千春さんと鈴華さんの関係

 「私が大学1~2年の頃、ミニスカートを穿いていた話覚えてる?」

千春さんが僕と千夏さんを観る。(女子はやっぱりスカート? にて)


「もちろん」


「うん」

千夏さんは頷く。


「それと同じ講義を受けていたのが理由だと思うけど、鈴ちゃんが私に話しかけてきたのが知り合ったキッカケよ。当時も、下ネタをよく話していたわね」


当時からあのノリなのか。今日少し一緒にいただけでも疲れたのに…。


「悪い人じゃないのはわかるわ。でも人と場所を選ばず下ネタを話すことは、止めて欲しいのよ…。当然そのことを言ったことあるけど、聞いてくれなかった…。

だからお互い就職して忙しくなったことを理由に、距離を置こうと思ったの」


そういう事か。嫌なところが気になる人と、無理して関わることはないよな…。


「今日再会した時、変わらず下ネタを言ったから驚いちゃった。大学時代でも気になったのに、お互いおばさんになった今でも言うなんて…」


呆れた顔をする千春さん。気になるところが変わってなかったら、そう思うよね。


つまり千春さんは引き続き、鈴華さんと距離を置きたいんだな。

僕がどうこう言う事じゃないし、千春さんの考えを尊重しよう。



 「下ネタが嫌だったらさ、襲われた件はどうなの?」

千夏さんが質問する。


千春さんと鈴華さんが百合プレイした時だな。

(禁断の遊びが、僕達だけの関係を深める にて)


「あれは……、1つの経験として割り切ることにしたわ。女の子同士の気持ち良さがあることを知ったからね。それに、その時は鈴ちゃんの部屋で2人きりだったから、まだ許せるわ。…千夏ちゃん、またヤりたいの?」


千春さんがニヤニヤし始める。


「違うわよ! あの件は気にならなかったのかな?、って思っただけ!」


もし店内・外で襲われたとしたら、とっくの昔に鈴華さんと縁を切ってるでしょ…。

知らない第三者に見られる可能性があるし、度が過ぎるからね。


「千夏ちゃんがヤりたくなったら、いつでも相手してあげるわよ♪」



 「ね? つまらない話だったでしょ?」

千春さんが僕と千夏さんを観る。


「そんな事ないですよ。聞けて良かったです」

僕は千春さんの味方でいよう。これからもずっと…。


「そんな人との百合プレイ…。アタシは絶対無理だわ…」

千夏さんは顔をしかめる。


それは僕も思う。改めて、千春さんの器の大きさに驚かさせる…。



 「鈴華さんの下ネタの件、娘の秋穂さんも嫌がってますね」

千春さんには関係ないかもしれないけど、話しておこう。


「確か…、2人のクラスの委員長なのよね?」


千春さん、よく覚えてるな…。千夏さんがちょっと言っただけなのに。

(体育祭① にて)


「そうよ。真面目な人だから、アタシはちょっと苦手だけど…」

苦笑いする千夏さん。


「そうなんだ…。母娘でも似ないことがあるのね…」

千春さんは考え込む。


…もしかして、鈴華さんにも真面目な時期があったとか?

全く想像できないけど、会う機会があったら訊いてみようかな?



 「2人とも、体育祭でだいぶ汗かいたんじゃない?」

千春さんが訊いてくる。


そんな気するけど、今は全くかいてないからな~。全然気にならない…。


「…そうね。話も終わったし、シャワー浴びてくるわ」

千夏さんが立ち上がった。


「待って千夏ちゃん。玲君もかなり汗をかいたはずよ。…2人で入ったら?」


「えぇ!?」

千春さん、何を言い出すんだ?


「シャワーは1台しかないんだから、2人で浴びられないじゃない!」


千夏さん、ツッコむところが違う!


「玲君、私達3人でお風呂入ったじゃない。 今更気にするの?」

(お背中流しま~す♪ にて)


あの時、千夏さんは浴槽につかっていて、僕は千春さんに背中を洗ってもらった。


でも今は、千夏さんと1台のシャワーをかけあうことになるよな。

ってことは、裸で至近距離になるんだぞ。状況があまりにも違う…。


「…アタシは良いんだけどな~♪…」

モジモジしながら、僕を観てくる千夏さん。


ここまで言ってくれるなら、一緒に入らないと千夏さんに申し訳ない。


「わかったよ。一緒に入ろうか」


「じゃあ行きましょ」

僕の手を引く千夏さん。


「ごゆっくり~♪」


手を振る千春さんを観てから、僕達はリビングを後にする…。

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