速報
おばあちゃんを見送った後、お腹は空いていたので
それらを机に並べ腹を鳴らす。
「いただきます…」
そう言ってご飯を頬張りながらテレビをつける。何かのニュースだ、見出しには飛び込み自殺と書いてある。
「今朝○○町の○○駅で少女が飛び込み自殺をした模様です。その影響で○○線の運転は見合わせとなっております。」
報道は嫌な言い方をする…。
「目撃情報によると服はポンチョの様な服を着た十代の女の子で、事故現場付近には遺書と見られるものも見つかっているようです。一部を公開いたしますと『昨日はごめんなさい』や『私はいらない子』などと書かれていたそうです本文の全容は解かってはおりません。」
「これは、親からの虐待やイジメなどが疑われますね、もしそう言った事に巻き込まれた場合は……」
テレビの音や蝉の声が遠くなっていく感覚。もしかしたら…そんな考えが脳裏に過った。卓上のご飯をそのままに家を飛び出した。いや、体が勝手に動いていた…。私は走った。ただわけのわからない大きな力に引きずられて走った…。
気づいた時には
確認しなければならない、このインターホンを押さなければならない、でも、もし本当にいなかったら?舞の親にはなんて言おう…舞が居たら居たでなんて言おう…ありとあらゆることを考えて何もできないでいた。そこに、誰かの話し声が塀の曲がり角の向こう側から聞こえてきた。私は何故か咄嗟に電信柱の陰に隠れてしまった。そこから耳を澄ます。
「奥さんのお子さんが自殺したってほんと~う?」
何度か見かけているから知っている、舞の母親とそのご近所さんだ…。
「本当よ~!!でもお荷物がいなくなって肩の荷が下りたって感じだわ~」
…ッッ!!!!
自分の耳を疑った…子が死んで肩の荷が下りた…??何を言ってるのかわからなかった、わかりたくもなかった…。私は気付いたら舞の母親の前に立っていた…
「なによあんた…そこどいてくれないかしら…ってひどい顔…」
親友の母親がこんな奴だとは思ってもみなかった、史上最高にイラついた、舞が私をかばってくれた時の気持ちがなんとなくわかった気がした。私には何を言ってもいいけれど…これは勝手なエゴだとわかっている、わかってるけど…それの何が悪いッ!!
「舞…ごめんね…」
「あんた今なんて言ったの?私の娘がなにt」
私はどこにも逃がせない葛藤を、舞のことを何も知らなかった自分を…殴った。
「な、何してるの!?この子!?訳が分からないわ!?」
「なんなのこの子…」
こんなのでも舞の母親なのには変わりない…。殴れるわけがない。いや、私が意気地なしなだけか…。それから私は無言で走って逃げた。頬が、手がじんじんと痛かった。悔しかった…。
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