電話
ぷるるるる…
鳴り続ける電話…。
「それを取るんじゃ…」
ゴクリ…。生唾を飲み込みながら恐る恐る電話を取る。
「もしもし!?
「もしもし!?眞之ちゃん聞こえてる!?びっくりしてるよね!?ごめんね…私がしっかりしていれば…。」
どうにも言葉が出ない…。
「本当にごめんなさいね…。先生に呼ばれたから一旦切るね?とにかく早く病院に来てねッ!?」
プツン…。
少しの静寂に包まれる…。
本当だった、
「このままじゃと紀代は亡くなってしまうじゃろう。そして、これは憶測でしかないがそれを目の当たりにした翔子も呪いの瘴気に当てられて自害の道を選ぶじゃろう。眞之。おぬしの気持ちはわかるが今は時間がないんじゃ!おぬしにしか出来んのじゃ!」
どうも時間が無いようだ。くよくよしたいがさせてはくれない。覚悟を決めるしかない…。
「私…。私やるよ…。やってやる。呪いを…呪いを私が終わらせる!!!おばあちゃんも翔子さんも死なせない!!」
私は一点の曇りもない決意を宿した。みんなの無念を晴らすために、舞への償いをする為にッ!
そして、私は多邇具久から注意点を教わった。
「昔の時代に戻ると今とは全く違う、出来るだけ干渉はするな。何が起こるか我にも解らぬのでな。そして、呪いを祓っても、もう起きたことは変わらない、舞の死やおぬしの火傷、家族の死。じゃが起ころうとしていることは変えられる。期待しとるぞ。」
「私、今何でこんなことになってるのか正直言ってハッキリ解ってない。でもね、やらなきゃ何も動かないって、何もできない方がつらいって知ってるから…。だから、私…頑張る!!」
改めて自分を納得させるかの様に私は多邇具久へ決意を話した。
「…よし準備ができたぞ。目を閉じて我の合図で飛びながら「還れ」と叫べ。足が地につくまでは目を開けるな、何かに話しかけられても聞くな、よいな?」
どういう意味なのかは解らなかったが言う通りにしよう。
「うん。解った。」
「よし、行くぞ…。」
と多邇具久は呪文を唱え始めた。私も目を閉じて息を整える、心臓がドキドキしているのが解る。
すると
「今だ!唱えろ!!」と多邇具久の声が聞こえてきた。
私は言う通りに足に力を入れてめいいっぱい上に飛び「還れッ!!」と叫んだ。すると周りの音が虫たちと風の鳴き声が薄れていく。その中で微かに多邇具久の声で「人間の時の名は『
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