第82話:緑色の名前
屋敷を訪れたマティアスは、予想以上の大物っぷりを無意識に披露したフローレスを見つめた。
前回の話に緑属性の美丈夫が出てきていたが身分は書いておらず、ただ【緑属性を教えるのに最適だと、すぐに判る容姿】とされていた。
まさかそれがオルティス帝国の第三皇子がモデルだったとは。
しかも勝手にではなく、許可を取っていた。
更に次の
前回のような曖昧な立場ではなく、皇女として登場させるらしい。
「違いますよ。皇女ではなく女王です」
フローレスは訂正したが、マティアスは「尚悪いわ!」と心の中で突っ込む。
「ホープ兄様がモデルの主人公との恋物語ですけど、って確認したら『現実では惚れた腫れたは出来ぬ立場ゆえ、話の中でくらい恋をするのも良いだろう』ですって」
フローレスは
オーブリー皇女からの手紙には書いていないが、教授からの手紙の方へ書いてあった事だ。
教授が嘘を書く意味は無いので、本当に言っていた事だとフローレスは思っている。
「それで何の相談でしたっけ?」
登場人物のモデルの話が衝撃的過ぎて、肝心の相談内容が頭から飛んでしまったマティアスである。
「だから、名前です。緑の女王の名前」
フローレスがちょっとムッとして答える。
「エメラルドが宝石と同じで高貴な雰囲気で良いかと思ったのですが、色としてはちょっと青みが強くて。アダルベルト皇子殿下っぽいですよね」
フローレスに言われても、マティアスには判らない。
色が判らない訳では無い。
帝国の皇族と、髪色を覚える程は会っていないからだ。
第二皇女も第三皇子も、見事な緑系統の色だった記憶しかない。
「緑色の名前一覧をご用意します。糸と一緒になっているものであれば、第二皇女殿下の髪色との比較も出来るでしょう」
マティアスの提案に、フローレスの顔がぱあぁっと明るくなる。
「よろしくお願いします」
フローレスが笑う。
対外に見せるものにしては珍しく、本当に嬉しい時の笑顔だった。
それから数日後、マティアスから色見本が届いた。
繊維業者が紡績業者から受け取る本格的な物で『社外秘』と書かれていた。
『借りた物なので、1週間後に取りに行きます』と手紙が同封されていた。
届けに来たのは、紡績業者の人だった。
■アクア・グリーン
■アスパラガス・グリーン
■アップル・グリーン
■アトモス・グリーン
■アパッチ・グリーン
■ヴェルディグリ
■ウェルド
■エジプシアン・グリーン
■エッグシェル・グリーン
■エバー・グリーン
■エメラルド・グリーン
■エルブ
■エルム・グリーン
■エンペラー・グリーン
■オゥエシーズ
■オパール・グリーン
■オリンピア・グリーン
■ガーデン・グラス
■カシミア・グリーン
■キャンパス・グリーン
■クイーン・アン
■グラス・グリーン
■グリーン
■グリニッジ
■グレムリン・グリーン
■クローム・グリーン
■ケンタッキー
■シュヴァインフルト・グリーン
■ジューン・バッド
■スプリング・ノート
■スプルース・グリーン
■チャイブ
■チロリアン・グリーン
■ディープ・ピー・グリーン
■ナイト・グリーン
■パラキート・グリーン
■パラダイス・グリーン
■パロット・グリーン
■ハワイアン・アイランズ
■フレッシュ・グリーン
■ペテル・パン
■ベラ・ミント
■マラカイト・グリーン
■メドー・グリーン
■ラグーン・グリーン
■ラシャン・グリーン
■ラッキー・グリーン
■リーフ・グリーン
■レヨン・ベール
色々な緑色の糸と色の名前が、本のように纏めてある。
右上にある通し番号らしきものが飛び飛びなのは、マティアスが厳選したからだろう。
「凄いわ。緑だけでこれ程の種類があるのね」
フローレスは記憶にあるオーブリー皇女の髪色と、一覧を見比べる。
「色はエンペラー・グリーンが良いけど、名前には向かないわね」
「グリニッジはどうですか?色も近いし、名前っぽいですよ」
オーブリー皇女を目撃した事の有るローゼンが一緒に選ぶ。
「ねぇ、これでヒロインの名前と同じ色のハンカチとか作って贈ったらどうかしら?」
フローレスが良い事を思い付いた!と笑う。
「本と一緒にお送りしたらどうでしょう?」
ローゼンもフローレスの提案に乗っかった。
因みに
────────────────
文字数多くてすみません。
『緑色 一覧』で検索して出て来たページを参考にしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます