親友

 指定の場所、旧校舎の二階男子トイレの前まで来た。勇気を振り絞り扉を開けると金村かなむらとガラの悪い男子4人、計5人がそこにいた。


 そのあとのことは思い出したくもない。


 5人に押さえつけられ殴られ、触られたくもないところも触られた…痛かった、気持ち悪かった、助けは…。来なかった…時間が長く感じた…。そして…私はいつの間にか気絶していた。


 ____!

 _______?

 _________!?


 何か聞こえる…


「大丈夫!?!起きてよ!!眞之まの!!!!起きて!!」


 まいの声…。重たい瞼を開けるとそこには舞がいた。


「ま…い…?ここは…」


「眞之…。」


 舞が来た時には私が半裸で倒れていたという。


「とりあえず風邪ひいちゃうしこれ…着て…」


 舞は体操服を下に来ていたらしくズボンといつも着ているポンチョのような上着を貸してくれた。着替えて舞のほうを見る…なんといえばいいのかわからない。


 すると、


「眞之…ごめんね」


 舞が涙ぐみながら話し始めた。


「私、眞之を助けたくて…。あの後、後を追おうとしたの。でも、私じゃ何もできないって思って…。だから、先生を探しに行ったの、でも、どの先生もイジメを黙認して知らないふりをしてた…かかわるなとも言って来た先生もいた、校長先生も自分の為なのか見逃せって…何も出来なかった、眞之を守るだなんて言っておきながら私、何も…ごめんなさい…!ごめんなさい!!!」


 舞はそう言って下を向いていた。寄り添ってあげたい。でも、もうこの関係は終わり、金村の言う通りにしなければどっちも殺される…


「そ、そうだよ!何で…助けて…くれなかったの?いつも守るって…言ってくれてたのに…!!」


 心が痛い。気が気ではなかった。でもこうする他、考えられない。嫌われればと思った…親友なら助け合うのが正解だとしても。舞の顔は見れなかった、見たくなかった…親友を傷つけたんだ。


「そ、そうだよね…ごめんね…私、何もできなくって…ごめんね…ッ!!」


 そう言って舞は足を庇う様に立ち上がるとゆっくりと去って行ってしまった…。これでいいんだ…これで…自分に言い聞かせながら私もゆっくりと帰宅した。

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