第8話 処女?
「な、何訊いてるんだよ‼︎」
僕は神凪からの最後の質問に思わず身を乗り出した。
「い、いいでしょ別に。ただ単に気になるだけよ」
「気になるってだけでそんな質問異性に投げかけるなよ……」
「ほ、ほら、だって本庄君が童貞じゃないなら相手がいるってことでしょ? そのお相手にも気を遣わないといけないし……」
微妙に筋が通っているようないないような……。
いやまあ仮に筋が通っていたとしても異性に訊いていいような質問ではないけど。
「……はぁ。童貞だよ。まだ高校生だし、まだ童貞だからって恥ずかしいもんでもないだろ」
「……そっか。そっかぁ童貞かぁ」
いや、なにホッとした顔してるんですか神凪さん。
--ま、まさか、それ、神凪が僕の童貞を奪いたいって思ってるってことか⁉︎
いやそんなわけないだろ、うん。
「童貞で悪かったな」
「高校生なら童貞の人がほとんどなんだし、焦る必要なんてないわよ。早く童貞卒業できるといいわね」
僕が童貞と聞いてにこやかな表情を浮かべる神凪を見て、バカにされているような気分になった僕は苛立ちから勢いで最後の質問を繰り出してしまう。
「じゃあ神凪は処女なのか?」
キスもしたことがないと言っていた神凪がまさか処女を卒業済みだとは思えないが、僕のことをバカにするように笑を浮かべてきた神凪にそう質問を返さずにはいられなかった。
とはいえ、流石に女子に処女なのかどうかを訊くのは流石にまずかっただろうか。
「ちょ、ちょっとレディーになんてこと訊いてんのよ‼︎」
「その言葉は通用しないぞ‼︎ 今さっき、まさに神凪が僕に同じ質問をしたんだからな‼︎」
「ぐぬぬっ……。さ、さぁどうだろうなぁ〜〜」
「それは質問ゲームのルールに反するからな。質問に対する回答を拒否するのは禁止だろ?」
「……女よ」
「え〜なんて言った〜? 声が小さくて聞こえないな〜」
「処女だって言ってるでしょ‼︎」
涙目になり、恨めしそうに僕を睨む神凪。
涙目の神凪を見て可哀想になったので、これ以上反撃するのはやめてフォローを入れることにした。
「……ま、それが普通だよな。僕も童貞だし」
「悪かったわね。処女で」
「何にも悪くないだろ。とりあえず今の質問三つでとりあえず、僕と神凪が嘘のカップルを続けていても問題はなさそうってことは分かったな」
「そうね。お互い好きな人も付き合ってる人もいないなら、嘘の恋人を続けていても問題はなさそうね」
質問ゲームという正気の沙汰ではないゲームが終わり、とりあえず僕たちが嘘の恋人関係を続けていくことに問題がないことが分かった。
それだけでも今日の収穫と言えるだろう。
「学校のみんなには言うのか?」
「まあ自分達から言う必要はないんじゃない? 訊かれたら答えるくらいで」
「了解。確かに僕たちの関係を隠してたら僕たちの両親たちまで噂は広がらないしな」
「あ、あと名前。これからは神凪じゃなくて千紗乃って呼んでよ。私も本庄君のこと、灯織って呼ぶから。じゃないと怪しまれるでしょ?」
神凪の意見は正しいのだが、神凪を千紗乃と下の名前で呼ぶことに陰キャの僕はかなりの抵抗がある。
とはいえ、今後嘘の恋人関係を続けていく上で間違いなく通る道。今のうちから下の名前で読んでおくに越したことはない。
「了解した。」
「そろそろ帰る? 質問ゲームしてたら結構時間立っちゃったし」
「そうだな。暗くなる前に帰るよ」
こうして今日の神凪の家お邪魔大作戦はお互いが未経験だということを知り、仲を深めて? お開きとなった。
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