第6話 質問ゲーム
「じゃあまずは神凪のターンな」
じゃんけんで勝利した僕は後攻を手に入れた。
後攻の方が相手の出方を見て、こちらが受けた質問内容に合わせて質問を決めることができるので有利なはず。
「じゃあ1つ目ね。本庄君って彼女がいたことあるの?」
……は? 一つ目の質問がそれか?
大体一つ目の質問っていうのは、誕生日だとか好きな食べ物だとか趣味だとか、何気ない質問にしておいて、そこから少しずつ質問の内容を際どいものにしていくのがセオリーだろう。
それなのに、神凪は一つ目の質問からかなり際どい内容の質問をしてきた。
こうなるとこちらもかなり攻めた質問をしなければならなくなる。
やはり後攻を選んでおいて正解だったな。
「僕みたいな人間が誰かと付き合ったことなんてあるわけないだろ」
「ふ、ふーん。そうなんだ。本庄君、魅力的だし誰かと付き合ったことありそうだけど……」
「え、なんて言った?」
「な、なんでもない。それより次、本庄君が私に質問する番よ」
そう言われてもなぁ。
一つ目の質問が急に付き合った人がいるかどうか、だったのでどのような質問をするかに困る。
僕も神凪に付き合っていた人がいるのかどうかを聞こうか……。
いや、神凪くらい可愛ければこれまで彼氏なんて何人もいただろうし質問する必要なんてない。
それに、その質問のせいで嫌な過去を思い出させたりしてしまう可能性もあるので安易にその質問はできない。
--待てよ?
よく考えたら僕、今神凪に彼氏がいるのかも、好きな人がいるのかすら聞いたことがない。
神凪に恋人がいるかどうかなんて気にせずに嘘の恋人になろうと言ってしまったが、今彼氏はいないのだろうか。
最悪の場合、今彼氏や好きな人がいる状況で恋人のフリをさせているなんてこともあり得る。
僕は少しだけ、神凪から受けた質問の内容を変えて質問した。
「……じゃあ神凪は誰か好きな人いるのか?」
あまり突っ込みすぎず、それでいて僕の不安を全て消し去ってくれる質問はこれしかなかった。
彼氏がいなかったとしても、好きな人がいるのかいないのかというのは今後嘘の恋人を続けていく上で必要な情報だ。
神凪に好きな人がいるのであれば、その人前ではわざとらしくイチャイチャできないからな。
「す、すすすふすすっ、すす… すすすっ⁉︎」
いやなんだその反応は。
僕が予想してた反応と全く違うんだが。
「……大丈夫か?」
「好きな人なんてい、い、いいいいるわけないでしょっ⁉︎」
なんかめちゃくちゃいそうな雰囲気出してるけど、神凪自身がいないというのだからいないってことにしといてやるか。
そのほうが僕としても都合が良い。
「分かった分かった。はい、じゃあ次、また神凪の番な」
「……好きなタイプは?」
「いやなんでさっきからそんな話ばっかりなんだよ。もっと何か有益な情報だって聞けるはずだろ?」
「す、好きなタイプだって重要でしょ。今後嘘の恋人を続けていくんだから」
嘘の恋人関係を続けていく上で、僕のタイプの女子という情報がなぜ重要なのかは分からないが、まあルールはルールなので回答しないわけにもいかない。
「そうだな……。神凪みたいな人かな」
「……へ?」
僕は迷うことなく、自分のタイプを目の前にいる神凪のような人だと発言した。
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