言葉には、いろんな意味がある… (ギャグ)

 千夏さんの家のトイレを借りてリビングに戻ると、千春さん・千夏さん母娘が何やら話し込んでいた。


「2人とも、盛り上がってるね? 何かあった?」


「あ、玲。ちょうど良いところに。あんたに訊きたいのよ」


千夏さんが僕に訊きたいこと?


「何?」


「実は今、母さんと『日常で使うエロい言葉ナンバーワン』を決めてるのよ。玲の意見を訊きたいんだけど…」


すごくどうでも良い内容で、盛り上がっていたようだ…。


「今のところ、アタシは『チンチラ』、母さんは『ぶっかけ』が一番だと話してたんだけど、玲はどう思う?」


これ、僕の意見いるの? でも千夏さんのチンチラは気になるな…。


「チンチラより、犬の芸の『チンチン』のほうがエロい気がするよ」


「それはアタシも考えたけど、最近聞かなくない?」


「お手・おかわり・伏せはよく聞くけどね」

千春さんが会話に混ざってきた。


確かにそんな気がするな。聴かない言葉ってことは、日常で使う言葉じゃない。

なら除外されるのは当然だろうね。



「…チンチンを聞かなくなったと言えば『チンチン電車』も長い間聞いてないわ」

千春さんが考え込んだ後言う。


「チンチン電車? 電車にチンチンがあるの?」


「そんな訳ないでしょ!」

千夏さんのあまりにもひどいボケに、ついツッコんでしまった。


「路面電車の愛称よ。『チンチン』と警笛を鳴らしていたから、そう呼ばれてるの」

千春さんが解説する。


「へぇ~。音が理由で、そういう名前になったんだ」

千夏さんが感心した様子を見せる。


「千夏ちゃんの勘違いは仕方ないわよ。初めて聴いた時、私もそう思ったから♪」


この親にして子ありって感じだな…。


「……待って。じゃあ、電子レンジには『チンチンレンジ』という愛称がある?」

千夏さんが長考した後、言った。


「もうチンチンは良いから!」

いつも以上にツッコんで疲れたよ…。



 「…なんか話が逸れたわね。何話してたっけ?」

千夏さんが必死に思い出そうとしている。


「…日常で使うエロい言葉ナンバーワンを決めるんでしょ」

どうでも良い内容だけど、無視するのは可哀想だからね。


「そうだった。アタシはチンチラの他に『万個マンコ』もエロいと思うのよ」


千夏さんは、シンプルにエロい言葉が入っているのを選んでいるな。

きっと、パチンコ・ちんすこう・チンアナゴあたりも入っていると思う。


小学生男子が選びそうな言葉を選んでるから、大体予想が付く。


「私は、ぶっかけ以外だと『おもちゃ』『親子丼』『ローション』『オカズ』『69』あたりで悩んでいるわ」


一方の千春さんは、聞いただけでは意味が分かりにくい言葉を選んでいる。

意味が分かった時のエロさは、千夏さんを遥かに凌ぐ。


「玲君。私と千夏ちゃん、どっちの言葉がエロいと思う?」

千春さんが訊いてくる。


「そうですね…、僕は……」

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