第五十話 不撓不屈の勇姿
揺らぐ青の洞窟。頬を行き、顎へ伝う玉の汗。均衡の上に立つ俺たちの叛逆する刃が、湖の底から浮かび上がる青い光に輝いた。
黒鱗の上。奴の上を駆け抜けて、タクティカルブーツが摩擦音を鳴らす。体を大きくうねらせた独眼龍にこれ以上取り付くことができず、振り落とされるようにして滑り落ちた。
「竜喰ッ!!」
しかし、タダでは離脱しない。落ちる間際、刀を振るって奴の体に深々と傷をつける。ほんの少しの呻き声が、洞窟の中に響いた。
宙を駆け抜け即座にやってきた里葉の盾の上に乗る。盾の行く先は分からないが、また取り付けるように機動してくれるだろう。
このままなら行ける。
空想種”独眼龍”は今まで相手にした敵の中で最も恐ろしい妖異だが、俺たちと相性が良い。体躯の違う俺たちと交戦するにあたって奴の巨躯はかえって邪魔になっているし、対群戦闘に特化したような能力が多いためか俺一人を殺すことが未だ出来ていない。
しかしどこか奴は今……俺を殺す方法を探っているようにも見えた。
斬撃を至近距離で飛ばし、奴の体に傷をつける。しかし、斬っても斬っても奴の命を削れているような感覚がない。一体、何回斬れば奴は地に伏すのか。果てが見えない。
このままだと俺と里葉の魔力が尽き、敗北するのが先になってしまう。
やはり、一気に勝負を決めるしかないのか。
盾の上から跳躍し、再び奴の体に取り付く。今のところ上手くは行っているが、一瞬の油断が命取りになる。気を引き締めねば。
付け直す面頬。その支援の元呼吸を整え、再び駆け出した。
戦いというのは上手く行っているように見えても、終わるときは一瞬で終わる。この均衡が、ずっと続くと思ってはいけない。
青の洞窟。進む暗闇の空。
盾の上に乗り空を飛び続ける。奴の背の上を走るヒロを支援しようと、金色をただただ動かした。右手を伸ばし鋒矢の陣形を敷かせて、編隊を組み一斉に金色の槍を飛ばす。
(右方の援護が足りない。金色をもう三……いや五本。今すぐに回さなきゃ。左から動かして私の近くに待機させている七を動かす)
思考しながら透明化を維持して、空を飛ぶ。
空に浮かび上がる、白銀の塊。刃を形作り彼を狙うそれの露払いは、私の役目。
なんの前兆もなく浮かび上がる白銀の刃に対応するため、即座の判断が求められる。加えて百に近い金色を、魔力を通して手動で動かしているのだから疲労感がすごい。頭がズキズキと痛くなってきた。
(……一番危険なのはヒロだ。こんな痛み、どうってことない。私が頑張らないと)
ヒロが与える攻撃。それが一番奴に打撃を与えている。彼が攻撃を続けるためには、私の援護が必要だ。
薄氷の上に立っているような状態ではあるが、かなり押している。そこで生まれた決定的な隙を取り『秘剣』を放てば、勝機があるだろう。
今この瞬間のために、あの『竜喰』は彼を選んだのではないかと直感的に思った。あまりにも都合が良すぎる。この戦いは、あの刃無くして成り立つものではない。
全ては、この一戦の為に。
(しかし……あまりにも上手く行きすぎている。本当に大丈夫なの……?)
洞窟の壁面すれすれを進み、奴の顔の近くを通る。大きな裂傷が走り、潰れたようになっている左目を見てなんとなく思った。
(……この空想種はおそらく、
奴の背を駆けていた彼が、飛び降りる動作を見せた。即座に盾を配して彼を乗せる。
(……この動きにも慣れてきたはず。撹乱するためにも、少し戦い方を変えよう)
彼の乗る盾を機動させ爆発する白銀を回避する。私の意図に気づいた彼が魔力の斬撃を飛ばし、空中での射撃戦に臨んだ。
飛翔する空。被弾を全力で減らそうと、ジェットコースターどころか戦闘機顔負けの機動を取る里葉の盾。それになんとかしがみつきながら、竜喰で飛来する白銀の刃を迎撃し、反撃の斬撃を飛ばした。しかしそれは奴の魔力障壁に弾かれ、あまり効果がない。
こちらは白銀に触れるだけで割れそうになるのに。やはりそもそもの魔力強度が違う。
機動する空の上。金色が奴を取り囲み、それが一斉に攻撃を開始する。彼女が今どこにいるかは分からないが、完璧な援護と言って良い。これでもう一度、取り付く隙が出来るはず。
進む空。再び取り付くタイミングを伺っていた時━━━━
奴の独眼が、明後日の方向を見ていることに気づいた。
ずっと俺を追いかけていたその縦目が今、どこかを見つめている。里葉の武装が洞窟の中で、散らばり切ったこの時。
まさか。
「里葉ぁッ! 今すぐ金色を引き戻せ!」
空に浮かんでいた白銀の淡雪たちが、気体となって全て口に吸い込まれていく。収縮し鳴動する白銀の威力は、この世界をも壊してしまえそうな━━━━
今の今までずっと、当たり前に受け取っていた優位が続くと考えてしまった。奴が見えている素振りをしていないのだから。見向きもしないのだから。魔力を向けないのだから。見えていないと勘違いしてしまった。都合の良い事実を、信じたくなってしまったんだ。
白銀の明かりを灯す独眼。笑ったように見えるその目に。
この、野郎。
最初から見えていたというのに、それを見えていないかのように演じやがった!
怜悧狡猾。圧倒的強者であるはずの奴が仕掛けた、その罠。
それだけは、本当にまずい!
形を変え、層状に集結する金色の盾。宙にはもうそんな余裕はないと、透明化を解いた彼女の姿がある。
「━━━━っ!」
ちらりと俺の方を向いた彼女の口が、ごめんなさい、と言うように動いていた。
彼女だけは。
腰元のホルスターを取り外し、それを地底湖へ落とす。
瞬間。
宙を突き進む白銀の光線。浮かび上がっていた淡雪を全て集結して、何百色と折り重なる白色と銀色に、金青の輝きに包まれた金色が今衝突した。
一秒もかからず突破された金色に、彼女の顔が明るく照らされる。彼女は諦めた、もう満足だと言うような顔をしていて。
「……里葉っ!」
ありったけの魔力を脚部に込め、盾を粉砕できてしまうほどの力で蹴飛ばした。
空の上。彼女に体当たりをする。俺と入れ替わるようにして、金の盾から落ちた彼女は唖然とした表情を見せた。ああ。良かった。これなら、当たらないはず。
彼女がいた盾の上に乗って、構えた刀。
迫り来る、白銀の前に。
魔力障壁の割れる音が聞こえた。視覚が、聴覚が、嗅覚が、触覚が、全て真っ白に支配されて。
埋め尽くされた魔力に、そのまま塵となって死ぬのだろうとなんとなく思った。
俺のいくさは、ここで終わるのか?
沈んでいくように、落ちていく体。自分がされてしまったことの意味に気づいて、思考が、感情が、絶望に染まる。彼の魔剣は必死に白銀を喰らい抵抗しているようだったが、もう如何しようも無い。刀は真っ二つに折れて塵となり、原型を留めているのは彼が握る柄だけになった。
宙で引き戻した盾に着地して、そのまま操作ができなくなって、地に落ちる。
「ぁ…………」
足を崩して、座り込んだ地底湖の上。空にいる彼の姿は。
……右目が吹き飛んでなくなっている。
表情は歯を食いしばったままのもので固まっていた。手は柄に張り付いたようにぐしゃぐしゃになっていて、形を成していない。
彼が着ていた戦闘装備は吹き飛び、煤にまみれた体に肌の色は見えない。
竜喰のおかげで耐えられていたが、もう、間違いなく彼は。
涙で彼の姿が見えなくなってきて、もう分からない。
なんで。どうして?
私が欲を出さなければ。彼はこうならずに済んだのに。私は我慢すべきだったんだ。
力を失い、ふらりと落ちるように。彼が地に体を打ち付ける。
燃えかすのような魔力。柄だけは離さない彼を喰らおうと、龍が顔を寄せてきて。
口をゆっくりと開いた。
右目はこちらを見ている。これを狙っていたと。宣言するようなその視線に。
「い……いやだ……いやぁああああああああああああああっっ!!!!」
響き渡る叫喚。放つ金色。私を嘲笑った後無視をして、奴は動く。
龍のよだれが、彼の前にポタリと落ちた。
揺らぐ青色の光。
静寂の中。決して大きいわけではないのに、踏みしめる音が響き渡る。
「うそ…………」
ぼろぼろの彼が、なんと立ち上がった。
彼を突き動かすのは、最後の活力。人の限界を越えて、命を削っている。
彼がしようとしていることを理解して、ただ叫んだ。彼が私を助けようとしてくれているのはわかる。それでも、それだけはだめだ。耐えきれない。
そんなことになるぐらいなら、私が死ぬ。死んでやる。死んじゃうよ。やめてよ。
「ひ、ひろ……だ、だめ……お願い!」
その刀は呪いのように。濃青の渦を作り復元された新たな鋒を向けて、彼が呟いた。
「今、こ、こに、『不撓不屈の勇姿』を」
朧げな視界。目の前には独眼龍の顔。持てる魔力を全て竜喰に注ぎ込んだ。
里葉には、生きていてほしい。彼女は俺を、俺の心を生かしてくれたから。
……本当は二人で、生きたかったけれど。ハハ、先に想いを伝えとくべきだった。
彼女を救うための勇気なら、この先にある死の恐怖にでさえも立ち向かえるって。
沈黙する竜喰。
なあ。おまえにも、味の好みはあるだろう? また、食わせてやるから。力貸せ。
俺の背中から、立ち昇るように現れる何かの姿。それを見て、目の前の龍が退く。
死力を費やした彼の背に浮かび上がる生物。今彼は、彼と同じように龍を見据えるその生物の姿を見ることができない。
刀に閉じ込められていた、いや、封印されていたもの。
まだら模様の茶色。全身は毛に覆われている。
凛とした刀に似合わない。丸々と太った立派な体。首の太さと体の太さが同じように見えて、言ってしまえば鈍臭い。
三角の耳。長い髭。飛び出たように見える口の、すぐ上に乗せられた黒茶色の鼻。
クリクリとした瞳は、無邪気に龍を見つめている。
顎に生える、柔らかな毛は白色。
「にゃぁあああああぁぁおっ」
嘘、だろう。
鳴き声に続いて。彼が静かに、呟いた。
「『秘剣 竜喰』」
その言霊に解き放たれて。暴食の化身は口を開き飛びかかる。
空想種。
それは、全ての妖異の祖先であると言われる重世界に眠るもの。
何千年という途方も無い時の狭間に生き、重世界を操り世界間を自由に行き来することが可能な彼ら。
連綿と受け継がれる空想種に関する記憶。空想種は別名『気まぐれなる厄災』とも呼ばれ、人類が対抗できるような類のものではない。英雄と謳われた妖異殺しが、簡単に殺されてしまったという話がいくつもある。
そんな空想種の、重世界にある生態系の中で。
頂点に立ち絶頂を謳歌する龍種に、ただ一種だけの天敵がいた。
龍虎相搏つ。
それは猫のような、虎のような何かだった。
その耳は世界の音を全て聞き取り、その無邪気な瞳は世界を渡ってでも
何百年に一回という周期で目覚め、龍を喰らい、すぐに眠りにつくその生物。それ以上の栄養は必要とせず、ふらりと現れては消えてしまう。そんな空想種の中に。
必要ないというのに。
常に食べることしか考えていない、食いしん坊の子猫がいた。
彼は何もかもを食らった。口に入るものならなんでも食べた。そうやって無邪気に暴れた
濃青の魔力の中。泣き叫ぶような籠もった声が、漏れ出ていた。
バキバキと鳴る、喰われていく音。あの龍が一方的に喰われていく光景を尻目に、彼女は必死で駆け出す。
煌めく涙が空に溢れた。
地に倒れ込んでいる広龍に駆け寄り、介抱をする里葉。右手で頭を持ち、抱きつくように左手を回す彼女は呟く。
「い、いや。いやだ。ひ、ひろが、ひろのたましいが、われちゃう」
金青の魔力を必死で動かして、治癒の術を使う里葉。しかしそれは焼け石に水。口元から聞こえる微かな息の音は、いつ止まってもおかしくない。
嗚咽の声を漏らし、泣き叫ぶ彼女は呼びかける。
「おねがいっ! 置いてかないでッ! ひ、ひろぉ! 死なないで、ひろ。死んじゃ、や……」
彼の命の灯火は、微風一つで消えてしまうぐらいに弱い。
そんな、精魂尽き果てた彼の横に。大地を揺らすように、龍の体が横たわった。
砂埃が舞う。
唖然とする里葉の目の前。力を失った龍の胴体の上に、龍を超える大きさの猫がぬっと現れる。
口を開き龍の胴体を咥えた猫は、その牙で龍の体に穴を開けた。
龍の生き血が、だらだらと流れ落ちていく。
猫の双眼が、里葉のことを見つめた。
「嘘……選べって言うの? 私に」
絶句し、猫を、竜喰を見上げる里葉。彼女が触れる、彼の体温はまだ暖かい。
彼女の脳裏に浮かぶのは、彼と過ごした日々。そして彼女が抱く慕情。
泣きながら彼女は言う。
「……ヒロ。ごめんなさい。でも私はもっともっと、あなたと生きていたいっ!」
彼女は横たわる龍の肉体に触れ、両手で龍の生き血を掬った。
それを一度口にして。
祝福するように。
願いを込めて、彼に口づけをした。
龍の生き血が彼の体に流れ込んでいく。何度も何度もそれを続ける彼女を横目に、猫は飼い主に龍の魂の大半を譲った後、げっぷをしてどこかへ消えた。
呼びかける、愛おしい誰かの声が聞こえる。
目覚めた先は、天国でも地獄でもなかった。青の洞窟。ここは龍の棲家。この場に戻ってこれたことをただ単純に、不思議に思う。絶対に、死んだと思ったのに。
視界の中。ぼろぼろと涙を流す里葉の姿が見える。彼女は俺に膝枕をしているようで、また同じことを自分はしてしまったのかと苦笑した。結局、『不撓不屈の勇姿』を使った先のことは何も覚えていない。
「ヒロっ……ひろぉ。ご、ごめんなさい。わたしは、ただ、あなたに生きていてほしくて、で、でも」
頭を抱え、がたがたと震えだした里葉。体に力を入れてみれば、あの時とは違いなぜか体が軽い。生まれ変わったかのようなその感覚が、不思議で仕方がない。
右目に違和感を感じて閉じた後、もう一度見開く。
空を行く、魔力の流れが全て視えた。
彼女の膝枕から起き上がって、倒れこむように地底湖の湖面を見る。そこに映る自分の右眼は金眼になっていて、黒目の形が違かった。それはまるで、龍のもの。
全能感に包まれた体の感覚とともに、起きたことを察する。
「ひ、ひろ。わ、わたしは、あなたの意思もかくにんせずに、わたしが、わたしが、いやそもそも、私が偵察しようなんてことを言わなければ、や、私が生きていなければ━━━━」
ごめんなさいと何度も繰り返す里葉。駆け寄り大丈夫だという言葉を投げかけても、彼女の自責の念は止まるところを知らない。彼女は自分の心を自分で痛めつけて、ずっとブルブルと震えている。
それを止めたいと。そう思って優しく両手で抱きしめた。
彼女は泣かなくていいのに。
「ひ、ひろ? やめてください。わ、私がわるいんです。わたしが、ひろを、ひろを」
「大丈夫だ。里葉。大丈夫だから、黙ってろ」
「えっ──」
彼女の後頭部に手を伸ばし抱き寄せて。
唇と唇を合わせる。
お互いめちゃくちゃになってしまっていて味の感想なんて湧かない。
お互い血に塗れていて、ロマンチックさの欠片もない。
そうやって、唇を奪った。
大きく目を見開いた彼女が顔を真っ赤にして、バタバタと暴れる。それを膂力で抑え付けて、動かさない。決して離さない。
俺の意思を感じ取った彼女は弛緩して。目を閉じた後、深々と俺を抱きしめ返した。
求め合うような、お互いが生きていることを確認し合うようなキス。
唇を外した後。先ほどまで騒いでいた彼女は今、恍惚とした表情で呆然としていた。
「里葉。ダンジョンに突入した直後、終わったら話があると言っただろう。その話をしたい」
「──っ」
息を吸って、覚悟を決める。
「里葉。俺は君のことが、異性として好きだ。もっと、一緒にいたい。俺と付き合ってほしい」
言葉に、秘めたる想いを込めた。
「だから、君が俺にしたことは、してくれたことは気にしなくていい。むしろ、里葉の可愛い顔がまた見れて嬉しいんだ。本当にありがとう」
俺の顔を見つめる彼女。その頬は赤らんでいて、もう震えは止まっている。
息を呑み左手を胸元に寄せた彼女は、勢いよく右手でブレスレットを掴んだ。
「ヒロ……ごめんなさい。私が勝手にこんなことをしてしまって、あなたは人の身を捨ててしまったというのに」
キラキラと輝いた一筋の涙は、頬を伝って。
「……私今、そ、それなのに、すっごくうれしいんです。ひ、ひろが、わたしにちゅーしてくれて、ひろが私のことを、えへ、好きだなんて……ま、舞い上がっちゃうような気持ちなんです。わ、わたしは、わたしばがってにひろといたいからっでひどいごとしだのに」
「いいんだ。里葉。いいんだ。どんな体になったって今生きて、君と話せているんだから。俺も君といたかったから」
「えっぐ……ひろ……ひろぉ……こ、こわかったよぉ……ひろぉ……」
俺のことを抱きしめて、右肩に目元を寄せる彼女。後頭部をよしよしと撫で続けて、彼女はやっと、呼吸を整えて落ち着いてきた。
抱きしめたまま。彼女が耳元で囁く。
「……ヒロ。私も、あなたのことが大好きなんです。とってもとっても、言葉なんかじゃ表せないぐらいに。私を、あなたの恋人にしてください」
彼女の言葉に、多幸感が身を包む。頬が緩んで、男らしくない情けないツラを晒してしまいそうだ。
ずっと抱きしめていたかったけれど、一度体を離す。
「里葉。その、報酬部屋に行く前に……地底湖に落としたスマホ探すわ。待っててくれ」
「えへ。待ってます。いつまでも」
不意打ちするように、彼女が俺の頬に口付けをした。
バカみたいに広い地底湖の中。彼女がキスをした頬を撫でながら、乱反射する湖面をちらりと見る。たったそれだけで、沈んだホルスターを発見した。明らかに目が、良くなっている。
「里葉。すぐ取ってくる。そしたら……帰ろう」
「──はいっ!」
出会った時は仏頂面。そこからだんだんと見せてくれた表情に、俺は惚れてしまったのだろう。
やっぱり彼女には、笑顔が似合うな。
──オペレーティングシステム:『ダンジョンシーカーズ』に対する攻撃を確認しました。
──抵抗に失敗。
──オペレーティングシステム:『銀雪』を新たに構築。それに伴うプログラムを実行します。
──特異術式『独眼竜の野望』を習得。
──成功しました。
──竜化に伴い、諸スキル群を最適化します。
──成功しました。
──称号『天賦の戦才』スキル『武士の本懐』を統合し進化。
──成功しました。
──特異術式『残躯なき征途』を獲得。
──称号『月の剣』を進化。
──成功しました。
──特異術式『曇りなき心月』を獲得。
──プログラムを終了します。
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