第8話仲間
「え?俺ですか?」
思わず変な声が出てしまった俺の方にちょっと笑いながら
「だって一年で弓道部グループに入ってるの弓弦だけじゃん」
隣で聞いていた淳先輩が答える。
轟先輩の方を見ると頷いて、
「じゃあ今日は早めに終わるから帰る前に一年グループ作っとけよ、後先生たちにはバレないようにな」
真面目で厳しそうな轟先輩だったがちょっと悪戯っぽく笑いながら言っている今の様子を見てると意外と話しやすいのかもしれない。
見学の時は淳先輩にべったりだったから明日からは色々な先輩tに話しかけてみよう。
「神宮寺くん?LINE交換してもいいかな?」
そんな感じで早めに一年は部下が終わったので一年用の部室(男女は勿論別)に荷物を取りに行くとスマホ片手に声をかけられた。
「えーっと確か同じクラスの.....」
クラスで見た覚えはあったのだがあまりしっかりと自己紹介を聞いていたわけでもなく教室内でも他の人とは話していなかったので名前が出てこず思わず言葉に詰まると
「あ、ごめん僕は田原悠だよこれからよろしくね」
困ったように苦笑いしながら言う。
それと同時に右手を差し出してきたので俺も手を出しながら
「もう知ってるみたいだけど神宮寺弓弦だ。
それと同じ部活の仲間になるんだから俺のことは名前で呼び捨てでいいぞ」
そう言うと女子にモテそうな爽やかな笑みを浮かべながら
「うん分かった弓弦僕も下の名前でいいよ」
そう言ってLINEを交換すると
「実は同じクラスの弓道部で親交を深めるために帰りに焼肉でも行こうって誘ってるんだけど弓弦はどうかな?」
ちょっと不安そうにそう言う悠だったがテニスもそうだったが部活内の人間関係は良好であるのが一番だし俺は部活で話せる人を作らないと来週から始まる体育の授業でペアを作るようにとか言われた時に詰む。
確かさっきの部登録の時に俺と同じ列にいたのは俺と悠を含めて5人だった。
今年の入部が19人と言うことを考えるとどうやら割と偏ったようだ。
「勿論行くよどこの店入る?」
俺が笑顔でそう言うと悠は少し安心したように頷いて、
「実は女子組はまだ誘ってないんだ」
ニコニコと言う悠。
そうなのかーと軽く頷いていると悠の笑みが悪戯っぽいものに変わり
「と言うわけで誘ってきてね弓弦」
..........
「は?」
思わず素で返すと悠は弁解する。
なんとこいつこの見た目で自称コミュ障だと言う。
嘘つけと言うとどうやら中学の時に男子とばかりつるみすぎて女子との喋り方がわからないと言うことだ。
「いやーでも俺も似たようなもんだぞ中学は部活一筋だったし......」
そう言っても頑なに無理と言って聞かないのでとりあえず女子の部室の方へ向かう。
女子の部室は2階なので階段で待っていれば会えるが俺は同じクラスでも顔はわからないのでバッジを見る必要がある。
そしてこの学校のクラスバッジは胸元に付いている。
「なあ悠はFの女子の顔覚えてるよな?」
そう聞くと悠は満面の笑みを浮かべながら親指をぐっと立てて
「残念ながら......」
........俺入部初日から変態扱いされるんじゃね?
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