グループディスカッション①

 グループディスカッション当日。冬城先生は言う。


「…このクラスは30人だから、5人の6グループできるわね。席が近い人同士のグループにするけど、迷ったら私に訊いて…」


グループ分けの結果、僕・隣の席の千夏さん・僕の後ろの席の吉澤君・千夏さんの後ろの席の安藤さんの計4人になった。


1人欠席者がいるので、どこかは4人になるしかない…。


「4人グループのところに、私が入ります…」


冬城先生も参加するのか。なにはともあれ、これで5人だ。


「テーマはについてよ。…グループディスカッションを始めましょう」



 机を合わせる4人。そこにパイプ椅子を持って先生が来た。


「玲。あんたがいると心強いわ!」

千夏さんが笑顔で僕を観る。


「僕もだよ!」

あまり話さない人達だらけのグループになったら悲惨だよな…。


「…2人は幼馴染か何かなの…?」

冬城先生が不思議そうに僕を観る。


「先生、知らないんだ。この2人、付き合ってるんですよ」

安藤さんが補足する。


「…そうなの? じゃあ、2人の意見は同じになるかもね…」

僕達を観る冬城先生。


千春さんとの予行練習の時は同じになったけど、今回もそうなるかな…?



 「早速、4人の意見を訊きましょう。…どう思う?」

冬城先生は、まず安藤さんを観る。


「私はあり得ないと思います」


安藤さんは、歳の差恋愛に否定的か…。


「…吉澤君は?」


「…俺は、当人達の好きなようにさせて良いかと」


僕と同じようだ。


「…今村君は?」


「僕も恋愛する2人次第だと思います」

千春さんは周りのことを考えていたけど、今でも納得できていない…。


「…古賀さんはどうかしら?」


「アタシも玲と同じよ。恋愛ぐらい好きにやりたいわ」


これで先生以外の4人は、意見を言った事になる。

最後は先生になるけど…。


「…私は、どちらかと言うと否定的ね」


って何だ? 中立なのかな?


賛成派は理由を述べたから、反対派の意見を聴くことになるね…。



 「安藤さん…。反対の理由を教えて…」

冬城先生が安藤さんに尋ねる。


「歳の差恋愛って、大抵男の人が年上で女の人が年下だよね? どれだけの差にもよるけど、恋愛対象と見られるのは嫌だわ…。古賀さん、30歳ぐらいの男の人に恋愛対象として見られたい?」


安藤さんが千夏さんに質問する。…同じ女子だからだろう。


僕達は高1だから、16歳になる。30歳という事は14歳差になるから、一回り以上差があるね…。歳の差恋愛のテーマに合った差だと思う。


「タイプなら気にならないけどね」

千夏さんはすぐ答えた。


「本当に? 恋愛ってことは、結婚も視野に入れる訳でしょ? 古賀さん、それでも変わらない?」


「う~ん、結婚となるとな…。生活も関わるか…」

千夏さんが悩みだす。


「…歳の差恋愛って、打算的な面が多いから否定的なの。男性は若い女性と恋愛したいでしょうし、女性は男性の財産目当てであることが多いしね…。愛し合っているとは思えないわ…」


今度は、冬城先生が意見を言う。


魅力的であれば、歳なんて関係ないと思うけど…。

むしろ歳の差があるからこそ、魅力的に見える部分があるはずだ。


「それにさ、歳の差があると話が合わないじゃん! 流行とか価値観とかさ…」


安藤さんのこの発言は納得できる。僕と千春さんは、趣味においては話が合わない。流行だって、年下の僕には理解できないことが多いはず…。


「だからさ、恋愛は歳が近い人同士でやることなんだよ!」

安藤さんは揺らぐ様子を見せない。



これで2人の否定的な意見を聴いた。今度は肯定的な意見の番だ!

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