彼女のご機嫌を取ろう

 僕の視線をきっかけに、自身の胸の大きさを気にし始めた千夏ちなつさん。

彼女の部屋に、気まずい雰囲気が流れてしまう…。



 「少年漫画を読んでるとさ、胸が大きいキャラがたくさん出るじゃない?

男子はそういうのが好きなのは、わかっているわよ…」


「……」

僕は千夏さんの言葉を黙って聞く。


れいが母さんと話す時も、いつも母さんの胸見てるしさ…」


あの人の大きさは爆乳レベルだから、目に入るんだよ。

…じゃなくて、千夏さんに気付かれているなら、当然本人にも気付かれてるよな?


恥ずかしくなってきた。…意識しすぎないほうがいいか。


「玲はやっぱり、胸が大きい女の子の方が好き?」


確かに大きい方が好みだ。けどはっきり言ったら、千夏さんを傷付けるよな?

仮に否定しても、嘘だとバレてしまう。お母さんの件があるし。


う~ん、どう答えれば良いんだろう?


「………」


「黙るぐらいなら、はっきり言って欲しいな…」


マズイ。千夏さんがますますいじけてしまった。



 「大丈夫だよ。お母さんが大きいんだから、千夏さんもきっと…」

今思い付くフォローはこれだけだ。


「母さん。中1あたりから既に、胸が大きかったらしいわよ…」


マジですか…。



「胸ってさ、『好きな人に揉まれると大きくなる』って言うわよね?」


千夏さんが僕に訊いてくる。


「そう聞いたことはあるけど…」

あんなの、ただの迷信でしょ?


「玲。アタシの胸を揉んで。あんたにしか、こんなこと頼めないのよ」


「えぇ!?」


千夏さん、冷静さを失ってないか?

正気に戻った時、別の意味で気まずくなるような…。


でも千夏さんの力になりたいし…。


僕はどうすれば良いんだ!?

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