女子はやっぱりスカート?

 帰り道、千夏さんは悩んでいる様子を見せる。理由はあれだと思うけど…。


「玲。スカートかスラックス、どっちが良い?」


やっぱり、その件だったか…。



帰る前のHRホームルームで、担任が言ったのだ。


来年度から、女子はスカートとスラックスの選択制になるらしい。


理由はとのこと。最近よく聞く言葉だよね。


それだったら男子はスカートを選べるはずだけど、その話は出ていない。

少数だと思われて見送られたかな。要望が増えれば、実現するかもね。



僕個人としては、千夏さんにスカートを穿いてほしい。けど僕のワガママだしな~。


「……」


「正直に言って良いから!」


なかなか僕が答えないので、千夏さんがしびれを切らした。


「スカートを穿いてほしいかな」


「あんたなら、そう言うと思ったわ」

千夏さんは納得した様子を見せる。


「母さんはどっちを勧めるかしら?」


「スラックスじゃない?」


スカートはめくれたり、不便なことが多いはず。

千春さんはいつもジーンズ姿だから、スラックス派だと思う。


「帰って訊いてみましょ」


千春さんの意見を訊くため、僕達は早めに帰ることにした。



 「ただいま~」


「お邪魔しま~す」


千夏さんの家の玄関で靴を脱ぎ、リビングに向かう僕達。


「おかえり。千夏ちゃん、玲君」


千春さんは洗濯物を畳んでいるところだった。


「母さん。ウチの高校、来年からスカートとスラックスを選べるらしいのよ。母さんはどっち派?」


「う~ん、スカートで良いんじゃないかしら?」


あれ? スカート派なの? 意外だな~。


「玲君。なんだか意外そうな顔してるわね」


顔に出てたかな? 恥ずかしい。


「千春さんいつもジーンズ穿いてるから、スラックス派だと思ってました」


「私のようなおばさんが、女子高生みたいな短いスカート穿いたら変でしょ?」


だからジーンズを穿いている訳か。ん? 本当は短いスカートを穿きたいのかな?

千夏さんの質問に、は出てなかったぞ…。


「短いスカートを穿けるのは、若い子の特権よ。それをみすみす逃すのは、もったいないことだと思うけどね」


「そっか…。そんな事、考えたことなかったわ」


「千夏ちゃんは若いんだから、気にしなくて良いわよ」


僕にはよくわからないけど、歳によって着れる服が変わるみたいだ…。


「玲君はどっちを選んだの?」


「スカートよ」

千夏さんが僕より早く答える。


「男の子は、スカートを選ぶでしょうね。風になびくスカートを観て、興奮したことあるでしょ?」


千春さんはニヤニヤしながら、僕を観る。


「はい、何度もあります」

嘘を付きたくないので、正直に答える。


「なら基本はスカートで良いわね。けど冬の時は大変だから、冬用に1着、スラックスを買ってあげるわ」


「ありがとう、母さん」


つまり千夏さんは、時期によってスカートとスラックスを使い分けることになる。

選択制なんだから、こういう使い分けもアリだよな。



 「母さんって、今も短いスカート穿きたい訳?」

千夏さんもさっきの答えに、違和感を抱いたみたいだ…。


「そ…そんなことないわよ。あれはただの言い間違いで…」

動揺した様子を見せる千春さん。


「今更隠し事はしないでほしいわ。ねぇ、玲?」


「そうですよ。どうしても嫌なら、構いませんが…」



少し間が空いた後、千春さんは口を開いた。


「2人の言う通りよ。まだまだイケるとは思っていても、勇気が出なくて…」


千春さんは若々しい外見はもちろん、脚も太く見えない。

今でも短いスカートを穿いても良いと思うけど…。


「短いスカートって、どれぐらいのを穿きたいの?」

千夏さんが興味を示す。


「そうね…、太ももの上半分ぐらいかしら」


「みじか!?」

千夏さんが驚く。


今の千夏さんのスカート丈は膝よりちょい上になる。それを遥かに上回る短さだ。


「大学1~2年の時は、それぐらいの長さにしてたのよ。周りの女の子も似たような長さだったからね。さすがに3~4年の就活をする時は、膝下の長さにしたけど」


それからスカートを穿く機会が減って、ジーンズに移行した感じかな?



 「外で穿くのが恥ずかしいなら、家で穿けば良いじゃない」

千夏さんが提案する。


「それ良いですね! 僕も千春さんのスカート姿観たいです」


「本当?」

千春さんが信じられない様子で僕を観る。


「本当です!」

嘘だと思われたくないので、千春さんの目をじっと見る僕。


「…ありがとう、玲君。時間がある時に、スカート買ってくるわ♪」

微笑む千春さん。


やっぱり歳とか関係なく、着たい服を着るべきだよ!



 別の日の放課後、千夏さんの家のリビングに向かうと、千春さんは掃除中だ。


「おかえり。千夏ちゃん、玲君。ごめんね、今掃除中なの」


「いえ、構いませんよ」

これから千夏さんの部屋に行くから問題ない。



…あれ以降、千春さんはスカート姿でいる。長さはあの時言っていた、太ももの上半分ぐらいだ。パンツが見えそうで、つい目で追ってしまう。


千春さんが脚立の上のほうに立った時、動きもあってかパンツが見えてしまった。

本人は掃除に集中しているので、気付いていないみたいだ。


……急に千夏さんに強い力で手を引かれ、部屋に連れてかれた。何でだろう?



 「玲、さっき母さんのパンツ見たでしょ?」


それをあの場で訊かなかったのは、千春さんの掃除の邪魔をしないためか。


「うん…、見たよ」

正直に答える。


「あんたが母さんにスカートを勧めたのって、パンツ見るため?」


「それは違うよ! 歳に関係なく、着たい服を着て欲しいと思っただけで…」


「……冗談よ。今更そんな事で怒る訳ないじゃない」


「じゃあどうして、強引に手を引いたの?」


「玲が早くかな~、って思っただけ。…良いわよね?」


「もちろん」


千夏さんは僕のズボンを下ろす。

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