか…。だったら、意見を変えようかな」
否定的から肯定的に、意見を変えた安藤さん。
「…先生はどうなのよ?」
千夏さんが冬城先生を観る。
「…私はあくまで人数合わせよ。気にしないでちょうだい」
冬城先生は、状況によって立場を変える気だったのか…。
このグループは、歳の差恋愛に肯定的であることが決まる。
肯定的・否定的の意見がぶつかった結果、全員が肯定的になったからだ。
「…今からプリントを持ってくるから、感想を書いて」
そう言って、僕達から離れる冬城先生。
「玲。結構頑張ったじゃない。見直したわよ!」
千夏さんに褒められた。素直に嬉しい。
「ありがとう」
「今村君の話聴いてたら、古賀さんのお母さんと話してみたくなったよ」
安藤さんが千春さんに興味を示す。
「…俺もだよ」
意外にも、吉澤君も興味を持ったみたいだ。
千春さんのファン? がまたしても増えたようだ…。
その後間もなく、冬城先生がプリントを持ってきたので、感想を書いて提出する。
…結構疲れたな。しゃべり疲れたのもあるし、精神的な面も…。
頑張ったから、千春さんに甘えたくなってきたよ…。
放課後。千春さんに会いに行く僕。
「確か、グループディスカッションって今日だったわよね? どうだった?」
千春さんが興味を示す。
「玲が意外に活躍してビックリしちゃった!」
やっぱり意外なのか…。否定はしないけど。
「玲君。疲れた顔してるけど大丈夫?」
僕を気遣ってくれる千春さん。
「…疲れた時って、甘えたくなりますよね…」
うっかりつぶやいてしまう…。
「…玲君。頑張ったわね。えらいえらい」
千春さんは、そう言って僕の頭を撫でる。
「それも嬉しいんですけど…」
僕は服の上から、千春さんの胸に触れる。
「…私のベッドに行きましょ♡」
千春さんは、僕の意図を汲んでくれたようだ。
「玲の相手は任せるわよ、母さん」
千夏さんも僕の気持ちを理解してくれたのかな?
「もちろん♪」
僕と千春さんは、早速ベッドに向かう…。
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