第24話KARAOKE
「いやー遅れてごめんねー」
澤田が笑顔で謝っているが何故だろうか、全然謝られている気がしない。
「いや気にしないでいいよ澤田さん」
まあ別に5分程度で起こったりはしないけど。
「まあでも遅刻した澤田にはトップバッターを任せようかな」
とはいえ何かしてやりたくなったので最初の曲を押し付ける。
「いいよー、じゃあ何にしようかなーっと」
澤田は特に気にした様子はなくタブレットをいじり始める。
入れられた曲を見るとまさかの演歌だった。
「〜♪〜〜♪」
しかもめちゃめちゃうまい。
これはウケ狙いなのか?ツッコんでくれるのを待ってるのか?
思わず周りを見るとみんな特に気にした様子はなく澤田の歌を聴いている。
どうやら俺の方がおかしかったようだ。
最近の高校生は演歌を歌うのか。
俺がジェネレーションギャップを感じている間に曲が終わりみんなで軽く拍手する。
「澤田さんうまいねー」
「ところでなんでみんな反応してくれないの?いつもだったら大爆笑なのに」
あーやっぱりネタ入ってたのね。おれがおかしいかと思っちゃったよ。
「じゃあ次は僕が歌おうかな」
悠が歌い始める。曲は今流行りの歌だった。
その後も女子人達が歌うが全員めちゃめちゃうまかった。そしてついに俺の番が回ってきた。
「~~~♪♪」
「おおー弓弦っち意外とうまいねー」
澤田がほめてくれているが、以外には余計だ。
なんやかんやで全員楽しみつつ歌っているとふとトイレに行きたくなり席を立つ。
「トイレはどこかなーっと」
今日は週末ということも会ってどの部屋も人で埋まっているようだった。
トイレを済ませて部屋に戻ろうとすると向かいから同じく高校生らしき集団がやってきていた。
ぶつからないように通路の隅によりつつすれ違おうとすると
「あれ?弓弦か?」
いきなり声を掛けられ驚きつつ話しかけてきたやつの顔を見ると、中学で同じ部活だった奴だった。
「おう倉橋、卒業式ぶりだな」
特に仲が悪かったというわけでもないので普通に挨拶を返す。
倉橋の周りにいるのはどうやら高校で仲良くなった友人達らしい。
全員テニス部らしく中学の時試合をしたやつもいた。
「そういえば弓弦は隼人と連絡とってるのか?」
倉橋からその名前が出た瞬間少し顔の筋肉がこわばった。
「まあ......Lineはしてるけどあってはいないかな」
幸い倉橋は特に疑問には思わなかったようでそのまま会話を続ける。
「最近通学中に駅でばったり出くわして話したんだけど、あいつ弓道部に入ったらしいな」
「え?」
寝耳に水な情報に思わず口が開いてしまう。そうやら倉橋はそのことを俺が知っていると思っていたらしい。
「あれ?隼人から聞いてなかったのか?あいつ言ってたぞ。中学の時は俺のせいでお前と一緒に全国行くって約束を果たせなかったけどお前が弓道部に入るって聞いてこんどこそ敵としてでも一緒に全国に行くんだって」
そういいながら倉橋は優しく笑っていた。
そうか、隼人が.......
「ありがとう倉橋」
「いやいいんだよ中学の時はお前らのおかげで楽しく部活ができたんだ、何かあったら相談に乗るから遠慮なく連絡してこい」
再度倉橋にお礼を言ってこれ以上通路で話し込むわけにもいかないので別れることにする。
絶対にうまくなる。そう心に刻んだ。
「ただいまーって俺の頼んだポテトは?」
「なかなか帰ってこないからみんなで食べたよーご馳走様~」
その前にキレてもいいかな?
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