#2
才能を活かして生きていく、と意気込んでみたのはいいがこの世界ではスキルみたいなものが確認できたりするのだろうか。
自分が読んでいたライトノベルではよく、転生した主人公たちはとりあえず、ステータスオープン!とか試しにやっていた。たしかにいきなり知らない世界にほっぽりだされたら、パニックになってそういう訳のわからないことを言っても仕方がないとは思う。
しかしこれは本物の転生。どうせ何も出なくて恥ずかしい思いをするだけだ。 もしくは周りにやばいやつだと思われるかだ。
ああはなりたくない。やめておこう。
やはり、異世界転生らしくこの世界には鑑定してくれる神官がいたりするのだろうか。それもおいおい調べていくべきだろう。
とりあえずは才能は目に見えるものではないので手当たり次第に探していくしかないだろう。
やはり最初に学ぶべきは剣術か魔術を修めるのがいいのではないだろうか。物語の鉄板でかっこいいしな。
なにより前世は不健康すぎて死んだのだ。たぶんだけどね。ならば体を動かすようなことはやるべきだろう。てことで剣を学ぼう。
かといって前世で剣道をたしなんでいたりはしなかった。やはりここは、父親に頼んで剣術の先生をつけてもらうべきだろう。我流で強くなるみたいな物語を読んだことがあるが、実際にそれをやれと言われて何から始めればいいかわからない。
それにそれで強くなれるとも思わないしね。
僕が生まれた家はどうやらお貴族様の家らしいので剣術の先生を雇ってほしい!…くらいのワガママなら聞いてくれるだろう。なんなら貴族の嗜みとして成長したら学ぶことになっていそうではある。でもとりあえず父様にお願いだけしてみようか。思い立ったが吉日、今すぐ行こう。
小さくてバランスの取りづらい身体を動かして書斎へ向かい、戸を叩く。
「入りなさい。」
返答を聞いてこの体には取っ手の高すぎる扉を頑張って開く。
「セオか、どうかしたのかな?」
顔の頬を緩め語り掛けてくる今世の父親。名前はディルク=エンフィールド。エンフィールド家の現当主だ。
もちろん僕の名前もエンフィールド。セオドア=エンフィールドだ。
「とうさま、えほんでよんだりっぱなきしさまになりたい!」
とりあえず父様の膝の上にのって可愛らしい感じでおねだりをしていく作戦で行こうと思う。
まだ僕は年端も行かない子供だ、いきなり話を進めてもおかしくはないだろう。
「ほう!それは大変立派な夢だね。父さまはその夢を応援しよう。」
そういいながら父様は僕の頭を撫でる。どうやら息子が剣に興味を持ったことが嬉しいらしい。さすがに貴族の家、剣を学ぶこと自体に反対はされないらしい。
「ありがとう!じゃあ、けんおしえて!」
「けん?剣術のことかい?早くからやる気があることはいいことだ。...でもダメだ。まだ体ができていなすぎる。もう少し大きくなったら剣術の教師をつけよう。」
たしかにこの体では剣を振ることはおろか、持つことができるかも怪しいな。父親の判断は正しい気がする。しかしただで転ぶわけにもいかない。少しだけごねてみるか。
「どのくらいおおきくなったら?」
「ん…そうだな…」
悩む素振りをみせる父親に厳しそうだなと感じる。いくら可愛い息子からの頼みでもすぐにはダメか…
「6歳になったら...と考えていたが、その夢を尊重して1年早く手配しよう。」
「ありがとう!とうさま!」
少し早くなっただけでも儲けものだろう。それに一年早くなったということは5歳。この世界では言わないかもしれないが所謂ゴールデンエイジ、運動能力が著しく成長する時期だ。鍛えるのに最も適していると言えるのではないだろうか?
「ああ。それまでは外で遊ぶなりして体力をつけるといい。それと妹とも遊んでやってくれ。まあまだリアは1歳だから外で遊ぶことはできないけどね。」
ここで衝撃の事実が発覚した。
どうやら今世ではリアという2歳年下の妹がいるらしい。前世では一人っ子で兄妹が欲しいと考えていたから少し嬉しいな。後で会いに行こう。でも今は体力づくりのほうが優先だ。
「うん。わかった。じゃあおそとであそんでくる。」
「ああ。メイドたちから離れすぎないようにな。」
こうして僕の新しい人生の運動不足の心配はなくなっただろう。
健康は大事だよ。
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