彼女のお母さんに怒られた

 千夏ちなつさんの胸をいじっているところを、千夏さんのお母さんに見られてしまった。


「今村君。今すぐリビングに来なさい!」


強い口調で言われる僕。どうなっちゃうの?



 リビングに着くと、千夏さんのお母さんが座っていた。

向かい合うように座る僕。…緊張するな。


「今村君。君も年頃だから仕方ないかもしれないけど、嫌がる女の子に無理やりエッチなことをするのは、最低なことなの。よく覚えておいて」



嫌がる女の子? 胸を揉むことは、千夏さんの同意を得ているぞ。


……待てよ? そういえば、あの時。


―――


コンコン、コンコン。


何か音が聞こえるけど、今は千夏さんの胸が重要だ。放置しよう。


「……玲。もうやめ……て。お願い」


―――


あのは、ノックの音だったのか。


千夏さんのお母さんが部屋を開けた時に、千夏さんのあのセリフだ。

勘違いされてもおかしくない。僕が調子に乗り過ぎた結果じゃないか。


「はい。すみませんでした」

千夏さんのお母さんに、頭を下げる僕。


「わかればいいのよ。…千夏ちゃんも大胆なことをさせるわよね?」


「え?」

どういう事だ? 勘違いしてたんじゃないのか?


「胸をいじられていた千夏ちゃん、逃げるそぶりがなかったもの。

今村君が馬乗りになってて、逃げられないわけでもなかったし。千夏ちゃんのお願いなのは、予想がつくわ」


「じゃあ、何でさっき……」


「あれは調子に乗った今村君を叱るためよ。…女の子の体はデリケートなの。それを忘れちゃダメよ」


「はい…」

千夏さん、怒ってないと良いけど…。



 「今村君は、千夏ちゃんの彼氏候補ですもの。彼女を気遣わなきゃ。…ね?」


「ちょっと待って下さい。まだ告白するかどうかは…」


「えー、告白しないの~?」

急に子供っぽく文句を言う、千夏さんのお母さん。


「まだ心の準備が…」

告白のセリフを言う自分が全く想像できない。考えるだけで恥ずかしくなる。


「千夏ちゃんのこと、気になってるんだ。…なら、後は時間の問題かしら?」


「……」


時間がたてば、恥ずかしい告白のセリフが言えるようになるのかな?

とてもそう思えないけど、今は考えなくていいか…。



 「長話になっちゃったわね。千夏ちゃんの元に戻りなさい」


「はい。そうします」

僕は立ち上がり、リビングから出ようとする。


「今村君」


呼ばれたので振り返る僕。


「何ですか?」


「千夏ちゃんのこと、よろしくね」


「はい」


僕はリビングを出て、再び千夏さんの部屋に向かう。

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