真実
「…わかった、おじさんがそのたにぐくとかっていう神様だとして、私の目の前に現れる意味はあるの?」
「…これも話せば長くなるんじゃが聞いてくれるか?」
「うん。大丈夫。」
「あれは数百年前の話じゃ、まだここが
神崎…同じ苗字…。
「我は多邇具久への信仰心を集める為、人の姿を借りて神主をやっておった。人々は豊作を願いによく神崎神社にお参りに来てくれとった。そうして我はみるみる力をつけていったんじゃ…じゃが我はその中で禁忌を犯した。」
「禁忌?」
「…そう…。人の子に恋心を抱いてしまったのじゃ。」
「それってダメなことなの?」
「恋心を抱いては人が皆平等ではなくなってしまうからな。じゃが我はまだ若かった、禁忌を破りその人の子と駆け落ちをし子を持った。」
「いい話じゃん。」
「これで終わっていればじゃがな。我は神々の定めたルールを破った、そりゃあ他の神が黙っていないじゃろう。神が人を使わせ我に呪いをかけた。しかも我の子にじゃ。」
「呪い?」
「そう、呪いじゃ。その子とその血縁が不幸になる単純で最悪な呪いじゃよ。」
「は、はぁ…。」
あまり話についていけないがもうちょっと聞くことにした。
「我は呪いを解くために色々と思考を巡らせた、じゃが何も思いつかないままその子の呪いは増幅しその子の視力を奪われ、我も悪い神だとあることないこと偽られた。やがて信仰心が薄れていき。その隙をついて封印されんじゃ。今思うと自業自得じゃがな。」
「でもそれと私、何の関係も――」
「ある。」
ないと言おうとしたところで遮られた。
「神崎この文字に見覚えは?」
「私の苗字だけど…。」
いや、まさか、そんな訳。
「そうそのまさかじゃ。」と心を読んだかのように
「で、でも名前だけじゃ…」
呪い、不幸なこと…正直言って思い当たる節しかない。
「おぬしは…。…おぬしらは我の子孫じゃ。」
だいたい察しはついていたがやはり驚きが隠せない。
「おぬしの身内…母、父、兄、祖父の不幸はその呪いのせいなんじゃ。」
そんなこと急に言われても納得出来ない…したくない…。
「でも、おばあちゃんは生きてるよッ!!」
「…おぬしの祖母は我の子の…生まれ変わりじゃ…。呪いで視力が奪われていったと話したな。おぬしの祖母は生まれつきじゃったろう。呪いを引き継いでいる証拠じゃ。」
…!!
「で、でも私は生きてるよ!これは!!」
不幸が、今までの事が呪いのせいだと意図的だと思いたくなかった。
「それについてはおぬしは特別じゃ、人間の遺伝子には隔世遺伝というものがあるじゃろう?おぬしは祖母の呪いを受け継いでしまったんじゃ。そして、隔世遺伝として呪いは更に増幅し血縁以外の人間にも影響を及ぼしてしまう。おぬしの友人が不幸だったのも呪いの影響じゃ…」
え…それって…。私が舞にかかわったから…。私のせいで舞が…。
「呪いは自分の死よりも辛い事が起こるんじゃ…。」
涙が頬をつたう。舞との楽しい思い出、喧嘩した思い出、いろんな記憶がなだれ込んでくる。
その記憶はやがて溢れ返り涙として塩水となる…。
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