付き合った後~

恋人記念パーティー

 千夏ちなつさんと恋人になって、最初の月曜日だ。


今日の放課後に、千夏さんの家で恋人記念パーティーをやることになっている。

千夏さんのお母さんである、千春ちはるさんが企画したパーティーだ。


当の本人と同じぐらい、母親が喜んでくれる。千夏さんには良いご両親がいるな。



学校の休憩時間中、千夏さんに声をかけられる僕。


れい。あんたの好きなケーキって何? 母さんが1人1切れのケーキを買ってきてくれるらしいわ」


携帯にメッセージが来たのかな?


「そうなんだ…。好きなのは、ショートケーキだよ」

小さい頃から不動のナンバーワンだ。


「そっか。了解」

千夏さんは千春さんに連絡し始める。


「ケーキを用意してもらうなんて、申し訳ないなぁ…」


「玲が気にすることじゃないでしょ。母さんが言いだした事だし」


「うん…」


千春さんには、アニメ映画のチケットの件もある。

会った時、ちゃんと礼を言おう。


…そういえば、千夏さんはどのケーキを選んだのかな?


「千夏さんはどのケーキにしたの?」


「チョコケーキよ」


白と黒。僕と真逆じゃん。そんな僕達が恋人になるんだもんな。

何がどう転ぶか、わからないね。



 そして放課後。千夏さんの家の扉を開けたら、千春さんが玄関で待っていた。


「お帰り千夏ちゃん。…玲君もよく来てくれたわね」


「お邪魔します。千春さん」


「私の名前を呼んでくれるなんて嬉しいわ」

千春さんは満面の笑みだ。


「千夏さんと恋人になったんです。『千夏さんのお母さん』は変だと思って」


「玲く~ん♪」

突然抱き着いてくる千春さん。…胸が僕の顔に当たってるよ。なんて柔らかさだ。


「母さん、玲から離れて!」

千夏さんは不満そうだ。


「はーい…」


千春さんが離れる直前、彼女の手が僕の股間に触れたのは偶然だよね?



千春さんは先にリビングに向かって行った。


「玲も大人しく抱かれてないで、抵抗しなさいよ!」

千夏さんは靴を脱ぎながら、僕に不満をぶつけてきた。


「そう言われても…」

千夏さんの母親だし、胸の感触が気持ち良かったから、抵抗できないよ…。


「その顔、母さんの胸の感触を思い出してるんでしょ?」

千夏さんがジト目で僕を観る。


「そ…、そんなことないよ」

図星なのでビビった…。



 リビングに着くと、既にケーキとフォークが机の上の皿にセットしてあった。


僕のショートケーキの横に、チョコケーキがある。千夏さんは僕の隣になる。

ショートケーキの前にモンブランがあるな。そこが千春さんの席か。


あれ? 千春さん、僕の前なの? 千夏さんの前だと思ったけど…。

本人がそれで良いならOKだけどさ…。


僕と千夏さんは該当場所に着席する。


千春さんはキッチンからマグカップ3つをトレイに載せて、僕達の元に来た。


「紅茶のストレートにしたけど、玲君良かったかな?」

千春さんが僕に訊いてくる。


「はい。ありがとうございます」


コーヒーだったら、ミルクと少しの砂糖が欲しいかな。

紅茶のほうが飲みやすい味だから楽だよね。その辺も、千春さんの配慮か。



千春さんも着席した後、全員で「いただきます」を言った。


早速食べよう。…うん、おいしいな。

ショートケーキは基本中の基本のケーキだ。


一番当たりはずれがないケーキだと思う。

味だけでなく、そういう意味でも、ショートケーキは大好きなケーキになる。



…そうだ、忘れないうちに映画のチケットのことを言おう。


「千春さん。映画のチケット代、出してもらいありがとうございました」


「良いのよ、それぐらい。…映画、面白かった?」


「はい。おかげさまで」


「良かったわ。私は漫画とかアニメはサッパリだから…」


「そうなんですか?」

じゃあ、千夏さんが少年漫画を読むようになったきっかけはなんだ?


「ええ。千夏ちゃんが漫画好きになったのは、主人の影響ね。

主人の本棚には、漫画がたくさんから…」


…ですか?」


「そう、今はないわ。まとめて処分しているのを観たから間違いないわね」


なるほど。お父さんの漫画を読んだから、千夏さんは少年漫画好きになったのか。


今はもう、お父さんは漫画を持ってないみたいだな。

もしかしたら漫画トークができるかも? と思ったけど、無理のようだ。



「……玲。おしゃべりしてないで、さっさとケーキ食べたら?」

千夏さんはイライラした様子で、僕に言ってきた。


僕は3割ぐらい残ってるけど、千夏さんは完食している。

千春さんはもうすぐ食べ終わる。…僕が一番遅いみたいだ。


「ごめんね、千夏ちゃん。玲君を独占しちゃって」


「本当よ。玲はアタシの彼氏なの。アタシを放っちゃダメでしょ」


「ご…ごめん、千夏さん」


僕は急いでケーキを食べ終えた。…おいしいケーキで満足だよ。

ごちそうさまでした。



 全員ケーキを食べ終わった後、千春さんがトイレに向かった。

リビングには僕と千夏さんの2人きりだ。


千夏さんは座っている椅子を僕の方に寄せた後、僕の股間を揉み始めた。


「千夏さん、急にどうしたの?」


気持ち良いけど、千春さんがいつ戻ってくるかわからない、この状況は…。


「母さんの胸の感触にデレデレしたことと、さっきアタシに構わなかった罰よ」


「…それは悪かったって。でもさ、リビングでやる事じゃないでしょ?」


「今からアタシの部屋に行ったら、母さんに怪しまれるじゃん?

それに罰なんだから、アタシの部屋に逃げちゃダメ」


「そ…そんな」


攻める手を止めない千夏さん。

気持ち良いので、元気になり始める僕の


そんな時、リビングに千春さんが戻ってきた。


ふぅ、これで千夏さんも止めてくれるはず。

……あれ? 止めてくれないんだけど?


どうすれば良いの? この状況。

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