第二章

 強く暖かな日差しを受けガバドは目覚めた。体を起こしどれ程眠っていたのだろうと窓の外を見るが、外の景色は眠りについた時とあまり変わっていないように思えた。起きた時に感じた日差しもそこまで強くはなかったようで空気が少し煌めいて見えた。それに体も気分もとても軽い。


「あ……」


 前に目覚めた時は一人だったが今回は側に守り人がいた。

 イスに座っていた守り人はガバドが起きた事に気付いていない様子だった。空気が煌めいているおかげなのか目を瞑り呼吸すらしていなのではと疑うほど微動だにしない守り人はまるで、彫刻品や絵画、あるいは宝石のようにとても神秘的で綺麗なものにガバトは見えた。


 よく見ると血色の無い肌は逆に不純物などなく透き通っていて、まつ毛に乗った空気がキラキラと反射している。黄色と緑色が綺麗に混ざった髪も透明感があり一本一本が絹のように繊細でなめらかであるし、その間から生えている二本の角は純粋な闇を凝縮したようでとても高価な宝石みたいであった。身に着けている装飾品もそんな彼女を輝かせるように一層引き立たせていた。


 ガバドは彼女が放つ輝きが目の奥で火花になってパチパチと弾けるのを感じ、美術館に置かれていたらどれだけ凝った展示をされるかを想像しながら、しばらく見惚れていた。

 ふいに愛しいもののように懐かしく感じた彼女に触れてみたいと、ガバドは静かに手を伸ばした。本当はいきなり、しかも寝ている時に触る事はダメだと分かっているうえ、やめようとも思ったが、なめらかな肌は触ったらきっと気持ちがよくて、柔らかな髪は上質な織物のように気持ちいい手触りかもしれないと思うと、期待に胸が躍ってしまった。


 人はきっと興味のあるものや愛しいもの、感動したもの、あるいは“触れてはいけないもの”に対して強く惹かれてしまうのかもしれない。ガバドも最初は守り人の事を畏怖し、あまり近付きたいと思わなかった。しかし反対にその畏怖は彼女をより神聖なものに見せ、それに感動し強く惹かれたのだ。

 多分、助けて貰った時からガバドは守り人に一目惚れしていたのかもしれない。自分はこんなにも惚れっぽかったか、なんて事を霞んだ寝起きの頭で考えていた。もしかしたら気の迷いだったかもしれない……しかし今目の前にいる彼女はきっと、彼が寝ている時から側にいたと考えたら思いっ切り抱きしめたくなってしまった。


(だって、それってとても凄い事だと思うから……)


 ガバドの手が触れる寸前に守り人の体が動き胸にある宝石が空気を反射し彼女の目が開かれた。そこにあるのは無限に広がる闇にも見える真っ黒な目であり、見ているだけで漆黒に引きずり込まれそうであったが、ガバドはそれすら希少な宝石のようだと思える。そして今その瞳に映っているのは自分一人だけという事が、どうしようもなく嬉しかった。


「目覚めていたのか」

 

 凛と響く声も前は少し恐怖を覚えたが今は、なぜか心地がいい。


「なんだ」


 とはいえ少々、いや大分、気持ちが先走り過ぎてしまったようだ。守り人の雰囲気が険しいものになったのを感じ、そこでようやくガバドは自分が手を伸ばしたままジッと彼女を見つめていることに気付き慌てて手を引っ込めた。


「あ、あぁ……! うん! ごめん何でもないよ!! お、おはよう! うん! ……は、はは」

「大丈夫か」

「うん大丈夫! 大丈夫! ほら、もうすっかり元気だよ!」


 やたら身振り手振りが多いガバドを守り人は少し訝しんだがすぐにやめた。その代わりに「お前は……」と何かを言いかけた。


「?」


 しかし守り人がその先を言う事はなかったが、ガバドも大して気にしなかった。


「そうなのか。起きたばかりで腹が空いているのなら何か食べる物を作ろう」


 そう言うと守り人は立ち上がりガバドを一瞥してから小屋を出て行った。


「ありがとうお願いするよ……」


 ガバドの声が最後まで守り人に聞こえたかは分からないが扉が閉まり一人になったところでガバドは恥ずかしさでのたうち回った。

 ベッドに頭を打ち付けながら、


(ばかばかばか!! 急に何しようとしてるんだボクは! いくら守り人が綺麗だからって触ろうとするなんて……! いっそうの事、雪の中に穴を掘って入りたいくらいだ。そのまま冬眠して一生起きなくていいくらいには恥ずかしいし気まず過ぎる……!)


と思った。


 守り人が料理をするために小屋から出て行かなければ今頃、ガバドは耐えられなくなって窓から飛び出し、薄着で極寒の森の中を走り回って野垂れ死ぬところだったかもしれない。実際、彼は本当にそうしたかった。


(あぁ! やってしまった、完全にやってしまった……)


 落ち着いて天井を見るも先程の光景が頭に焼き付いて離れず気付けばずっと思い出している。それと同時に自分がした行動も思い出すため再び恥ずかしさでのたうち回るという事を繰り返していた。


(でも本当に綺麗だった。前まで戦っていた相手とは思えないぐらいに)


──そうか戦っているんだよな。


 ふと、そう思いガバドはついこの間までの日常を記憶の中から探した。

 いつも一人で戦っているように見える守り人に対して人間は数の暴力で戦争を仕掛けている。彼女が綺麗だという事はガバドだけに分かる事だが、少し異質とは言え普通の女の子にしか見えない守り人を『敵』と決めつけて一方的に攻撃しているのは人間の方である。


 だがそんな〝普通の女の子〟に世界はただの一度も勝った事はないのだ。

 戦争の光景を思い出す度、ガバドはなぜか少しだけ胸が締め付けられるような感じがした。それと同時に自分の命は守り人の指先にも満たないという絶対的な力に身震いしてしまった。


  ◆


 小屋の裏で守り人はガバドに食べさせるものを作っていた。

 枯れた木を適当な長さの薪にして燃やす。その上に小さな鍋──これはガバドの荷物から拝借したものだが──を吊り下げ熱していた。作るものは前回と変わらず材料は全て鍋に入れており、あとはでき上がるのを待つだけである。

 この銀世界の中に音が生まれる事は少ない。耳が痛くなるほどの静寂にパチパチと薪が燃える音が響き、その音が少し新鮮に感じたため守り人は珍しく聞き入りながら人間と戦った時の事を思い出した。


 森の土地を平気で踏み荒らし木を傷付け動物を殺す。しかし誰一人そんな事を気にする人間などいなく、ただ目の前の守り人に憎悪とも呼べる感情をぶつけてくるだけ。人間を殺す趣味はないが向かって来るのはどうしようもない、痛い目に遭い勝てないと分かっていてもやめようしないのは理解ができない。


(人間は愚か。だが……)


 先程、自分の事をジッと見ていたガバドを思い出す。記憶にある人間達とは違う表情かお。純粋無垢に目を輝かせ自分を見ていた。それに戦いで動物が死ぬ事を悲しんでいた。


(あの男から戦意は感じない。それに……)


 守り人は目を閉じ白い息を吐く。


──もう顔も思い出せない。


 それでもずっと頭に残っている、誰かが自分に笑いかけている記憶。それが何なのかは分かっていた。とても大切な記憶であることは間違いないが今はもうあまり思い出せなくなっていた。

 唯一思い出せるのは寒い場所から連れ出され、いつも温かい手に包まれ守られていた事。


(私でもまだ感傷に浸る気持ちはあったのか。しかしあの男の後にこの記憶を思い出すとは……不思議なものだな)


 守り人はゆっくり目を開けた。鍋の中のものは十分火が通りもう食べられるだろう。ガバドのために作ったお椀に移しながら守り人は先程言いかけた言葉を反芻した。


「お前は私が怖くないのか、か……聞いてどうするんでしょうか」


 ガバドの返事次第で自分の気持ちや状況が変わる事もないのに、なぜ聞きたくなってしまったのか分からなかったが、無情にも守り人は自分の心に芽吹いた芽を摘んだ。


  ◆


 ガバドは神妙な面持ちでベッドに腰かけていた。ちらっと自分のナップザックを一瞥しすぐに目を逸らした。はぁ、とため息をこぼし軽く伸びをすると守り人がお椀を持ち小屋に入って来た。

 守り人が何も言わずガバドにお椀と近くの棚からスプーンを渡した時、ガバドの手が僅かに震えている事に気付いた。彼をよく見ると少しだけ目の瞳孔が開いていたが、特に何も言わずイスに座った。

 表面はいくらでも取り繕えるがやはり本能までは制御できなかったかと、守り人は思ってしまった。


「ありがとう。ところでボクはどのくらい眠ってた?」

「お前が眠った後に七回日が沈みそして七回日が出た」

「うぇ!? そんなに寝てたの……寝た時と起きた時の色が一緒だったから、そんなに経ってるとは思わなかったよ」

「お前の生命力には驚いた」


 そうは言うも守り人の表情は驚いているように見えない。

 本当か? とガバドは疑ったがそんな事より七日も寝ていたと分かればお腹は空腹を大きな音で訴えてきた。考えてみれば頭も少しボーっとしている。だからさっき変な事を考えてしまったのか、と思うと同時にまた恥ずかしさが込み上げてきたのでそれを誤魔化すためにもスープに口をつけた。


 今回も守り人は何をするわけでもなくまたガバドの様子を見つめていた。それが何だか自分の内側を見られそうな気がして少し耐えられなかったのもあるが、ふと彼女の事を知りたいと思ったガバドは尋ねた。


「君は食べないの?」


 質問、というのは口実で本当は一緒に食事がしたいという本心があったからかもしれない。ガバドが誰かと食事をしたいと思ったのはいつぶりだろうか。久々に感じた感情に懐かしさも覚える。

 しかしまずは当たり障りのない会話から始めようと思い、相手の事を聞く前に場を和ませようと考えていたが、その質問はガバドが思っていた以上に踏み込んだものになってしまった。


「食べる必要はないから」

「今はお腹が空いてないとか?」

「生命力の維持に食事は必要ないだけだ」


 ガバドは驚いてスプーンを落としそうになった。


「そ、そうなんだ……あっでも睡眠は必要だよね! というかボクがずっとベッド占領してたよね、ごめんね。君が寝る場所は大丈夫だった?」


 食事が必要ないというのはにわかに信じ難いが、睡眠は必要だろう! とガバドは思った。彼が寝ていたベッドは簡単だが手入れがされており、誰かが使っている──それが守り人だという可能性は大いにある。

 しかし守り人は小さくため息を吐いた──ようにガバドは見えた。


「……私に人間的生活は生命力を維持するうえで必要はない。故に睡眠もいらないな。それにここは私のものというわけでもなければ私に必要なものでもない。だから好きに使ってくれて構わないと言ったのだ」


 薄々勘付いてはいたが驚きでガバドは口を開けたまま、今度はスープをこぼしそうになった。改めて彼女の口から〝人間的生活は生命力を維持するうえで必要ない〟と聞くと実感が出る。見た目は同じに見えるのに絶対的に何かが違うというのは少々もどかしさを感じた。


「あ、へぇ……そっかぁ……」

(あれでも……)


 ガバドは一つの疑問が浮かんだ。守り人は感情が読めないので何か気に障る事を言わないように気を付けながらおずおずと質問した。


「でもスープの具材は君が集めたもの、だよね? それにこのベッドも全く手入れされてない感じでもないし少しは使ってたんじゃないのかな……?」

(食事も睡眠もしない彼女が何故? それともやはり別の誰かがいたりするのかな……)


 彼の問いに守り人は少し考えてから言葉を吐いた。


「食事と睡眠はとして時々するだけだ。そのためにここを使わせて貰っているだけだから」

「嗜好として……まぁ確かに食事も睡眠も楽しいよね! ボクも好き」


 とは言いつつ、どちらも生きるうえで必要なものであり縛られていると考えればそれが無いのはどんな感じなのか、生きるのがもっと楽になるのだろうかとガバドは考えた。

 食事も睡眠も『人間』に必要な事であるが、その二つによって『人間』という事に縛られてしまう。けれどその『人間』に縛られない彼女はどれほど楽なのか、それをガバドは羨ましいと思った。


 ……最近人間関係が上手くいってなかったからといって守り人の状態を『楽』と言うのはダメだ、とガバドは考えるのをやめた。彼女にも辛いことはあるだろう。でもだからこそガバドはここに居心地のよさを感じているのかもしれない。


 だが今これを聞いて守り人を〝怪物〟と思わず、こういう事を考えるあたり自分は変わっていると言われる一因なのかと思った。〝守り人〟と〝人間〟が違う事など分かりきっている。しかしガバドは彼女との共通点を探してみたかった。そのくらい守り人は自分達人間に似ていて、どこに違いがあるのか分からないくらい『人間』らしいとガバドは感じたのだ。


「楽しい、私には分からないのだが……これはただ昔の事をなぞっているに過ぎないだろうな」

「なぞる……?」


 ガバドの呟きに守り人は答えなかった。しかし彼女は前にも誰かの真似をしていると言っていた。

 〝真似〟と〝なぞる〟……それが同じ事なのかはたまた違う事なのか、そして一体『誰』をなぞり『誰』の真似をしているのが、ガバドの心に深く引っかかった。


 自分の知らない事をガバドはとことん知りたくなってしまう。だが、きっとこれは守り人にとって繊細な部分の話になるかもしれないうえ、今ガバドが訊いても答えてくれるかどうか分からない。

 ここで欲望に任せて守り人に聞いてはダメだとガバドは思いグッと堪えた。代わりに自分の事を話そうと思った。そうして何かのきっかけに守り人も自分の事を話してくれたらいいなという願望を込めて。


 とはいえ何を話すか迷うところだ。先ほどの会話の流れからして〝当たり障りない話〟となると話題選びがとても難しい。少し考えてから自分の身の上話、ここに来るまでの経緯をガバドは何となく話し始めた。


「もう分かってると思うけど、ボクは軍人でね。父さんも母さんも軍人で父さんはボクの上司なんだ。母さんは……いないけど」


 ガバドは守り人の反応を伺ったが特に何も無かった。


「ボクは軍人にはなりたくなかったけどそういう家に生まれちゃってね、でもシルヲ森林討伐には興味がないんだけど」

「シルヲ森林?」

「あぁ、この森の名前。聞いた事ない?」

「人間と会話などしないからな」


 ガバドは改めて守り人との間に大きな隔たりを感じた。文字通り住む世界が違うのだろう。


「そうだよね……まぁ森の討伐、というより戦争とかそんなのに興味ないというか、あまり好きじゃなくて……前は戦線とは関係ないとこにいたんだ。父さんもそこまで討伐に力を注いでいたわけではないから許されてたんだけどね。でも──」


──でも


 その続きをガバドは彼女に話すか迷った。


(だけどこの話は彼女にしかできない話かもしれない……)


 話すと決めてもどこか落ち着かなくガバドは頭を掻きながら話した。


「これは下らない話だと思って聞いてほしいんだけど……ボクの母さんはちょっとした事故で死んじゃって、もちろんボクも父さんも悲しかった。それで終われば良かったんだけどね……ある日、急に父さんが森討伐に躍起になったんだ。それからずっと『森を手にすれば力が手に入る、そうすれば何でも願いが叶う。死者を蘇らす事だってできる! 妻にもう一度会える』って言ってて……ボクはそんな事ありえないだろうと思ってたけど、その態度が父さんは気に入らなかったみたいなんだ。守り人さえ倒せば森を手に入れられると考えたんだと思う。それでボクに守り人の調査を命じたけど生憎、ボクにはやる気がなかったから、まぁ……死にかけて君に助けられたっていう感じで……」


 そこまで話してガバドは守り人の反応を待った。予想する反応はきっと〝下らない〟の一言で済まされる事。……本心は〝下らない〟と済ましてほしかった、というより彼女でも誰でもいいからこのを理解し肯定してくれる存在が欲しかった。変わってるのは自分じゃなくて世界の方だと言って欲しかった。そうしてくれる可能性が最も高かったのが彼女だった。


「そうか、森に力はある。死者を蘇らせられるのかは分からないのだが」


 しかしガバドの傲慢な希望を打ち砕くように、守り人がさも当たり前という感じに言い放つ。その事に少しだけ寂しさを覚えつつ、それを押しのけてずっと胸の奥にあった疑問、興味をガバドは自分の欲に勝てず、


「そんな森を守っている君は何者なんだ?」


 と聞いてしまった。


 〝守り人〟というのは分かり切っているが、それ以前の前提というより根本的なことが知りたかった。森に不思議な力があるとして、それを守るのは分かる。ではなぜ守る必要があるのか、そして彼女はいつから守り人なのか、守り人は一人なのか、そうだとして理由は?


 さすがにこれは答えてくれないだろうと思いつつガバドは反応を伺った。

 守り人はどう答えようか悩むように目を細めた。こんな話をしている最中だが初めて守り人の表情が変わるのを見てガバドは嬉しくなってしまった。


「何者……私は森を守るために存在しているだけ。それ以上でもそれ以下でもないから。それ以外の事を聞いているのであれば……私が人間ではない事は承知の事実だろう」


 ガバドは守り人を急かさないよう言葉を我慢し続きを待った。


「それと、いずれ私は森の一部になるのだろうな」

「森……? それは木になってしまうということ?」

「そうかもしれないな」


 守り人の頭から生えている二本の角が目に入る。自分がいずれ木に変わってしまうという得体のしれない恐怖を抱えて生きるのは恐くないのだろうか。少なくとも自分が別の何かに変わっていく、浸食されてしまうのはガバドにとっては恐怖以外の何物でもない。意識があるままなら尚更、想像してみても途中で耐えられなくなってやめてしまうくらいには。


 しかし守り人は何とも思っていない様子、というよりは〝何も感じない〟それが〝当たり前〟かのように受け入れている事が、ガバドには信じられなかった。もし彼女が自分の意思でそうなっているのだとしたらなぜなのか、そうする必要があったのか。


 だが、この事について更に守り人に問いかけても、きっと答えは返ってこないだろう。というよりガバドの頭が追い付かない。そして何よりそんな守り人の後ろにある『何か』に本能的に恐怖を感じてしまった。

 話題を変えようとも思ったが、ガバドにはどうしても気になる事があった。


「君は、その……生まれた時から守り人だったの? もしそうじゃないならどうやって守り人に?」

「あまり記憶などはない。覚えている事もあるが多くはないだろう」


 そう言って守り人はもう話す事はない、というように小屋から出て行った。

 一度に沢山、しかも踏み込んだことばかり聞いてしまったかなとガバドは反省した。一人になり守り人がいない事に少しだけ寂しさを覚えたが、彼はそれよりも心がざわつく事が気になった。


(ここまで彼女から色んな話を聞いた。それはボク達の常識を覆すものばかりだった。しかしさっきから感じるこの複雑な気持ちはなんだ? 彼女の事をもっと知りたい、ただ守り人の事を知らないから知りたいわけじゃない。でも知ってどうしたいんだ……)


 確かに彼女の事をもっと知りたいと思うが、じゃあそれはなぜなのかと言われたら、もちろん彼女と仲良くなりたいと思ったわけで……。でもそれって父さんに言われたからやるのでは? と問いかけてくる自分もいたがそれは違う、とはっきり言える。


 彼女と仲良くなりたいのは彼女を〝救いたい〟と一瞬でも思ったからだと言える。なぜか分からないが、ガバドはそうしなきゃいけない気がした。それは彼女を哀れんでいるからではない。

 だが彼女を救うのはきっと簡単ではない事をガバドは分かっている。仲良くなったとしてガバドが森に居続けることはできない。いずれ帰らなくてはいけなくなった時どうするのか。もちろん彼女の事は誰にも言うつもりはないが、自分が帰ったら彼女はになるだけで、ガバド以外の人全員がまた争うだけになる。分かってはいてもガバドにできる事は少ない。だからといって彼女の事を話せば争いは加速してしまうだろう。


 ガバドの心はもう決まっていたがしばらく無駄な自問自答を繰り返した。そうしなければならないほどこれは単純に自分の気持ちに従っていいものではない。これにはガバドの責任と世界と戦う覚悟が必要なのだ。これは比喩ではない。

 すっかり冷めきったスープをガバドは一気に飲み干した。


──ボクは決めた。父さんに言われたとか関係なくボクがそうしたいからやるんだ。方法とか難しいことは後でいくらでも考えられる。まずは彼女の事を知ることが一番大事だ。そして考えるんだ。この世界で唯一この事を考えられるのはボクしかいないから。


 ガバドは決意するまでは沢山悩むが、決意するとその意思は固く行動に移すのが早い。


  ◆◆


 守り人を探すため空になった食器を持ってガバドは小屋を出た。

 ドアを開けると吐く息が白く、冷たい風を全身で受け止めてしまった。そういえばコートを着てくるのを忘れていたと思いつつ、不思議と寒さは感じられなかったのであまり気にしなかった。そんな事よりも彼女はどこにいるのだろうと、ガバドは真っ白な世界の中、目を凝らしながら探した。

 すると、どこからか彼女の声が聞こえてきて振り返った。


「何を探しているのか」

「えっ? ど、どこにいるの……?」


 しかし声が聞こえた方を振り向いても誰もいなかったので、ガバドはその場で一回転してしまった。よろけて転びそうになったところで、いつの間にか現れた守り人に支えられ何とか、雪に飛び込むことは回避できた。颯爽と助けに来た守り人にときめきながらガバドは感謝の言葉を伝える。


「あ、ありがとう……って、どこにいたの?」

「どこにいようが関係ない」


 そう言うと守り人は離れた。ガバドの瞳孔は相変わらず開いたままだった。

 ガバドは少しムッとしたが決して守り人の態度にではなく、そういう態度をされてしまうのは彼女にとって自分は特に気にする相手でもないと思われてしまっている自分に対してだった。もちろんガバド一人でこの森をどうにかする力も無ければ、守り人に傷を付けることだって叶わない。そんな事をする気は毛ほどもないが、〝もしも〟を期待してしまっている。


 例えば、実は彼女にとって自分は凄く重要な人物だった! とか、何だか放っておけない存在だな、とか些細な事一つでもいいから何か欲しかった。しかし、そう思われる要素が何も無かったという事で〝空っぽな自分〟を世界から嘲笑われているように感じ、ひどく焦燥してしまった。


 しかしまだ出会ったばかりという事を考慮すれば当たり前の事だった。逆に考えれば今はフラットな状態であるから、これからの関わり合いでどうにでもできる! という自信だけはあった。……少し楽観的過ぎる気もするが。


「それで何か用なのか」


 守り人に用件を聞かれたところで、ガバドは思考の海から戻って来た。


「んと……お椀とスプーンどうすればいいかなって」

「適当に埋めればいいだろうさ」

「埋めるの? 何で?」


 頭の上にはてなマークが浮かぶガバドに守り人は腕を組みながら面倒くさそうに、ため息を混ぜながら言った。


「埋めれば森に還る。私には必要ないから」

「……じゃあ毎回、一から作ってるの? わざわざボクのために?」

「あぁ」


 先程とは打って変わり、今度はガバドが世界を嘲笑った。

 自分の事を何とも思っていないようだった守り人が、まさか毎回〝ガバドのため〟だけにわざわざ食器を一つずつ手作りしている、なんて知ってしまったら天にも昇る気持ちにもなってしまう。

 ガバドは嬉しくなり満面の笑みを見せたが守り人がそれを訝しんだのは、自分が言った事がガバドにとってどういう意味になるか分からなかったのか、それとも彼女にとっては全部、無意味であったからかもしれない。


 しかしガバドは守り人がどういう考えをしていようとも関係なく「そっかそっか」と彼女に、にやけているのが見えないように呟いた。たとえ言葉に深い意味が無くとも彼女の中に少なからず自分という存在があった事が何よりも嬉しく、たったこれだけの事で希望に満ち溢れた。

 一喜一憂するガバドから守り人は少し距離を取ったが、彼はそんな事に構わず近付いた。


「あは、ありがとう。でもボクはまだ使うから……その度に作り直すのも大変だし、もったいないからさ。どこか水場はあるかな? そこで洗って再利用しようよ」

「……そうであるなら」


 そう言って守り人はガバドを置き去りにする速度で歩き出してしまったので、ガバドは慌てて追いかけ彼女の隣を歩いた。

 改めて隣に並んで彼女を見ていると自分よりも小さいことが分かった。線は細く無駄を削いだような体つきで腕も細い。顔つきも思っていたより少々幼く見えた。

 こんな子がいつも何千何万の人間に対したった一人で森を守りながら戦っているなどにわかに信じがたかったが、ほぼ死体に近かった自分を軽々と持ち上げ小屋まで運んだことを思い出し、やはり守り人であると実感させられる。それに気を抜くと雪に足を取られてすぐに置いて行かれそうになるところにも力の差を感じた。


(ボクって意外と貧弱だったりする……!? そりゃ、守り人とただの人間との間に力の差があるのは当たり前だろうけど、彼女の見た目は女の子だから男のボクの方がこんなんじゃ情けないよ。……一応ボクだって軍人だからそれなりに鍛えてはいたけど、いつも書庫にいたからなぁ)


 うぅ、とガバドは自分で考えて悲しくなってしまった。


「まだ歩けなかったか?」

 ガバドが悲観していると守り人が気遣った。それが少し意外だった。


「いや……大丈夫だよ。うん、ありがとう」


 驚いたというわけではなく、守り人には普通に接しても大丈夫かもしれないと思ったのだ。守り人からはガバドを〝ただの一個人〟として扱っている意図を汲み取れた。

 だが守り人にとっては〝ガバドを心配する必要〟は言ってしまえば〝無い〟ガバドの面倒を見ると言っても、それは〝監視〟の方が合っているのかもしれない。もし、誰かの真似をしただけにしても守り人がガバドを心配する理由など無いに等しい。


 だけどたった今、守り人はガバドを心配した。

 それは紛れもなく彼女の〝意思〟だった。それに比べガバドは他の人に比べれば、目の前に存在する彼女を一個人として扱ってはいたが、やはり心のどこかで『守り人』という前提条件があったため、ずっと顔色を伺っていた。反応が気になるというのが一番だが、万が一怒らせてしまえば死に直結するという気持ちは捨てきれなかった。


 だがそんな事を気にする必要はなく、もっと楽に話をしてもいいのかもしれない。守り人はきっと優しいから自分の話に耳を傾けてくれる気がした。彼女が理解の色を示してくれるかは分からないが、何より彼女ともっと〝会話〟がしたかった。

 沢山のことを話せば守り人が興味を持つ話もあるかもしれない。幸いにもガバドは話す事が得意であった。


(はは、やっぱりボクは情けないな。ボクの方が守り人という前提条件に囚われながら彼女と接していたんだ。確かに彼女の機嫌を損ねれば一瞬で自分の命が吹き飛ぶかもしれない恐怖のせいで、彼女とちゃんと接することに躊躇っていた。それでどうやって仲良くなると言うんだ)


 こんな簡単な事も分からな自分は馬鹿だなと諭した。


(彼女と仲良くなりたいならきちんと向き合わないと失礼じゃないか。万が一ボクの命が吹き飛んだらそれはボクの運命はそこまでだったと思える)


 そう思うと肩の力が抜け『守り人』ではなくただの『彼女』として接せれるような気がした。

「そういえば、来た時よりも寒くないんだ。変わらず雪は降ってるのに不思議だね。思えば森にはずっと雪が降ってるよね? 晴れるときはあったりするの?」


 守り人は歩調をガバドに合わせ会話に付き合った。


「晴れる日はないな。雪を降らしているのは害あるものが立ち入らないようにするための防衛機能だから。お前が今、寒さを感じないのは私が危害を加える気がないと判断したからだ」

「へぇ凄いね! なら逆にものすっごく暑くすることもできるって事? 多分というか皆、防寒しかしてないからしばらく侵攻できなくなるんじゃないかな! それに植物達は日光がなくても大丈夫なの?」

「この森は普通じゃないから。だから日光がなくても生きていける。それに──」

「……?」

「雪の方がいいの……」


 ガバドは一瞬遠い記憶の景色を見た気がした。しかしそれは認識する前に雪に溶けて消えてしまい、思い出す事もできなかったので仕方なくガバドは考えないようにした。


「……。そっかぁ、ボクも雪の方が好きだな!」

「死にかけていたのに?」

「まぁあれはちょっと森を舐めていた、というか……へへ」

「ふん……」



 そんな会話をしながら、しばらく歩いていると小さな川のほとりに着いた。

 ここまで下らない話が続くとは思わずガバドは内心、舞い上がっており守り人との間に温度差を感じてはいたが気にしていなかった。


 ガバドは川の近くまで行くとそっと手を入れてみた。極寒の中、自然の水に触れたがる者は少ないがガバドに躊躇いはなく、むしろ輝く水面に魅入られていた。手を入れるとひんやりと冷たかったが極寒の中の水、というよりは少し温かい時の水に感じられ気持ちよかった。それが妙に嬉しくてガバドは、思わず笑みをこぼしたが、背後にいる守り人には伝わらなかった。


 水の感触を感じながら何を考えるでもなく水面をしばらく見つめてから食器を洗い始めたガバドを観察するように守り人は少し離れて見ていた。川に汚れをそのまま流していいものなのか食器を洗っている時にふと思ったが、守り人が特に何も言わないので多分大丈夫だろうとあまり気に留めなかった。

 ガバドは食器を洗い終わると今度は水を両手ですくい顔を洗った。もう一度水をすくうと手の中に映る自分と目が合う。


(うん、そうだね。今この水を飲めばボクは森側に踏み込む、少なくとも守り人を除いてこの世界で一番、森の者に近くなるということだ。でも、ボクはもう決めたから)


 改めて自分の覚悟を噛みしめてからすくった水を飲み干す。じんわりと体の中心から染み渡る感覚をゆっくりと味わう。その行動に守り人は息を呑んだ。なぜなら川の水を直接は守り人である彼女さえ飲まないからだ。

 一連の流れでガバドの雰囲気が少し変わったように見え、彼の覚悟は守り人の暗闇に小さな光を弾けさせた。他の瞬きに比べればとても小さく輝きの乏しい光だったが、何百年と暗闇に呑まれ続けていた守り人にとっては目を焼かれるくらいに眩しかったかもしれない。

 彼が「帰ろう」と差し出した手に彼女は純粋な気持ちで応じた。



 二人はまた下らない話をしながら小屋まで帰って来ると日が沈み始めていた。雪に反射したオレンジの光に包まれると、まるでこの世界にはガバドと守り人の二人しかいないような錯覚に陥る。

 願望まみれの妄想をしていたところでガバドは我に返り、恥ずかしさに自分をなだめた。食器を棚に戻しながら、「そういえば」とガバドは守り人に尋ねた。


「君も時々食事すると言ってたけど何を食べてるの?」


その質問に守り人は少しだけ考えを巡らせた。


「木の実や干し肉とかだな」

「じゃあ料理とかしないの?」

「必要などない」

「でもスープをボクに作ってくれた……」


 そこでガバドはピンと来た。


「……もしかして、ボクの鍋使った?」

「拝借した。埋めてないから安心しな」

「はは、役に立ったならいいよ」


 そこでガバドは小さな違和感を覚えた。木の実や干し肉を食べる守り人が〝料理〟をする事に引っかかった。ガバドが来る前から食器があったという事から推測できるのは少なからずそういう生活をしていた事があるという事になる。そうなると守り人は元々〝人間〟であった可能性が出てくる。

 ここまで考えてからガバドは、待てよ……と別の疑問を浮かばせた。


(ボクが来たから新しいのを作ったという事もあり得る……ん? それなら人間が食器を使う文化があると知っている事になる。なら彼女は人間と交流、ないしはそういったものを知る機会があったという事になるのでは? うーん、考えれば考えるほどややこしい……)


 いくら頭を働かせたところで解決はしない。ガバドにとって守り人が元々なんだろうと、さほど重要なものではなかったため、少し考えを巡らせてからそれを放棄した。


「ふん……もう用がないなら行くな」


 ガバドの意識が逸れた事を感じた守り人はその場から去ろうとした。


「待って!!」


 小屋から出て行こうとする守り人の腕を咄嗟にガバドは掴んだ。そうしたのはきっと守り人がガバドを避けようとしたからだ──目の前の彼女は無自覚かもしれないが。ここで確実に捕まえないともう二度と会えなくなる気がしたのだ。守り人は腕を掴まれた事に僅かに驚いたが特に抵抗もせずガバドをジッと見つめた。


 ガバドは守り人の手を掴んだまま少しだけ自分に引き寄せ「今更だけど」と真剣な眼差しで彼女の目を見ながら言葉を紡いだ。自分の気持ちを、伝えなければいけないと感じたから。自分の覚悟をちゃんと言葉で伝えよう、まだボクは君の側から離れないよって。……何だか重い気もするが伝えない後悔よりかは伝えた後にする後悔の方がよっぽどいい。


「ボク知りたいんだ、君やこの森の事。これは決してボクがそういう目的で来たからじゃなく、この森に来てからボクが決めた事だ。──教えてほしいんだ、ボクの知らない森や君の事! だからまだここに残るけどいいよね」

「お前は、私が怖くないのだろうか? 人間とはそういうものではなかろうか? 他の人間は言わない。なぜ、そこまでしたい?」


 摘んだはずの心の芽は重くのしかかる雪をものともせず、力強く、再び芽吹いた。


 淡々と言葉を投げつけられ、いつもであれば萎縮してしまうガバドだがこの時は違った。彼女の言葉を受け止めてからゆっくり自分の言葉を渡した。


「君は怖いの?」

「……」

「確かに最初は怖かったよ。ボクの命なんて君にとっては簡単に潰せる。何が君の気に障るか分からなかったからね。……でも今は怖くないよ。だって君はボクの話を最後まで聞いてくれた、それに敵意がないのにずっと怖がってるのも失礼かなって……あ、もし馴れ馴れしいのが嫌ならやめるから! だから……!」


 よく口が回るなと思いながら守り人はゆっくり目を閉じ優しくガバドの手を離した。そしてまたゆっくり目を開けた。


「好きにすればいい。心配しなくともまた来るから。言ったからには最後まで面倒見るさ」


 ガバドは感極まって彼女に抱き付きそうになったが必死に堪えた。今ここで全てを台無しにするわけにはいかない。


「ありがとう! そうだ明日は君と同じものが食べたいな、どう?」

「構わないな。……もう日が沈む、明けたら来る」

「うん! また明日、おやすみ」


 ガバドの言葉が守り人にどのくらい伝わったかは分からないが少なくとも明日はまた会える、それだけで十分だった。〝また明日〟が続けばずっと一緒にいる事と変わらない。彼女におやすみと言えるのが胸を焦がすほど感激するものだと実感する。

 守り人はドアに向かい振り向きざまに「珍しい」と呟き小屋から出た。これはガバドに向けたものではなく守り人自身に向けて言ったものであるが幸いガバドには聞こえなかった。


 その夜、彼女は雲の隙間から覗かせた星と共に自分の心にある新芽を眺めた。


  ◇◇


 まさか七日も寝てたなんて! 本当、自分の生命力には驚かされたよ。


 彼女と人間は戦ってる、それを思い出すと同時に〝絶対的な力〟に身震いしたのを覚えてる。

 気を紛らわせるために起き上がってベッドの縁に腰かけ、側に置いてあるナップザックが目に入り中には調査を記録するための物が入っている事を思い出させられた。


 二百年変わらないこの現状をボク一人が調査したところで何も変わらない。もう諦めたらいいのに、どうして誰もそうしないんだろうか……。それにボクが知った事を全部記録したらそれを使って人間はまた森を攻撃するのかと思うと、心の奥に黒い点がシミのようにじわっと滲んだ事を覚えている。

 どうして人間はずっとのか、ボクはずっとそれが知りたかった。だから〝見る〟事にしたんだ。


 人間的生活が必要ない彼女が料理をし、小屋を手入れしている理由は〝趣味〟だった。趣味ね……。それに彼女は楽しいという感情を失ったみたいだ。そして『誰』かを〝真似〟して〝なぞる〟ようになってしまった。

 彼女が人間ではない事は当に分かりきってる。それなのにどうしても彼女の〝存在〟を確認したくなってしまうのは、ボクが負い目を感じているからだ。彼女が今〝どの状態〟にあるか確かめたかったんだ。


 彼女が〝何も感じない〟のは必然的にそうなってしまったと言った方が正しい。

 自分はどこまで傲慢なのか。全部ボクのせいなのに。


 本当に変わってる。いや変わったんだ。

 だからこそボクは彼女を救わなきゃいけない。ずっと前からそう決めてたんだ。


  ◇


 お椀一つで世界から嘲笑われたり、逆に嘲笑ったり忙しいね。

 川に着いてから食器を洗い川の水を飲んだ。この時のボクは覚えていないけど本能的にそうしなきゃと体が動いたんだ。これで彼女に〝ボクの存在〟を見せ付けられたかな。


〝森の水を飲む〟


 きっと彼女にもこの意味は伝わったと思う。それで彼女に何か影響をもたらすことはできたかな? まぁできなくてもいいけどね。彼女にせめてもの希望を見せたかったボクの償いだから。

 小屋に帰ってボクの覚悟を伝えた時、彼女は怖がった。

 君はボクが最初に決意した時も怖がってくれた。ありがとう、今も変わらず優しい君でよかった。……少し心配になるくらいにね。


──まだ大丈夫。これからが本番なんだ。

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