第5話 実戦形式の坂鬼

「さてと、そろそろお前の能力について色々と調べるか」


そう言って坂鬼は、五月雨との会話を区切って、色々と纏められた紙束を眞奈に渡す。

それと同時に、ちゃっかりと最中の持っている荷物を持つ。最中が申し訳なさそうな顔をすると、別に良いと言う。


「一番面倒なんだよな。能力を調べるのが…人によっては完全にわからない能力があったりするからな」


「簡単なのはアイツに聞くことだ。それじゃあな、俺は用事があるんでな」


眞奈は、五月雨がどこへ向かっているのかなんとなく見てから、坂鬼に疑問をこぼす。


「その、能力ってなんなの?」


「さぁな?この組織で幹部をやってるが、未だに知らないな。不明な点が多すぎて、特別な研究部門が作られるぐらいだしな。その点、最高幹部である最中さんの方が知ってるんじゃないか?」


そう言って最中の方を向くが、最中は首を振るだけだった。


「そうか、あとそうだ。暗殺部隊の副隊長に急になった件だが」


「そういえば!あれってなんでなの?」


「実はな、暗殺部隊は最中さん以外誰もいないんだよ」


「誰も!?」


最中は少しそっぽを悲しげに向く。


「簡単にいえば、最中さんのこなしてる任務ってのは、俺でも追いつけるかわからないぐらいハードなんだよ。一応幹部の俺がやっとなのに、そこにそこらの慣れていない奴が入れば、な?」


「そんなに辛いの…?」


眞奈は最中の方を心配の目を向けながら見る。

最中は少し顔を引きずらせる。


「まぁ、お前なら大丈夫だろう。強さは聞いているし、慣れれば問題無いだろう。それと、最中さんのこなしてるのは、基本的に他の部隊ではやりにくくてな。手伝えれば良いんだが…どうも足で纏いにしかならなくてな」


「モナの負担を減らせるかしら…」


「それはお前の努力次第だろうな。さてと、ここでいいか。取り敢えずは、能力を知ることだろう。手っ取り早いのは実戦だ」


そう言って坂鬼は、扉を開く。扉の外は森が広がっており、看板に乗ってる地図によれば、かなり広いようだ。


「最中さんは、取り敢えずこちらでお待ち下さい。それと、そうだな…報告書を読んだ感じで言うが、お前の能力の発動条件トリガーとなっているのは、怒りと考えられる」


それは五月雨達との戦いの事を言っているらしく、事細かに伝わっているようだ。


「もう一つは『』だろうな。話しによると数ヶ月は何も食べていないんじゃないか?」


「確かに…今思えば、何ヶ月も何も口にしてないわね」


「それぐらいか。ん?だとしたら、今はなにもできないか。どうするかな?」


「その二つはそれぞれにどういう能力なの?」


「あぁ、そうだな。『絶食』は簡単だ。なにも食べる必要がなくなる。まぁ、空腹は満たせないがな」


「食べようと思えば食べれるのね」


「そんなかんじだ。もう一つの『怒り』の方だが、これは怒りを力にするといった方がいいな」


「思えば、あの時もアイツにムカついてたわね。それであんなに動けたのかしら?」


「多分そうだろう。シンプルな能力故に強いからな。ただ、『怒り』は諸刃の剣と考えてもらっていいだろう」


「こういうのを言うのはどうかと思うけど、貴方…見た目の割にかなりの頭が回るのね」


「回らなければ幹部はやってねぇな。それにしても、そうか…仕方ねぇが、徒手格闘の、訓練でいいだろう」


「それなら少しだけだけどできるわよ」


「誰からか教わったのか?」


「…みっちゃんから。戦い方以外にも色々と教わったわね」


「それなら期待できそうだ。取り敢えず俺はこの森の反対に行く。そこから俺は攻めてくる。どうやって攻めるかは教えん、まぁ使


「わかったわ」


「あっちから合図を出す。とにかくデカい音だから、耳を塞いでおけ!」


そう言って坂鬼は、眞奈達から見えない反対側へと行った。

それから少しして、音がなる。

その合図を始めとして、二人が動き出す。眞奈は真っ直ぐと、坂鬼はゆっくりと蛇のように。

二人の差はゆっくりと、近付いて行く。坂鬼の姿らしきモノが見えた瞬間、眞奈は見えなくなる程速くに枝を投げつける。

当然の如く避けられ、音もなく迫ってくる。姿が見えたときにはもう、後へと周り込んでいた後だった。


そこからは流れ作業のようで、簡単に組み伏せられようとしていたが、眞奈はそれにあれよこれよと抵抗する間に、簡単に倒されてしまったのであった。

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能力の飛び交う裏の世界で 眞田家の者です。 @lcok44

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