希望

 ____!

 ______!?

 ________?


眞之まのさん!!起きて!!眞之さん!!!」


 どれだけ気を失っていたのだろうか…。痛い…。息ができない…。


「起きたのね!!眞之さん!これを飲んで!!」


 龍輔りょうすけの奥さんが私に何かを飲ませる。少しづつ意識がハッキリして来た……。


「いったぁぁぁぁい!!!!!!」胸が苦しい。


「大丈夫落ち着いて…あばらが折れているのね…。」


 痛い。苦しい。このまま死ぬのか…。…。目の前にまいが見える…。


【眞之ちゃん…。もう無理しないで…。もう戦わなくていいの…。】


 舞の声が頭に響いてくる…。


「龍輔さん!!このままじゃ眞之さんが取り込まれる!!」


【眞之ちゃん…。戦わないで…。】


「くそ!!こんな時に!!なんでこの呪いなんだ!!くそ!!!!」


【私のもとにおいで…。すべて許してあげる…。】


 龍輔が必死に呪いを抑えているのがわかる。けれど、もう死ぬならどうでも…。いいかな…。舞…。今そっちに…。


「「おぎゃあ~!!おぎゃあ~!!」」


 赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる…。


【眞之…こっちを見て…。私の話を聞いて…】


 そうだ、私は…みんなを…助けに…来たんだ……。赤ちゃんも呪いと戦っているんだ。ここで諦めている場合じゃあないッ!!おばあちゃんの運命を舞やみんなの痛みを背負ってるんだッ!!負けたくないッ!!!!


「うぅ。ああ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」叫びながらも立ち上がる。


 痛い、けれど寝ている場合じゃない!私がやらなきゃ誰がやるッ!!


【眞之…私は舞だよ…。目を覚まして…。】


「眞之!起きたか!でかした!!じゃが、あの呪いは『菅原すがわらの道真みちざね』の呪いのだ。お前の力では倒せぬ!!ましてはその怪我ではッ!」


【私は呪いなんかじゃない。眞之…。こっちに来て】


「だ…大丈夫…。私は…誰…よりも、強い…し、呪いなんか…にも…負け…ないからッ!!!」


「…。そうか。なら、心強い!うし、我も本気で行くぞ!!眞之!!我がこやつを拘束しているうちにやるんじゃ!!」


 木々が何処からともなく生えてきて、呪いを拘束する。


【やめて……。痛いよ眞之…。】


「うん…ッッ!!!!任せ…てッ!!」


 何故だか自信が満ち溢れていた。今なら、今の私ならこの呪いを祓えるかもしれない!!


「ッ!!眞之!後ろじゃ!!」


 油断した。呪いの一部が龍輔の拘束を抜け出してきたッ!!


 その時。


 ッパァン!!


 ガラスがはじけるような音がした。よく見ると印が書かれた紙が私を守ってくれていた。


「紙!?なんで!?まさか奥さん!?」


【私が仲間。そいつは敵…。】


「ふふ。私も神崎家の一員ですもの!を守るのに理由はいらないでしょ!あと、ちゃんと『御代みよ』って名前があるのよ!」


 すごくかっこよかった。


「ありがとう!御代さん!!」


 背中も預けられる…これで、心置きなく祓える!!お父さん。お母さん。お兄ちゃん。おじいちゃん。おばあちゃん。翔子さん。舞。そして、御代さんと龍輔さん、もとい多邇具久様ッ!!みんなの心。気持ちが伝わってくるよ!!


【やめて…。眞之…。やめ…やめろぉぉぉぉぉ!!!】


「さっきからうるせぇぇぇええッ!!!舞を馬鹿にするなぁぁぁぁ!!襾壞戻もどれぇぇぇぇぇ!!!!!!」


 は神術の力を増大させる…ッ!!






 確かな手答えがあった。






【ウボァー--!!!!】




 ッパァァン!!大きな破裂音と共にきれいな虹色の光が舞っていく……。



 静寂と呪いを祓えた感激が押し寄せる。


「やった…。やったよ…!私、やったんだぁぁぁぁ!!!」


 それと同時に疲労感と痛みも押し寄せ…そのまま倒れてしまった……。

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