こんな事、絶対考えちゃいけないのに……

 千夏さんのベッドで横になっていたら、彼女はすぐ戻ってきた。


「玲、気持ち良かった?」


さっきベッドの上で、僕のをしゃぶってもらったのだ。


「もちろん、最高だったよ」

僕からお願いしたいぐらいだ。今は疲れたから、別の機会にしてもらうけど。


「良かった♪ アタシは玲の彼女だからね。アタシだけの特権よ」

誇らしげに話す千夏さん。とても嬉しそうだ。


千夏さんのあの口が、僕のをしゃぶったんだよな…。

その事実が消えることはない。僕はしてもらった本人なんだから。



 余韻に浸っている時、ある疑問が浮かんだ。


もし千春さんに僕のをしゃぶってもらったら、どうなるんだろう?


千春さんは僕と千夏さんより身長が高い。

という事は、僕達より口が大きいことになる。


なら、千夏さんとは違う気持ち良さがあるのでは?

お願いしたら、しゃぶってもらえるかな?


……僕は何を考えているんだ。こんな事、絶対考えちゃいけないのに。

考えちゃダメと思うほど、考えてしまう。どうすればいいんだ?



「…玲、聞いてるの?」

ベッドの上で考え事をしている時に、千夏さんに声をかけられる。


「どうしたの? 千夏さん?」


「さっきから声をかけてるじゃない。ぼーっとしちゃって。

…もしかして、ってやつ?」


「まぁ、そんな感じかな…。疲れちゃって…」


「そう…、なら昼寝しても良いわよ。アタシは漫画読むから気にしないで」

宣言通り、漫画を読み始めた千夏さん。



 僕は絶対、最低なことを考えている。

そんなことを千春さんに言ったらどうなる?


ドン引きどころか「変態は千夏ちゃんに近付かないで!」とか言われるかも…。

でも言わないと、実現することはない。


僕はこの気持ちを押し殺しながら、今後千春さんと接しないといけないのか?


…寝れば気が紛れるはず。僕は千夏さんのベッドで昼寝をすることにした。



 ……意識が戻ってきたので、起き上がる僕。

物音に気付いて、千夏さんが僕のほうを観る。


「玲、よく寝れた? ……って、もう元気になったみたいね♪」

千夏さんが僕の下半身を観る。


寝起きだから、テントを張っている状態だ。

これは生理現象なので、どうしようもない。


「んー、さっきやったけど良いよね♪」

千夏さんはベッドに上がり、僕に近付いてくる。


「千夏さん、今日はもう良いよ。これ以上はキツイ」

体力より精神面だ。良からぬ妄想が止まらなくなりそうだからね。


「そっか…、わかったわ」

千夏さんは残念そうな顔をする。



 外を観たら、ほぼ日が沈んでいる。そろそろ帰らないと。

今日は千春さんの買い物に付き合ってから、和人さんに初めて会った。


それから千夏さんにしゃぶってもらった。色々あったな。


「千夏さん、僕帰るね」


「そう、気を付けて帰るのよ。玲」


「わかってるよ」


僕は千夏さんの部屋を出た。



 部屋を出て玄関で靴を履いている時に、千春さんが来てくれた。

夕食の準備中で忙しいはずなのに…。


「玲君、帰るの?」


「はい、お邪魔しました」


「今日は買い物に付き合ってくれてありがとう。またお願いしても良いかしら?」


「もちろん良いですよ」


僕は口紅が薄く塗られた千春さんの唇を観る。

キレイな唇だよな~。あの口でしゃぶってくれたら…。


ダメだ。妄想が止まらない。このまま千春さんと話し続けるのはマズイな。


「玲君? どうしたの? 私の顔を観て?」


「いえ、何でもないです。僕は帰ります」


僕は逃げるように、千夏さんの家から出た。

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