エピローグ
季節は秋。
ちょうど大学では文化祭が開催されており、学生のみならず地域の一般人までもが大学に集まっている。
そんな喧騒で満ちた大学内で、 一人の少女が図書館に足を踏み入れた。
来年この大学に通うことになる彼女は、大学の文化祭がてらこの大学を訪れたのである。
図書館に入ると、人の息づかいが間近に聞こえる喧騒が嘘のように、水の中にいるような静けさが彼女を包み込んだ。
慣れない人だかりにつかれた彼女は、ほっと息をつく。
少し休憩しよう。
ゆったりできる場所を求めて、彼女は奥へ奥へと足を進めていく。
まるで何者かに導かれるように。
そして誰もいない図書館の最奥で足を止める。
そこにはゆったりとした肘掛椅子に、彼女がすっぽり収まるくらいの大きさの鏡があった。
そして彼と出会った。
鏡の中で本を片手にもの憂げにたたずむ青年と。
「どうして鏡の中にいるの?」
彼女は聞いた。
「彼女を待っているのさ。ずっと、ずっとね…」
鏡の青年はどこか遠くを眺めながら答える。
彼のその瞳は遠い星空をなんとなく眺めるような、もの悲しさを秘めていた。
少女は彼の愁いを秘めたその瞳から目が離せない。
鏡の青年を前にして、少女は自身の中で熱く燃えあがる何かが花開いたのを感じた。
こうして幽霊と生徒の恋は連綿と繰り返されるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます